問題
宅地建物取引業者Aが媒介する建物賃貸借の対抗要件に関する次の記述のうち、民法および借地借家法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
建物賃貸借は、賃借権の登記がなくても「建物の引渡し」を受けていれば新しいオーナーに対しても賃借権を主張できます(借地借家法31条)。これが建物賃貸借の対抗要件(引渡し)です。よってイが正答です。
借地借家法31条1項は「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」と定めます。「引渡し」のみで第三者対抗力が認められるのが建物賃貸借の特則であり、イは正確であり正答。アについて、民法605条は賃借権の登記をすれば第三者に対抗できるとするだけで、賃貸人に登記への協力義務を課していません。判例(大判大正10.7.11)は、特約がない限り賃借人は賃貸人に対して賃借権の登記を請求する権利を有しないとしています。「特約がなくても請求できる」とするアは誤り(だからこそ建物賃貸借では引渡しによる対抗力:借地借家法31条が重要になります)。ウについて、改正民法605条の2第4項は「賃貸人たる地位が移転した場合は、敷金の返還義務も移転した者に移転する」と明文化しており(最判昭和44.7.17の法理の立法化)、敷金は新賃貸人に当然に引き継がれます。「敷金を差し入れ直さなければならない」とするウは誤り。エについて、賃貸人たる地位の移転(民法605条の2・605条の3)については、①対抗要件を備えた賃貸不動産が譲渡されたときは賃貸人たる地位は当然に譲受人に移転し(民法605条の2第1項)、②対抗要件の有無にかかわらず、譲渡人と譲受人の合意により「賃借人の承諾を要しないで」移転させることもできます(民法605条の3)。「賃借人の同意が必要」とするエは誤り。
建物賃貸借の対抗要件(借地借家法31条)は民法605条の特則であり、登記に代えて引渡しを対抗要件としています。「引渡し」の意義は現実の支配の移転(鍵の引渡し・入居)であり、単なる登録・通知では足りません。改正民法(2020年施行)では賃貸人の地位に関する規定が整備され、①所有権移転による賃貸人地位の当然移転(民法605条の2第1項)、②合意による賃貸人地位の留保(民法605条の2第2項:譲渡人と譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び譲受人が譲渡人に賃貸する旨を合意したとき。賃借人の同意は不要)、③敷金返還義務・費用償還債務の新賃貸人への承継(民法605条の2第4項)、④賃貸人たる地位の移転を賃借人に対抗するには所有権移転登記が必要(民法605条の2第3項)、⑤合意による賃貸人たる地位の移転(民法605条の3)が明文化されました。重要な実務論点として、不動産が任意売却・競売により所有権移転した場合の賃貸借継続問題があります。借地借家法31条の対抗力があれば賃貸借は継続しますが、対抗力取得前に抵当権設定があった場合(抵当権設定後に賃借権取得)は短期賃貸借保護制度廃止(2004年改正)後は原則として抵当権に対抗できず、競落人に明渡しを求められます。ただし、抵当権者に対抗できない賃貸借でも、競売手続の開始前から建物を使用収益している賃借人は、買受人の買受けの時から6か月間は建物の引渡しを猶予されます(民法395条1項)。宅建実務では、賃貸中の建物の購入(投資物件)において借地借家法31条の対抗力確認(引渡しの有無・時期)と賃貸人地位の移転に伴う敷金引継ぎ確認が必須の調査事項です。
- 民法第605条・第605条の3・第605条の2・第395条e-Govで原文を読む
- 借地借家法第31条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

