宅建士 権利関係 問58:借地借家法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
建物賃貸借における賃料の増減請求(借地借家法32条)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア賃貸人Aは、租税負担の増加・物価上昇等の事情変更があれば、賃借人の同意なく一方的に賃料増額の意思表示のみで賃料を増額することができる。
- イ定期建物賃貸借において、賃料を増額しない旨の特約は有効であり、物価上昇等があっても賃貸人は賃料増額を請求することができない。正答
- ウ賃料増減請求(借地借家法32条)は、土地建物の賃貸借双方に適用されるため、借地権(土地の賃借権)においても同条の適用で地代の増減を請求できる。
- エ賃料増減請求が当事者間で合意されない場合、調停・裁判によって適正賃料が定まるが、調停・裁判で定まるまでの期間、賃借人は賃貸人の請求した増額賃料を支払わなければならない。
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定期建物賃貸借において「賃料を増額しない」という特約は有効です(借地借家法38条7項・32条1項ただし書)。通常の建物賃貸借では賃料増減請求は両者が行使できますが、定期借家の「増額なし」特約は例外として認められます。よってイが正答です。
借地借家法32条1項ただし書は「一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」と定めます。定期建物賃貸借に限らず普通建物賃貸借でも「増額しない」特約は有効で、賃貸人はその期間中に増額請求できません。イは正確であり正答(定期借家の場合は借地借家法38条7項で特別に明示)。アについて、賃料増額請求(借地借家法32条)は一方的意思表示で賃料を増額できるわけではなく、増額の意思表示後に相手方と協議し合意なければ調停・裁判で確定します。意思表示のみで「賃料が増額される」とするアは誤り(合意または裁判確定が必要)。ウについて、借地借家法32条は「建物の借賃」に関する規定であり、土地の賃貸借(借地権の地代)には適用されません(借地借家法11条が地代・借賃増減請求を規定)。「借地権においても同条」とするウは誤り(借地法11条が適用)。エについて、賃料増額が係争中の場合、賃借人は「相当と認める額」を支払えば履行遅滞責任を免れます(借地借家法32条2項:裁判確定前は「相当と認める額」で足りる)。「賃貸人請求額全額支払い必要」とするエは誤り(相当額で足りる)。
賃料増減請求(借地借家法32条)は継続的賃貸借関係における事情変更に対応するための制度です。賃料増減の判断基準(借地借家法32条1項)は①土地・建物の租税その他の負担の増減、②土地・建物の価格の上昇または低下その他の経済事情の変動、③近傍同種の建物の借賃との比較、の3要素の総合考慮です。賃料増減請求後の協議不調の場合は調停前置主義(民事調停法24条の2:まず調停申立て)を経て訴訟で確定します。係争中の賃料支払いについては、①増額請求時:賃借人は「相当と認める額」を支払えば足りる(借地借家法32条2項)、②減額請求時:賃貸人は「相当と認める額」の受領拒絶ができる(民法492条の受領拒絶の問題)。裁判確定後の差額精算として、①増額が確定した場合:賃借人が支払った額と確定額の差額+年1割の利息を支払う(借地借家法32条2項)、②減額が確定した場合:賃貸人が受領した額と確定額の差額+年1割の利息を返還する(借地借家法32条3項)。宅建実務では、投資物件の収益評価において現行賃料の適正性(正常賃料との比較)と賃料増減請求の可能性がキャップレート算定の前提として重要です。2023〜2025年の円安・物価上昇局面では大都市圏で賃貸人からの増額請求が増加しており、係争中の「相当賃料」支払義務(借地借家法32条2項)と差額+年1割利息の精算(同条3項)の正確な理解が実務的重要性を増しています。不動産鑑定士・賃貸不動産経営管理士試験では正常賃料・継続賃料・新規賃料の算定手法の違いが問われます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。