社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問12|強制労働の禁止・中間搾取の排除・公民権行使の保障

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働基準法第5条(強制労働の禁止)・第6条(中間搾取の排除)・第7条(公民権行使の保障)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエ(誤っている記述)です。

労基法第7条は、使用者が労働者の公民権行使のために必要な時間を拒んではならないと規定していますが、その時間を「有給としなければならない」とは規定していません。公民権行使の時間が有給か無給かは、当事者間の合意・就業規則の規定によります。賃金の支払いを義務付けていない点が重要です。

アは正しく、強制労働禁止(第5条)の手段として列挙された拘束手段の禁止を規定しています。イは正しく、中間搾取の排除(第6条)は「業として」他人の就業に介入して「利益を得る」ことを禁止しており、一回限りの無償仲介は利益を得ていないため違反になりません。ウは正しく、第7条ただし書きにより、妨げのない限り請求時刻の変更が認められています。オは正しく、第5条違反は労基法の中で最も重い罰則(1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金)です。

労基法総則条項(第5〜7条)の比較:

条文禁止・義務の内容主体有給の要否違反時の効果
第5条 強制労働の禁止暴行・脅迫等で意思に反して労働を強制することの禁止使用者—1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金(最重罰)
第6条 中間搾取の排除業として他人の就業に介入して利益を得ることの禁止何人も—1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第118条第1項)
第7条 公民権行使の保障労働時間中の公民権行使・公の職務執行に必要な時間の付与義務使用者規定なし(無給可)6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第119条第1号)

「業として」(第6条)の意味:

「業として」とは、同種の行為を反復継続して行うことをいいます。第6条は「業として」かつ「利益を得る」場合を禁止しているため、一回限り・無償の仲介行為は第6条違反になりません。

公民権行使の範囲(第7条):

条文は「選挙権その他公民としての権利」と「公の職務」とだけ定めており、具体的な範囲は行政解釈によります。代表的な例として次のものが挙げられます(行政解釈による例)。

  • 選挙権・被選挙権の行使(投票・立候補等)
  • 議員・労働委員会の委員・裁判員などとしての職務
  • 法令に基づく証人としての出頭など

使用者は「妨げのない限り」請求された時刻を変更できるため、業務の繁忙を理由に時間帯の変更を求めることは可能ですが、完全拒否は不可です。

各選択肢の解説:

  • ア(正): 手段列挙(暴行・脅迫・監禁等)は例示であり、「その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段」という包括的な文言も含まれる。
  • イ(正): 「業として」「利益を得て」の要件により、一回限り・無償の仲介は第6条違反にはならない。
  • ウ(正): 第7条ただし書きで時刻変更権を使用者に認めているが、拒否は不可。
  • エ(誤・正答): 第7条は有給を義務付けていない。有給か無給かは当事者間の合意・就業規則による。
  • オ(正): 第5条違反の罰則(第117条)は労基法最重罰(1年以上10年以下拘禁刑または20万円以上300万円以下罰金)。

【強制労働禁止(第5条)の歴史的背景と「最重罰」の意味】

労基法第5条が定める強制労働禁止は、戦前の労働関係に見られた強制労働などの悪弊を排除するための規定と説明されます。労基法の中で唯一「1年以上」の下限付き拘禁刑が規定されている点が、この条文の特別な位置付けを示しています(第117条)。

現代においても、借金を理由に離職を妨げるなど、身体・精神の自由を不当に拘束して労働を強制する事案が第5条違反の問題となりえます。「第5条違反の罰則の重さ」は頻出の選択肢論点です。

【中間搾取排除(第6条)と職業安定法・労働者派遣法との関係】

第6条は「何人も(使用者だけでなく第三者も)」業として就業仲介で利益を得ることを禁じています。この規定と職業安定法・労働者派遣法の関係が試験上の重要論点です:

1. 職業安定法(有料・無料職業紹介): 厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者は第6条の「法律に基づいて許される場合」に該当するため違反にならない。

2. 労働者派遣事業: 労働者派遣法に基づく適法な労働者派遣は、派遣元と労働者の間に労働契約関係があるため、第6条の「他人の就業に介入」に当たらないと解されている(行政解釈)。

3. 許可を受けない有料の職業紹介: 「法律に基づいて許される場合」に当たらないため、職業安定法違反に加えて第6条違反が問題になる。

【公民権行使保障(第7条)の「有給か無給か」の実務判断】

第7条は賃金支払義務を課していません。したがって:

  • 就業規則・労働協約に「有給」規定がある場合: 有給として扱わなければならない(就業規則・協約の規定が適用される)。
  • 規定がない場合: 無給としても第7条違反ではない。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第100条は、「労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことその他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めていますが、休暇中の賃金の支払までは義務付けていません。無給とすること自体は第7条にも同条にも反しませんが、休暇の取得等を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは同条違反になります。この区別が社労士実務でも問題になります。

【各条文違反の罰則比較(社労士試験頻出)】

労基法の主要罰則(重い順):

条文内容罰則
第117条(第5条違反)強制労働禁止1年以上10年以下拘禁刑または20万円以上300万円以下罰金
第118条(第6条・第56条違反)中間搾取・最低年齢違反1年以下拘禁刑または50万円以下罰金
第119条(第3条・第7条・第16条等違反)均等待遇・公民権行使保障・賠償予定禁止等6か月以下拘禁刑または30万円以下罰金
第120条(第89条・第109条等違反)就業規則・記録の保存等30万円以下罰金

社労士試験では「どの条文違反が最も重い罰則か」「拘禁刑か罰金刑か両方か」という形で出題されます。第5条違反(第117条)の「1年以上10年以下」という下限付きの拘禁刑は最重罰として必ず覚えるべき条文です。

根拠: 労働基準法第5条・第6条・第7条・第117条・第118条・第119条・第120条。確認日2026-06-08。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第5条(強制労働の禁止)・第6条(中間搾取の排除)・第7条(公民権行使の保障)・第117条(強制労働禁止違反の罰則)・第118条(中間搾取等の罰則) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 強制労働の禁止・中間搾取の排除・公民権行使の保障(第5〜7条
  • 頻出度A

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