労働基準法12労働基準法

社労士 労働基準法 問12:労働基準法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働基準法第5条(強制労働の禁止)・第6条(中間搾取の排除)・第7条(公民権行使の保障)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 使用者は、暴行・脅迫・監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない(強制労働の禁止)。
  • 何人も、法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならず(中間搾取の排除)、「業として」行う場合に限り禁止されるため、無償で一回限り就業の仲介を行っても違反にはならない。
  • 使用者は、労働者が労働時間中に選挙権その他公民としての権利を行使するために必要な時間を請求した場合、これを拒んではならないが、権利の行使または公の職務の執行に妨げのない限り請求された時刻を変更することができる。
  • 労働者が労働時間中に公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合、使用者はその時間を有給としなければならない。正答
  • 強制労働の禁止(第5条)に違反した者は、労働基準法の違反行為の中でも最も重い1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金に処せられる。
正答:労働者が労働時間中に公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合、使用者はその時間を有給としなければならない。

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正答はエ(誤っている記述)です。

労基法第7条は、使用者が労働者の公民権行使のために必要な時間を拒んではならないと規定していますが、その時間を「有給としなければならない」とは規定していません。公民権行使の時間が有給か無給かは、当事者間の合意・就業規則の規定によります。賃金の支払いを義務付けていない点が重要です。

アは正しく、強制労働禁止(第5条)の手段として列挙された拘束手段の禁止を規定しています。イは正しく、中間搾取の排除(第6条)は「業として」継続的・反復的に行う場合を禁止しており、一回限りの無償仲介には直接適用されません(ただし職業安定法の問題は別途生じます)。ウは正しく、第7条ただし書きにより、妨げのない限り請求時刻の変更が認められています。オは正しく、第5条違反は労基法の中で最も重い罰則(1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金)です。

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労基法総則条項(第5〜7条)の比較:

| 条文 | 禁止・義務の内容 | 主体 | 有給の要否 | 違反時の効果 |

|---|---|---|---|---|

| 第5条 強制労働の禁止 | 暴行・脅迫等で意思に反して労働を強制することの禁止 | 使用者 | — | 1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金(最重罰) |

| 第6条 中間搾取の排除 | 業として他人の就業に介入して利益を得ることの禁止 | 何人も | — | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金(第118条第2項) |

| 第7条 公民権行使の保障 | 労働時間中の公民権行使・公の職務執行に必要な時間の付与義務 | 使用者 | 規定なし(無給可) | 30万円以下の罰金(第120条) |

「業として」(第6条)の意味:

「業として」とは、継続的・反復的に行うことを業務として行う意味です。一回限り・無償の仲介行為は第6条の直接適用を受けませんが、職業安定法(無料・有料職業紹介の許可制)は別途問題になります。

公民権行使の範囲(第7条):

  • 選挙権・被選挙権の行使(投票・立候補等)
  • 労働委員会委員・裁判員としての職務
  • 国会議員・地方議会議員としての公の職務
  • 法律上の義務として行う公の職務(証人・審判等)

使用者は「妨げのない限り」請求された時刻を変更できるため、業務の繁忙を理由に時間帯の変更を求めることは可能ですが、完全拒否は不可です。

各選択肢の解説:

  • ア(正): 手段列挙(暴行・脅迫・監禁等)は例示であり、「その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段」という包括的な文言も含まれる。
  • イ(正): 「業として」の限定により、一回限り・無償の仲介は第6条の直接違反にはならない。ただし職業安定法上の問題は別途生じる。
  • ウ(正): 第7条ただし書きで時刻変更権を使用者に認めているが、拒否は不可。
  • エ(誤・正答): 第7条は有給を義務付けていない。有給か無給かは当事者間の合意・就業規則による。
  • オ(正): 第5条違反の罰則(第117条)は労基法最重罰(1年以上10年以下懲役または20万円以上300万円以下罰金)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【強制労働禁止(第5条)の歴史的背景と「最重罰」の意味】

労基法第5条が定める強制労働禁止は、戦前・戦中の強制連行・強制労働という歴史的悪弊への直接の反省から設けられた規定です。制定当初から労基法の中で唯一「1年以上」の下限付き懲役刑(絶対的法定刑に近い重さ)が規定されている点が、この条文の特別な位置付けを示しています。

現代においても、外国人技能実習生・研修生への強制労働事案・就職詐欺(借金でがんじがらめにして逃げられなくする手口)・ホストクラブでの債務漬けによる労働強制等が第5条違反の問題として浮上しています。令和8年度の社労士試験でも「第5条違反の罰則の重さ」は頻出の選択肢論点です。

【中間搾取排除(第6条)と職業安定法・労働者派遣法との関係】

第6条は「何人も(使用者だけでなく第三者も)」業として就業仲介で利益を得ることを禁じています。この規定と職業安定法・労働者派遣法の関係が試験上の重要論点です:

1. 職業安定法(有料・無料職業紹介): 厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者は第6条の「法律に基づいて許される場合」に該当するため違反にならない。

2. 労働者派遣事業: 都道府県労働局長の許可を受けた適法な労働者派遣は第6条の適用除外(職業安定法第4条第7項・労働者派遣法が法律に基づく許可の枠組みを設定)。

3. 無許可での有料仲介・派遣: 第6条違反および職業安定法・派遣法の違反が同時に成立。

【公民権行使保障(第7条)の「有給か無給か」の実務判断】

第7条は賃金支払義務を課していません。したがって:

  • 就業規則・労働協約に「有給」規定がある場合: 有給として扱わなければならない(就業規則・協約の規定が適用される)。
  • 規定がない場合: 無給でも違法ではない(ただし組合員の場合は労使慣行・協約が問題になる場合あり)。

実務上、裁判員制度(裁判員法第100条)は「裁判員・補充裁判員として裁判所に出頭することを理由とした解雇その他不利益取扱いの禁止」を規定していますが、賃金保障まで義務付けていません。使用者が「裁判員として出頭した日は欠勤扱いにする」ことは裁判員法・労基法第7条に違反しませんが、「出頭したことを理由に解雇する」ことは裁判員法違反になります。この微妙な区別が社労士実務でも問題になります。

【各条文違反の罰則比較(社労士試験頻出)】

労基法の主要罰則(重い順):

| 条文 | 内容 | 罰則 |

|---|---|---|

| 第117条(第5条違反) | 強制労働禁止 | 1年以上10年以下懲役または20万円以上300万円以下罰金 |

| 第118条(第6条・第56条違反) | 中間搾取・最低年齢違反 | 1年以下懲役または50万円以下罰金 |

| 第119条(第3条等違反) | 均等待遇・賠償予定禁止等 | 6か月以下懲役または30万円以下罰金 |

| 第120条(第7条等違反) | 公民権行使保障・記録保存等 | 30万円以下罰金 |

社労士試験では「どの条文違反が最も重い罰則か」「懲役刑か罰金刑か両方か」という形で出題されます。第5条違反(第117条)の「1年以上10年以下」という下限付きの懲役刑は最重罰として必ず覚えるべき条文です。

根拠: 労働基準法第5条・第6条・第7条・第117条・第118条・第119条・第120条。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第5条(強制労働の禁止)・第6条(中間搾取の排除)・第7条(公民権行使の保障)・第117条(強制労働禁止違反の罰則)・第118条(中間搾取等の罰則) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 強制労働(第5条)違反の罰則は第117条「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」で正確。中間搾取(第6条)違反は第118条「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」。設問オで第5条罰則を「1年以上10年以下/20万円以上300万円以下」と記載しており条文と一致。正答「エ」(公民権行使の有給義務なし)として確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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