問題
労働基準法に規定する妊産婦の保護に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウ(正しい記述)です。
妊産婦(妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性)が請求した場合、使用者は①法定時間外労働、②法定休日労働、③深夜業(午後10時〜午前5時)をさせてはなりません(第66条)。これは三六協定が締結されていても例外にはなりません。請求権は三六協定の有無に関わらず行使でき、使用者はこれを拒めません。
アは誤りです。産後8週間を経過しない女性は就業させてはならず、産後6週間を経過した女性が請求した場合でも、就かせることができるのは医師が支障がないと認めた業務に限られます(第65条第2項)。イは誤りです。軽易業務への転換(第65条第3項)を請求できるのは妊娠中の女性であり、産後の女性は対象ではありません。エは誤りです。産後8週間を経過しない女性は就業させてはならず(第65条第2項本文)、医師が支障がないと認めた業務に就かせることができるのは、産後6週間を経過した女性が請求した場合です(同項ただし書)。オは誤りで、生理休暇(第68条)は、生理日の就業が著しく困難な女性が請求すれば生理日に就業させてはならず、医師の診断書の提出を要件とする規定はありません。
妊産婦保護の条文別整理(第65条〜第68条):
| 条文 | 内容 | 請求者 | 請求の要否 |
|---|---|---|---|
| 第65条第1項 産前休業 | 出産予定日前6週間(多胎14週間)の休業 | 産前の女性 | 請求が必要(使用者は就業不可) |
| 第65条第2項 産後休業 | 産後8週間の就業禁止(絶対)、産後6〜8週間は医師が支障なしと認めれば可 | — | 8週間は原則就業禁止(6週経過後は本人の請求+医師の認めた業務のみ可) |
| 第65条第3項 軽易業務転換 | 妊娠中の女性が請求した場合に他の軽易業務に転換 | 妊娠中の女性 | 請求が必要 |
| 第66条第1〜3項 時間外・休日・深夜 | 妊産婦の請求により時間外・休日・深夜労働を免除 | 妊産婦 | 請求が必要(三六協定があっても適用) |
| 第67条 育児時間 | 1歳未満の乳児を育てる女性が1日2回30分以上の育児時間を請求可 | 1歳未満乳児を育てる女性 | 請求が必要 |
| 第68条 生理休暇 | 生理日の就業が著しく困難な女性が請求した場合の休暇 | 当該女性 | 請求が必要(有給か無給かは規定なし) |
産後休業の絶対禁止と相対禁止:
- 産後0〜6週間: 絶対禁止(労働者の請求があっても就業させてはならない)
- 産後6〜8週間: 相対禁止(原則就業禁止。ただし労働者の請求があり、かつ医師が支障なしと認めた業務に限り就業可)
- 産後8週間経過後: 制限なし(ただし妊産婦としての第66条の請求権は産後1年まで継続)
「妊産婦」の定義:
第66条の「妊産婦」=妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性(第64条の3の定義)。
各選択肢の解説:
- ア(誤): 産後6週間を経過した女性が請求した場合でも、就かせることができるのは「医師が支障がないと認めた業務」に限られる(第65条第2項ただし書)。産前は6週間(多胎14週間)が正しい。
- イ(誤): 軽易業務転換(第65条第3項)の対象は「妊娠中の女性」に限られる。産後1年を経過しない女性は含まれない。
- ウ(正): 妊産婦が請求した場合、第33条第1項・第3項、第36条第1項の規定にかかわらず時間外・休日労働をさせてはならず(第66条第2項)、深夜業もさせてはならない(同条第3項)。
- エ(誤): 医師が支障がないと認めた業務に就かせることができるのは「産後6週間を経過した女性が請求した場合」であり、「産後8週間を経過した女性」ではない(第65条第2項)。
- オ(誤): 第68条は「休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定め、医師の診断書を要件としていない。なお生理休暇中の賃金の支払義務は法律上定められていない。
【妊産婦保護規定の体系的理解:労基法・育介法・均等法の三法の連携】
妊産婦保護は労基法単独ではなく、育介法・男女雇用機会均等法との三法連携で理解する必要があります:
1. 労基法(第65〜68条): 産前産後休業・時間外/深夜労働の禁止・軽易業務転換・育児時間・生理休暇
2. 育介法: 育児休業(1歳に満たない子について申出・第5条)・出生時育児休業(子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内・第9条の2)・介護休業(第11条)など
3. 均等法: 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(第9条)、妊娠中・出産後の健康管理に関する措置(第17条・第18条)
社労士試験では、各制度の「根拠法」「請求者の要件」「有給か無給か」「違反時の効果」を混同しないことが重要です。
【軽易業務転換義務(第65条第3項)の実務上の限界と対応】
軽易業務転換は「妊娠中の女性が請求した場合」に使用者に課される義務です(第65条第3項)。産後の女性は対象ではなく、産後1年以内の女性の保護は第66条(時間外・休日・深夜業の制限)で図られます。
実務上の問題点:
- 少人数事業場(例:5人規模の建設業)で全員が重作業に従事している場合に「軽易業務」が存在しない
- 転換に伴う賃金低下が生じる場合(転換後の業務単価が低い等)
- 転換を拒否した場合の均等法第9条(妊娠等を理由とする不利益取扱い禁止)との交錯
これらは社労士が顧問先で必ず直面する問題であり、就業規則への明記・産前産後管理フローの整備が予防的実務の核心です。
【産後8週間の「絶対」と「相対」の立法趣旨】
第65条第2項は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないとし、ただし書で、産後6週間を経過した女性が請求した場合に医師が支障がないと認めた業務に就かせることだけを認めています。したがって産後6週間は、本人が請求しても就業させることはできません。
産後6〜8週間を「医師が支障なしと認めた業務に限り可」とする相対的禁止は、個々の女性の回復状況の多様性を考慮したものです。本人の請求があり、かつ医師が支障がないと認めた業務であることが就業の条件です(第65条第2項ただし書)。
【三六協定と妊産婦請求権の優先関係(社労士試験の頻出論点)】
三六協定(第36条)は、事業場全体として時間外・休日労働を可能にする労使協定ですが、個々の労働者(特に妊産婦)の請求権を消滅させるわけではありません。この「労使の集団的合意(三六協定)」対「個人の請求権(第66条)」の関係が試験での頻出論点です。
同様に、1か月単位・1年単位・1週間単位の変形労働時間制が適用されている事業場においても、妊産婦が請求した場合には、1週間40時間・1日8時間を超えて労働させてはなりません(第66条第1項)。フレックスタイム制(第32条の3)は第66条第1項の対象に含まれていない点に注意が必要です。
根拠: 労働基準法第64条の3・第65条・第66条・第67条・第68条、男女雇用機会均等法第9条・第17条・第18条。
- 労働基準法第64条の3e-Govで原文を読む
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第9条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第64条の3(妊産婦の定義)・第65条(産前産後休業)・第66条(妊産婦の労働時間制限)・第67条(育児時間)・第68条(生理休暇) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

