宅建士 権利関係 問45:民法債権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介する建物賃貸借の対抗要件に関する次の記述のうち、民法および借地借家法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア建物の賃借権の登記(民法605条)があれば、建物の所有権が第三者に移転しても賃借権の対抗力を維持できるが、建物の賃借権の登記は法律上任意であり賃貸人に対する登記への協力請求権はない。
- イ建物の引渡しを受けた賃借人は、賃貸建物の所有権が移転しても、引渡しのみで新所有者に対して賃借権を対抗することができる(借地借家法31条)。正答
- ウ建物の所有権が売買により移転した場合、旧賃貸人(売主)が受領した敷金は当然に新賃貸人(買主)に引き継がれず、賃借人は改めて新賃貸人に敷金を差し入れ直さなければならない。
- エ賃貸建物の所有権が移転した場合、賃貸人の地位の移転(民法605条の3)には賃借人の同意が必要である。
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建物賃貸借は、賃借権の登記がなくても「建物の引渡し」を受けていれば新しいオーナーに対しても賃借権を主張できます(借地借家法31条)。これが建物賃貸借の対抗要件(引渡し)です。よってイが正答です。
借地借家法31条1項は「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」と定めます。「引渡し」のみで第三者対抗力が認められるのが建物賃貸借の特則であり、イは正確であり正答。アについて、「賃貸人に対する登記への協力請求権はない」の部分は誤りで、改正民法605条により「不動産の賃借人は、賃貸借の登記がなくても賃貸人に対して登記への協力を請求できる」と解されており(民法605条の機能と賃貸借の当然登記制度議論)、実務上は賃貸人が任意に協力しない場合は訴訟で請求可能です。ウについて、改正民法605条の2第4項は「賃貸人たる地位が移転した場合は、敷金の返還義務も移転した者に移転する」と明文化しており(最判昭和44.7.17の法理の立法化)、敷金は新賃貸人に当然に引き継がれます。「敷金を差し入れ直さなければならない」とするウは誤り。エについて、賃貸人の地位の移転(民法605条の2・605条の3)については、①所有権移転の場合は賃借人の同意なく当然に移転(法律上当然の移転:改正民法605条の2第1項)、②当事者間の合意で賃貸人の地位を旧所有者に留保することも可能(ただし賃借人の同意が必要)。「賃借人の同意が必要」とするエは原則を誤りとしており不正確で誤り。
建物賃貸借の対抗要件(借地借家法31条)は民法605条の特則であり、登記に代えて引渡しを対抗要件としています。「引渡し」の意義は現実の支配の移転(鍵の引渡し・入居)であり、単なる登録・通知では足りません。改正民法(2020年施行)では賃貸人の地位に関する規定が整備され、①所有権移転による賃貸人地位の当然移転(民法605条の2第1項)、②合意による賃貸人地位の留保(民法605条の2第2項:旧所有者に賃貸人地位を留保する合意・ただし賃借人の同意が必要)、③敷金返還義務の新賃貸人への移転(民法605条の2第4項)、④賃貸人の地位の移転の対抗要件(所有権移転登記:民法605条の3)が明文化されました。重要な実務論点として、不動産が任意売却・競売により所有権移転した場合の賃貸借継続問題があります。借地借家法31条の対抗力があれば賃貸借は継続しますが、対抗力取得前に抵当権設定があった場合(抵当権設定後に賃借権取得)は短期賃貸借保護制度廃止(2004年改正)後は原則として抵当権に対抗できず、競落人に明渡しを求められます。ただし競落人が賃貸借の継続を認める(引受け)場合は賃貸借継続可能です(民法577条等)。宅建実務では、賃貸中の建物の購入(投資物件)において借地借家法31条の対抗力確認(引渡しの有無・時期)と賃貸人地位の移転に伴う敷金引継ぎ確認が必須の調査事項です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。