宅建士 権利関係 問8:民法物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介する共有宅地の取引に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア共有宅地のうち各共有者の持分を超える部分を第三者に賃貸する場合は、共有者全員の同意が必要であり、持分の過半数では行うことができない。
- イ共有者の一人が共有宅地に無断で建物を建築した場合、他の共有者は自己の持分割合に関わらず、その建物の撤去を請求することができる。正答
- ウ共有者の一人は、他の共有者全員の同意がなければ自己の持分を第三者に譲渡することはできない。
- エ共有物分割協議が整わない場合、共有者は裁判所に共有物分割を請求することができるが、裁判による分割は現物分割の方法のみが認められる。
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共有物には保存行為・管理行為・変更行為という3種類の行為があります。保存行為は各共有者が単独でできます。無断で建物を建築した共有者に対する撤去請求は、共有者が共有物を保全する保存行為に当たるため、各共有者が単独で請求できます。よってイが正答です。
民法250条以下は共有を定めます。共有における行為の区分として、①保存行為(民法252条5項)は各共有者が単独で可能、②管理行為(民法252条1項)は持分の過半数で決定、③変更行為(民法251条1項)は共有者全員の同意が必要、となります。アについて、第三者への賃貸は管理行為(利用・改良行為)に当たり、持分の過半数で行うことができます(民法252条1項)。「全員同意が必要」とするアは誤り(短期賃貸借で3年以内は過半数で可)。イについて、無断で建物を建築した共有者に対する撤去請求は共有物の保全・現状維持を図る保存行為(民法252条5項)に当たり、各共有者が単独で行うことができます。持分割合に関わらず請求可能であり正答。ウについて、各共有者は自己の持分を自由に処分できます(民法206条・249条)。他の共有者の同意は不要です。ウは誤り。エについて、裁判所による共有物分割(民法258条)では、現物分割のほかに代金分割(競売による分割)や価格賠償(一部の者に取得させて他の者に金銭賠償)も認められます。現物分割のみとするエは誤り。
2021年改正民法(2023年4月施行)により共有に関する規律が大幅に変更されました。主な改正点として、①共有物の管理に関する決定(民法252条改正)の明確化、②不明相続人がいる場合の共有物利用の円滑化(民法252条の2)、③共有者不明の場合の裁判所関与による共有物管理(民法262条の3)、④長期間経過後の遺産共有における分割規律(民法258条の2)などがあります。共有物の賃貸については、改正前は管理行為として「持分の過半数」で決定できるとされていましたが、改正後は短期賃貸借(民法602条に規定する期間を超えないもの:土地5年、建物3年)は管理行為として過半数決定が可能であり、それを超える賃貸は変更行為として全員同意が必要です(民法251条1項)。共有物分割請求権(民法256条)は各共有者に認められる形成権であり、協議が調わない場合は裁判所に分割請求できます(民法258条)。裁判所による分割方法として改正後は①現物分割、②代金分割(競売)、③全部取得・金銭補償(価格賠償)の3方法が明文化されました(民法258条2項・3項)。宅建取引実務では、複数相続人による共有不動産の売却において全員の署名捺印が必要であること、また共有持分だけを単独で売却・買い取りする投資手法(共有持分買い取りビジネス)の法的論点(共有物分割請求権の活用)も知識として重要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。