宅建士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

宅建士 権利関係 問70|借地・借家における特約の有効性

問題

宅建士 | 権利関係 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

借地借家法における「借地権者・借家人に不利な特約の効力」に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

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正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ

自信の3択

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解説

建物の家賃を「一定期間増額しない」という特約は有効で、その間は貸主から増額を求められません(借地借家法32条1項ただし書)。一方、「減額しない」という特約があっても、家賃が周りと比べて不相当になれば、借主は減額を請求できます(同項本文「契約の条件にかかわらず」)。よってウが正答です。アは30年未満の期間の定めは30年になるので誤り、イは借家人に不利な特約として無効なので誤り、エは「常に全体が無効」とは限らないので誤りです。

借地借家法32条1項は「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」と定めます。ただし書により、一定期間「増額しない」特約はその定めに従います(賃借人に有利な方向の特約)。これに対し、「減額しない」特約にはただし書のような例外がなく、本文が「契約の条件にかかわらず」増減を請求できるとしているため、借賃が不相当となれば賃借人は減額を請求できます(最判平成15年10月21日・民集57巻9号1213頁は、32条1項を強行法規とし、減額しない旨の特約があっても減額請求は妨げられないとした)。したがってウは正しく正答。アについて、借地権の存続期間を「30年未満」とする特約は借地権者に不利な特約として無効となり(借地借家法9条)、存続期間は30年となります(同法3条)。「20年とみなされる」とするアは誤り(20年は旧借地法の非堅固建物の期間や、借地借家法の最初の更新後の期間と混同しやすい数字です)。イについて、普通建物賃貸借における「更新請求不可」特約は借家人に不利であり無効です(借地借家法26条・28条の強行規定に反する)。「定期建物賃貸借でなくても有効」とするイは誤り。エについて、「常に全体無効」とするエは誤り(一部無効・一部有効の場合もある)。

借地借家法の強行規定(片面的強行規定)の理解は宅建試験の重要論点です。強行規定(借地借家法9条・16条・21条・30条・37条等)は「借地権者・借家人に不利な特約を無効とする」ものであり、反対方向(地主・賃貸人に不利な特約)は有効とする片面的強行規定の構造をとります。借地権の強行規定(借地借家法9条):更新拒絶の要件(正当事由)を排除する特約・存続期間を30年未満とする特約等が無効。建物買取請求権(13条・14条)を排除する特約は16条により無効。借家権の強行規定(借地借家法30条・37条):更新拒絶の正当事由を不要とする特約・更新を排除する特約(定期建物賃貸借を除く)等は無効。なお造作買取請求権(33条)は37条の列挙に含まれない任意規定であり、これを排除する特約は有効です。なお、定期借地権・定期建物賃貸借の各特別規定(借地借家法22条〜24条・38条)は強行規定を「一括で外す」制度であり、法定要件(書面・期間等)を満たせば強行規定の適用除外が認められます。片面的強行規定の「片面性」は、借地権者・借家人有利の方向には特約が認められる(例:存続期間を30年以上に延長・賃借人側からの解約権の留保)という意味です。借賃増減請求権(32条)は30条・37条の列挙とは別の仕組みで、本文が「契約の条件にかかわらず」増減請求を認め、ただし書で「一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約」だけを例外としています。このため、不増額特約は有効(賃借人に有利)、不減額特約は減額請求を妨げない(ウの正答根拠・最判平成15年10月21日・民集57巻9号1213頁)という非対称の結論になります。なお、定期建物賃貸借では、借賃の改定に係る特約がある場合には32条は適用されません(38条9項)。したがって定期建物賃貸借で「賃料を減額しない」旨の改定特約を定めれば、その特約が優先します。ウが「普通建物賃貸借」に限定しているのはこのためです。借地借家法の片面的強行規定の解釈は不動産実務で頻繁に争われており、行政書士・司法書士試験では「強行規定・任意規定の区別と特約の効力」を組み合わせた多論点問題として出題されます。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映しています(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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