問題
普通借地権の譲渡・建物の処分に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
地主が正当な理由なく借地権の譲渡を拒否する場合、裁判所の借地非訟手続き(借地借家法19条)で地主の承諾に代わる許可を取得できます。これにより借地権者を保護します。よってイが正答です。アは地主の承諾が必要なので誤り、ウは信頼関係が壊れていなければ直ちには解除できないので誤り、エの相続は承諾が要らないので誤りです。
借地借家法19条1項は「借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し又は転借をしても借地権設定者(地主)に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転借を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる」と定めます。イは正確であり正答。アについて、借地権付き建物の売買(借地権の譲渡)には地主の承諾が必要です(民法612条)。承諾なしの譲渡は地主に対して対抗できず、解除事由にもなります(ただし信頼関係破壊の法理適用)。「地主の承諾不要」とするアは誤り。ウについて、増改築禁止特約に違反した場合でも、判例(最判昭和41.4.21)は、その増改築が借地権者の土地の通常の利用上相当であり、地主に著しい影響を及ぼさないため信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りないときは、解除権の行使は許されないとしています。「信頼関係が破壊されていなくても直ちに解除できる」とするウは誤り(なお特約がない場合は、借地権者は原則として自由に増改築できます)。エについて、借地権の相続(包括承継)は地主の承諾不要です(相続は権利の承継であり譲渡ではない)。「地主の承諾が必要」とするエは誤り。
借地権の譲渡・転貸(民法612条)と借地非訟手続き(借地借家法19条〜20条)の関係は宅建試験の重要論点です。普通借地権の譲渡・転貸には地主の承諾が必要ですが、地主が不当に拒否する場合は裁判所への申立て(借地非訟)で解決できます。借地非訟手続きの対象は①第三者への借地権譲渡・転貸の承諾(借地借家法19条)、②建物の増改築の承諾(借地借家法17条2項)です。建物増改築の扱いについては、増改築禁止特約がある場合は特約違反が解除事由となり得ますが(信頼関係破壊の法理:最判昭和41.4.21等)、特約がなければ増改築は借地権者の権利として認められます(建物は借地権者の所有物であり適切な改修は認められる)。増改築許可の申立て(借地借家法17条2項)は特約がある場合の手続きです(特約なければ申立て不要)。借地権の相続(包括承継)は譲渡に当たらないため地主の承諾は不要です。これは相続が財産の包括的移転であり、当事者の信頼関係を前提とする賃貸借の「当事者変更」とは性質が異なるためです。特定承継(売買・贈与等)は地主の承諾が必要であり相続と区別が重要です。宅建実務では、借地権付き建物の相続売買において①相続による権利取得の確認(相続登記・遺産分割確認)②地主への通知(慣行として通知)③新借地権者への地代改定等の交渉が実務手順です。
19条の許可で押さえる点は次のとおりです。裁判所は、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、譲渡・転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又は許可を財産上の給付(いわゆる承諾料)に係らしめることができます(19条1項後段)。判断にあたっては、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、譲渡・転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮します(同条2項)。さらに、申立てがあった場合に、裁判所が定める期間内に地主が自ら建物の譲渡と賃借権の譲渡・転貸を受ける旨を申し立てたときは、裁判所は相当の対価等を定めてこれを命ずることができます(同条3項・いわゆる介入権)。また、建物を競売・公売で取得した第三者は、自ら許可を申し立てることができ(20条1項)、その申立ては建物の代金を支払った後2か月以内に限られます(同条3項)。地主が承諾せず許可も得られない場合、建物を取得した第三者は、地主に対して建物を時価で買い取るよう請求できます(14条・第三者の建物買取請求権)。申立てができるのは19条では借地権者(譲渡する側)、20条では競落した第三者と、申立人が異なる点がひっかけとして出題されます。
- 借地借家法第19条・第17条e-Govで原文を読む
- 民法第612条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

