社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問11|労働基準監督官の権限

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働基準法に規定する労働基準監督官の権限に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイ(正しい記述)です。

労働基準監督官は、労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行います(労基法第102条)。これは、労働基準監督官が警察官と同様に捜査・逮捕・送検を行えることを意味します。

アは誤りです。臨検・帳簿書類の提出要求・尋問(第101条第1項)は、使用者の同意を要件としていません。臨検を拒むなどした者には罰則があります(第120条第4号)。ウは誤りです。是正勧告は行政指導であり、行政処分ではないため、行政不服申立ての対象にはなりません。エは誤りです。労働基準監督官自身が司法警察官の職務を行い(第102条)、自ら捜査して事件を検察官に送致するため、監督署長の名義に限られません。オは誤りです。司法警察員の職務は法律ごとに定められており(最低賃金法第33条・労働安全衛生法第92条など)、職業安定法・男女雇用機会均等法にはこのような規定がありません。

労働基準監督官の権限体系(労基法第100条〜第106条):

権限根拠条文内容使用者の同意
事業場の臨検第101条第1項事業場・寄宿舎への立入検査不要(行政権限)
帳簿・書類の検査第101条第1項帳簿・書類の検査不要
使用者・労働者への尋問第101条第1項関係者への質問不要
身分証票の携帯第101条第2項臨検等の際に身分を証明する証票を携帯する義務—
司法警察官の職務第102条労基法違反の罪について捜査・逮捕・送致(刑事訴訟法)不要
寄宿舎の即時処分第103条附属寄宿舎が安全衛生基準に反し労働者に急迫した危険がある場合、第96条の3の行政官庁の権限を即時に行う不要
報告・出頭命令第104条の2第2項使用者・労働者に報告させ、出頭を命ずる不要

是正勧告の法的性格:

是正勧告は「行政指導」(行政手続法第2条第6号)の一種であり、法的な拘束力を持たない勧告・指導です。行政処分(許認可・命令等)とは異なるため、行政不服申立て(審査請求)・行政訴訟の対象にはなりません。ただし実務上、監督官が是正勧告を無視した事業場に対しては、司法警察員権限を行使して検察庁への送検が行われることもあります。

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 臨検・尋問は行政上の強制権限であり、使用者の同意は不要(第101条第1項)。
  • イ(正): 労基法第102条「労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」のとおり。
  • ウ(誤): 是正勧告は行政指導であり行政処分ではない。行政不服申立ての対象外。
  • エ(誤): 労働基準監督官自身が司法警察官の職務を行い、捜査・送致を行う(第102条)。監督署長名義に限られない。
  • オ(誤): 司法警察員の職務は法律ごとに規定されている(最低賃金法第33条・労働安全衛生法第92条)。職業安定法・男女雇用機会均等法には規定がない。

【労働基準監督官制度の立法趣旨と司法警察員権限の意義】

労働基準監督官制度(労基法第11章「監督機関」第97条〜第105条)は、労働基準法の実効性を担保するために設けられています。通常の行政機関が勧告・指導にとどまるのに対し、労働基準監督官は行政的権限(臨検・尋問、寄宿舎の即時処分)と司法的権限(司法警察官の職務=捜査・逮捕・送致)を一体として持つ点が最大の特徴です。これにより、行政指導に従わない使用者に対しても刑事手続で違反を是正させる道が確保されています。

【司法警察員権限の詳細構造】

労基法第102条が定める司法警察官の職務の範囲は「この法律違反の罪」(労基法違反の罪)です。具体的には:

1. 捜査権: 証拠収集・事情聴取(任意・強制捜査の双方)

2. 逮捕権: 現行犯逮捕・令状による逮捕

3. 送検: 検察庁への告発・告訴の受理・送致

重要なのは、司法警察員権限は「法律ごとに個別付与」という原則です。最低賃金法(第33条)・労働安全衛生法(第92条)等は、それぞれの法律で個別に監督官への司法警察員権限付与を規定しています。したがって、「労基法の権限があれば全労働法令に及ぶ」という理解は誤りです。社労士試験では「どの法律の司法警察員権限か」を問うひっかけ問題が出題されます。

【是正勧告から送検までの実務フロー】

労働基準監督官の実務での権限行使フローを整理すると:

1. 任意立入検査(臨検): 労基法第101条に基づき事前通知なしで実施可能

2. 違反事実の確認: 帳簿・タイムカード等の確認、使用者・労働者への尋問

3. 是正勧告書の交付: 行政指導(法的拘束力なし。是正期限を付して是正を求める)

4. 是正確認: 指定期限までに是正されたか再確認

5. 司法処分: 是正されない場合・悪質事案→司法警察員権限行使→検察庁送検

6. 書類送検・起訴: 検察官が起訴→刑事裁判へ

社労士の実務では、顧問先が労働基準監督署から是正勧告を受けた際に「是正勧告は行政指導であり、直ちに行政不服申立てや行政訴訟を提起できるわけではない」こと、および「是正勧告に応じないと送検・起訴に至る現実的リスクがある」ことの両面を正確に説明できることが重要です。

【労働基準監督官と都道府県労働局長・厚生労働大臣との権限関係】

社労士試験では監督行政の指揮命令系統も出題されます。労働基準監督官は労働基準監督署長の指揮監督の下で職務を行います。都道府県労働局長・厚生労働大臣は規則制定権・許認可権を持ちますが、個別事業場への立入検査・臨検権限は原則として労働基準監督官が行使します。例えば変形労働時間制の協定の届出先が「労働基準監督署長」であることや、解雇予告除外の認定権限が「労働基準監督署長」にあることはこの関係を反映しています。

根拠: 労働基準法第97条(監督機関の職員)・第99条(労働基準主管局長等の権限)・第100条(女性主管局長の権限)・第101条(臨検・尋問権)・第102条(司法警察官の職務)・第103条(寄宿舎の即時処分)・第104条の2(報告・出頭)・第120条第4号(臨検拒否等の罰則)、刑事訴訟法第189条第2項(司法警察員の職務)。確認日2026-06-08。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第101条(監督官の権限)・第102条(司法警察官の職務)、最低賃金法第33条、労働安全衛生法第92条 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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