社労士 労働基準法 問15:労働基準法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働基準法に規定する変形労働時間制およびフレックスタイム制に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア1か月単位の変形労働時間制(第32条の2)は、労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定期間を平均して1週間の労働時間が40時間以内となるよう、1日または1週間の労働時間を定めることができる制度である。
- イ1年単位の変形労働時間制(第32条の4)は、労使協定により対象期間を定め、対象期間を平均した1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲で、特定の日・週に長時間労働させることができるが、1日の労働時間の上限は10時間、1週間の労働時間の上限は52時間である。
- ウフレックスタイム制(第32条の3)において、清算期間の上限は1か月であり、1か月を超える清算期間(例えば3か月)を設定することは2019年4月の改正以降も認められていない。正答
- エフレックスタイム制の清算期間が1か月を超える場合(最大3か月)、清算期間全体で法定労働時間の総枠を超える場合に加え、各月においても月の途中に一定以上の労働時間超過がある場合には、その月の超過分について割増賃金が発生する。
- オ1週間単位の非定型的変形労働時間制(第32条の5)は、常時使用する労働者が30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店に限り、労使協定を締結することで利用できる特別の制度である。
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正答はウ(誤っている記述)です。
フレックスタイム制の清算期間は、2019年4月施行の労基法改正により、最長3か月に延長されました(改正前は1か月が上限)。ウの「2019年4月の改正以降も認められていない」という記述は誤りであり、3か月の清算期間は改正後に新たに認められた制度です。
アは正しく、1か月単位の変形労働時間制は就業規則または労使協定で設定できます。イは正しく、1年単位の変形労働時間制では1日10時間・1週52時間の上限があります。エは正しく、清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制では各月の途中超過分についても割増賃金が発生します。オは正しく、1週間単位の変形は30人未満の特定業種(小売業・旅館・料理店・飲食店)に限定されます。
変形労働時間制の4類型比較(令和8年度試験必須):
| 制度 | 根拠 | 設定要件 | 対象期間 | 1日上限 | 1週上限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1か月単位 | 第32条の2 | 就業規則または労使協定 | 1か月以内 | 制限なし(就業規則記載要) | 制限なし |
| 1年単位 | 第32条の4 | 労使協定(就業規則のみ不可) | 1か月超〜1年以内 | 10時間 | 52時間 |
| フレックス | 第32条の3 | 就業規則+労使協定 | 最大3か月(2019改正で延長) | コアタイム外は自由 | コアタイム外は自由 |
| 1週間単位 | 第32条の5 | 労使協定 | 1週間 | 10時間 | 40時間 | 30人未満の特定4業種 |
フレックスタイム制の2019年改正ポイント:
2019年4月施行の働き方改革関連法改正で、フレックスタイム制の清算期間が1か月→3か月に延長されました。清算期間が1か月を超える場合の割増賃金発生ルール(第32条の3の2)が新設されています:
1. 清算期間全体の超過: 清算期間の総労働時間が法定労働時間の総枠を超えた部分
2. 各月の途中超過: 1か月ごとの労働時間が「法定労働時間×当該月の週数」を超えた部分(清算期間末の精算前でも発生)
1年単位変形での連続労働制限:
1年単位の変形労働時間制では、連続して労働させることができる日数の上限が6日(特定期間は12日)に制限されています(施行規則第12条の4)。これは1か月単位の変形や通常の労働時間制にはない制限です。
各選択肢の解説:
- ア(正): 1か月以内の変形。就業規則のみでも設定可(1年単位と異なり労使協定不要)。
- イ(正): 1年単位の1日10時間・1週52時間の上限は条文値(第32条の4第3項)。
