社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問15|変形労働時間制

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働基準法に規定する変形労働時間制およびフレックスタイム制に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウ(誤っている記述)です。

フレックスタイム制の清算期間は、2019年4月施行の労基法改正により、最長3か月に延長されました(改正前は1か月が上限)。ウの「2019年4月の改正以降も認められていない」という記述は誤りであり、3か月の清算期間は改正後に新たに認められた制度です。

アは正しく、1か月単位の変形労働時間制は就業規則または労使協定で設定できます。イは正しく、1年単位の変形労働時間制では1日10時間・1週52時間の上限があります。エは正しく、清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制では各月の途中超過分についても割増賃金が発生します。オは正しく、1週間単位の変形は30人未満の特定業種(小売業・旅館・料理店・飲食店)に限定されます。

変形労働時間制の4類型比較(令和8年度試験必須):

制度根拠設定要件対象期間1日上限1週上限
1か月単位第32条の2就業規則または労使協定1か月以内制限なし(就業規則記載要)制限なし
1年単位第32条の4労使協定(就業規則のみ不可)1か月超〜1年以内10時間52時間
フレックス第32条の3就業規則+労使協定最大3か月(2019改正で延長)コアタイム外は自由コアタイム外は自由
1週間単位第32条の5労使協定(常時30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店に限る)1週間10時間40時間

フレックスタイム制の2019年改正ポイント:

2019年4月施行の働き方改革関連法改正で、フレックスタイム制の清算期間が1か月→3か月に延長されました(第32条の3第1項第2号)。清算期間が1か月を超える場合は、次の両方を満たす必要があり、超えた部分は時間外労働となります(同条第2項):

1. 清算期間全体: 清算期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間(40時間)を超えないこと

2. 各月: 清算期間を1か月ごとに区分した各期間を平均し1週間当たりの労働時間が50時間を超えないこと(超えた月にその月の時間外労働として扱う)

なお第32条の3の2は、清算期間が1か月を超える場合に、途中入社・退職などで実際に労働させた期間が清算期間より短い労働者について、その期間を平均し週40時間を超えた部分に割増賃金を支払う規定です。

1年単位変形での連続労働制限:

1年単位の変形労働時間制では、連続して労働させることができる日数の上限が6日(特定期間は「1週間に1日の休日が確保できる日数」)に制限されています(施行規則第12条の4第5項)。条文に「12日」という数字はありませんが、ある週の最初の日と翌週の最後の日を休日にすると、その間の12日間を連続して労働させられる計算になるため、「特定期間は最長12日」と説明されます。これは1か月単位の変形や通常の労働時間制にはない制限です。

各選択肢の解説:

  • ア(正): 1か月以内の変形。就業規則のみでも設定可(1年単位と異なり労使協定不要)。
  • イ(正): 1年単位の1日10時間・1週52時間の上限は、第32条の4第3項の委任を受けた施行規則第12条の4第4項の値。
  • ウ(誤・正答): 2019年改正でフレックスの清算期間上限が3か月に延長(第32条の3第1項第2号)。「認められていない」は誤り。
  • エ(正): 清算期間が1か月を超える場合、各月ごとに週平均50時間を超えた部分はその月の時間外労働となり割増賃金が発生する(第32条の3第2項)。
  • オ(正): 1週間単位変形は30人未満の4業種(小売・旅館・料理店・飲食店)に限定(第32条の5・施行規則第12条の5)。

【変形労働時間制の立法趣旨:繁閑の波がある業種への配慮と乱用防止の均衡】

変形労働時間制は、業種・業態によって繁忙期と閑散期の差が大きい(季節変動・週単位の需要変動等)事業者に対し、繁忙期に長時間労働・閑散期に短時間労働を組み合わせることで、総労働時間を法定時間内に収める設計です。単純に毎日8時間の壁を守らせると、需要ピーク時に人手不足になるか、定員を増やして閑散期に過剰人員を抱えるかの二択を強いられます。変形制はこのジレンマを法制度で緩和するものです。

ただし、乱用防止のために各類型に固有の制限が設けられています。特に1年単位の変形では労使協定(労基署への届出義務あり)・1日10時間/1週52時間の上限・連続6日の制限が課せられており、使用者の一存では設定できない構造です。

【フレックスタイム制の3か月清算:導入の利点と割増管理の複雑化】

清算期間を3か月に延長することで、例えば繁忙月(残業が多い月)の超過分を翌月・翌々月で調整して相殺し、3か月全体として法定内に収めることが可能になります。これにより、月単位では残業が発生していても四半期単位でバランスが取れていれば割増賃金が発生しないケースが増えます。

しかし、この「相殺」には中間月の管理が必要です。具体的には、清算期間中の各月においても、その月を平均して週50時間(50時間×当該月の暦日数÷7)を超えた部分は、その月の時間外労働として割増賃金の支払が必要(清算期間末を待たずに発生)というルールが追加されました(第32条の3第2項)。この計算は実務上複雑であり、給与計算ソフトの対応が追いついていない中小企業では手計算が発生するリスクがあります。社労士はこの点を顧問先に説明し、対応ソフトへの移行を提案することが業務上の付加価値となります。

【1年単位変形と「特定期間」の扱い(高度な出題論点)】

1年単位の変形労働時間制では、労使協定で「特定期間」(対象期間中の特に業務が繁忙な期間)を定めた場合に限り、連続労働の制限が6日から「1週間に1日の休日が確保できる日数」に緩和されます(施行規則第12条の4第5項)。整理すると:

1. 特定期間は労使協定で定める(第32条の4第1項第3号)

2. 特定期間中も「1週間に1日の休日」は確保しなければならない。条文上の数字ではないが、第1週の初日と第2週の末日を休日とした場合の12日間連続が計算上の最長

3. 特定期間外は連続6日が上限

試験では「特定期間なしの場合は6日・特定期間ありでも1週間に1日の休日(計算上最長12日)」という組合せが問われます。

【変形労働時間制と割増賃金の整合(社労士実務の肝)】

変形労働時間制の計算上最も重要な論点は「何を超えた時間に割増賃金が発生するか」です:

  • 1か月単位・1年単位: 変形時間割表で「所定時間」を超えた場合でも、法定時間の範囲内であれば時間外割増不要(所定外労働は発生するが法内残業)。法定時間を超えた部分に初めて25%(または50%)の割増が義務化。
  • フレックス(3か月清算): 清算期間総枠超過分+各月の週平均50時間超過分に割増。

この区別を誤ると未払い残業問題・賃金計算ミスに直結するため、社労士試験の頻出かつ社労士実務の核心論点です。

根拠: 労働基準法第32条の2・第32条の3・第32条の3の2・第32条の4・第32条の5、労働基準法施行規則第12条の4・第12条の5。確認日2026-06-08。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第32条の2(1か月単位変形)・第32条の3(フレックスタイム制。清算期間1か月超の各月の上限は第2項)・第32条の3の2(清算期間途中で労働させた期間が短い労働者の割増賃金)・第32条の4(1年単位変形)・第32条の5(1週間単位変形・30人未満4業種)、労働基準法施行規則第12条の4(1日10時間/1週52時間上限・連続6日)・第12条の5 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 変形労働時間制(1か月単位・1年単位・フレックスタイム制
  • 頻出度A

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