宅建士 権利関係 問48:民法債権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介した不動産取引において、詐害行為取消権(民法424条以下)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア債務者Bが唯一の財産である宅地をCに贈与した場合、BのAに対する債権(売買代金)の弁済期が到来していれば、AはBのCへの贈与を取り消すことができる。
- イ詐害行為取消権の行使は、必ず訴訟によらなければならず、内容証明郵便での取消しの意思表示は効力を持たない(民法424条1項)。正答
- ウ詐害行為取消権が認められるためには、債務者Bが債権者Aを害することを知って行為したことが必要であり、受益者Cが悪意である必要はない。
- エ詐害行為取消権が認められた場合、取消しの効力はすべての債権者のために及ぶのではなく、取消権を行使した債権者Aのみに帰属する。
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詐害行為取消権の行使は、裁判上(訴訟提起)でなければなりません(民法424条1項)。内容証明郵便など裁判外での取消し意思表示は効力がありません。よってイが正答です。
民法424条1項は「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる」と定め、裁判所への請求(訴訟)が必要です。イは正確であり正答。アについて、詐害行為取消権の行使には①被保全債権が詐害行為前に成立していること(改正民法424条3項)、②弁済期の到来(不要の場合もあり)、③債務者が害意を持つこと(民法424条1項)、④受益者・転得者が悪意であること(民法424条1項・424条の5)が必要です。アでは「弁済期が到来していれば」取消しできるかのように述べていますが、詐害行為取消権の成立には「債権が詐害行為前に成立していること」が主要要件であり、弁済期要件については争いがあります(実務上弁済期未到来でも認める場合あり)。また受益者Cの悪意要件(民法424条1項)がアには書かれていないため不完全であり誤り。ウについて、詐害行為取消権の要件は①債務者Bの害意(Bが債権者を害することを知っていること)に加え、②受益者Cの悪意(詐害行為によって利益を受ける者が行為時に害意を知っていること:民法424条1項ただし書)も必要です。「受益者Cの悪意は不要」とするウは誤り。エについて、詐害行為取消しの効果は「すべての債権者のために」及ぶとされています(民法425条:取消しの効力は訴えを提起した債権者と被告(受益者・転得者)との間でのみ生じますが、取消し後の財産の回復はすべての債権者のために機能)。「取消権を行使した債権者のみに帰属」とするエは誤り。
詐害行為取消権(民法424条〜426条)は2020年改正民法で大幅に整備されました。主な改正点は①取消しの効果(民法425条:相対的取消しから相対的効力への変更)、②財産の返還請求の方法(民法424条の6以下)、③転得者への取消し(民法424条の5)、④詐害行為の類型化(財産の隠匿・廉価売却・担保供与等の類型別規定:民法424条の2〜424条の4)の整備です。詐害行為取消権と債権者代位権(民法423条)の区別として、①代位権:債務者の権利を代わりに行使(消極財産の管理・回収)、②取消権:詐害的な財産流出行為を取り消す(積極的な財産流出の回復)の違いがあります。受益者の悪意(民法424条1項:詐害行為当時、債権者を害することを知っていた)は必要要件であり、善意の受益者への取消しは原則認められません(無償行為の場合は例外:民法424条の4で悪意不要)。転得者(受益者から更に財産を取得した者)への取消しには転得者の悪意が必要(民法424条の5)で、転得者が善意の場合は取消しできません(取引の安全保護)。宅建実務では、売主が倒産・債務超過状態での不動産売却(廉価売却・贈与等)が詐害行為取消しの対象となる場合があり、売買成立後に取消しを受けるリスクがあります。買主保護のためには売主の財務状態確認(登記情報・仮差押え等の有無確認)が重要です。令和2年改正で詐害行為の類型が明文化(民法424条の2〜4)されたことで、「廉価売却」「担保供与」「相当対価の処分」の各パターンに応じた要件が整理されました。行政書士・司法書士試験では詐害行為取消権と破産法上の否認権(破産法160条以下)の異同・要件比較が頻出の応用論点です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。