- ウ(誤・正答): 2019年改正でフレックスの清算期間上限が3か月に延長。「認められていない」は誤り。
- エ(正): 3か月清算のフレックスでは各月ごとの中間割増も発生する(第32条の3の2)。
- オ(正): 1週間単位変形は30人未満の4業種(小売・旅館・料理店・飲食店)に限定(第32条の5・施行規則第12条の5)。
【変形労働時間制の立法趣旨:繁閑の波がある業種への配慮と乱用防止の均衡】
変形労働時間制は、業種・業態によって繁忙期と閑散期の差が大きい(季節変動・週単位の需要変動等)事業者に対し、繁忙期に長時間労働・閑散期に短時間労働を組み合わせることで、総労働時間を法定時間内に収める設計です。単純に毎日8時間の壁を守らせると、需要ピーク時に人手不足になるか、定員を増やして閑散期に過剰人員を抱えるかの二択を強いられます。変形制はこのジレンマを法制度で緩和するものです。
ただし、乱用防止のために各類型に固有の制限が設けられています。特に1年単位の変形では労使協定(労基署への届出義務あり)・1日10時間/1週52時間の上限・連続6日の制限が課せられており、使用者の一存では設定できない構造です。
【フレックスタイム制の3か月清算:導入の利点と割増管理の複雑化】
清算期間を3か月に延長することで、例えば繁忙月(残業が多い月)の超過分を翌月・翌々月で調整して相殺し、3か月全体として法定内に収めることが可能になります。これにより、月単位では残業が発生していても四半期単位でバランスが取れていれば割増賃金が発生しないケースが増えます。
しかし、この「相殺」には中間月の管理が必要です。具体的には、清算期間中の各月においても「(法定労働時間×当該月の暦日数÷7)」を超えた部分の割増賃金は翌月支払が必要(清算期間末を待たずに発生)という新ルールが追加されました。この計算は実務上複雑であり、給与計算ソフトの対応が追いついていない中小企業では手計算が発生するリスクがあります。社労士はこの点を顧問先に説明し、対応ソフトへの移行を提案することが業務上の付加価値となります。
【1年単位変形と「特定期間」の扱い(高度な出題論点)】
1年単位の変形労働時間制では、労使協定で「特定期間」(特に業務が繁忙な期間)を定めた場合に限り、連続労働の制限が6日から12日に緩和されます(施行規則第12条の4第2項)。特定期間の適用条件:
1. 労使協定に「特定期間」として明示すること
2. 特定期間中であっても、連続12日を超えることは不可
3. 特定期間外の週は連続6日の上限を厳守
建設業・水産業・農業等で年単位の繁閑が明確な業種でこの制度の活用度が高く、試験では「特定期間なしの場合は6日・特定期間ありでも12日が最大」という数値を問う選択肢が出題されます。
【変形労働時間制と割増賃金の整合(社労士実務の肝)】
変形労働時間制の計算上最も重要な論点は「何を超えた時間に割増賃金が発生するか」です:
- 1か月単位・1年単位: 変形時間割表で「所定時間」を超えた場合でも、法定時間の範囲内であれば時間外割増不要(所定外労働は発生するが法内残業)。法定時間を超えた部分に初めて25%(または50%)の割増が義務化。
- フレックス(3か月清算): 清算期間総枠超過分+各月中間超過分に割増。
この区別を誤ると未払い残業問題・賃金計算ミスに直結するため、社労士試験の頻出かつ社労士実務の核心論点です。
根拠: 労働基準法第32条の2・第32条の3・第32条の3の2・第32条の4・第32条の5、労働基準法施行規則第12条の4・第12条の5。確認日2026-06-08。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第32条の2(1か月単位変形)・第32条の3(フレックスタイム制)・第32条の3の2(清算期間1か月超の扱い)・第32条の4(1年単位変形・1日10時間/1週52時間上限)・第32条の5(1週間単位変形・30人未満4業種)、労働基準法施行規則第12条の4・第12条の5 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 2018年働き方改革関連法による改正で2019-04-01施行のフレックスタイム制清算期間が1月→最大3月に延長(労基法第32条の3第1項)、清算期間1月超の場合は第32条の3の2で中間月超過分の割増ルールが新設、いずれも確認済。1年単位変形の1日10時間/1週52時間上限は第32条の4第3項、1週間単位変形の30人未満要件・小売/旅館/料理店/飲食店4業種限定は第32条の5・施行規則第12条の5でいずれも確認済。正答「ウ」(清算期間3月延長は認められている)として確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。