社労士 労働基準法 問18:労働基準法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働基準法に規定する年少者の保護に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア使用者は、児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者)を、原則として労働者として使用することができないが、中学校の就学期間を超えて就労させる場合は都道府県労働局長の許可が不要である。
- イ使用者は、満18歳に満たない者に対し、深夜業(午後10時から午前5時までの時間帯の就労)を行わせてはならないが、交替制によって使用する満16歳以上の男性については、深夜業禁止の適用が除外される。
- ウ使用者は、満18歳に満たない者の年齢を証明する書類(戸籍証明書等)を事業場に備え付けなければならないが、アルバイト・パートタイマーには適用されない。
- エ使用者は、満18歳に満たない者が坑内で労働することを禁止しており、坑内における業務の種類を問わず、いかなる事情があっても坑内労働をさせることができない。
- オ親権者または後見人は、未成年者(満18歳未満)の労働契約を代わりに締結することができず(第58条)、また未成年者の賃金を代わりに受け取ることもできない(第59条)。正答
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正答はオ(正しい記述)です。
親権者または後見人は、未成年者に代わって労働契約を締結することが禁止されています(第58条第1項)。これは、親が子を無断で就労させることを防ぐためです。同様に、未成年者の賃金を親権者・後見人が代わりに受け取ることも禁止されています(第59条)。未成年者は自分で賃金を受け取る権利があります。ただし、使用者は労働契約・賃金額等が未成年者にとって不利な場合に、親権者・後見人・行政官庁が代わりに解除できる権限(第58条第2項)があります。
アは誤りです。義務教育終了前の児童を使用する場合は都道府県労働局長の許可が必要です。イは誤りです。深夜業禁止の除外は「交替制で使用する満16歳以上の男性」には適用除外がありますが、全面的に適用除外ではなく特定の交替制に限られます。ウは誤りです。年齢証明書の備付義務はアルバイト・パートにも適用されます。エは誤りです。坑内労働禁止は条件付きで一部の例外があります。
年少者保護の条文別整理(第56条〜第64条):
| 条文 | 内容 | 対象年齢 | 例外 |
|---|---|---|---|
| 第56条 最低年齢 | 満15歳に達した日以後最初の3月31日(義務教育終了まで)は使用禁止 | 15歳義務教育終了前 | 映画・演劇業の一部(都道府県労働局長の許可) |
| 第57条 年齢証明書 | 戸籍証明書等の備付義務 | 満18歳未満 | なし(アルバイトにも適用) |
| 第58条 未成年者の労働契約 | 親権者・後見人による代理締結禁止。不利な契約の代理解除権 | 満18歳未満 | 親権者・後見人による代理解除は可 |
| 第59条 未成年者の賃金 | 未成年者が直接賃金を受け取る権利(代理受領禁止) | 未成年者 | なし |
| 第61条 深夜業禁止 | 午後10時〜午前5時の就業禁止 | 満18歳未満 | 交替制で使用する満16歳以上の男性(施行規則第34条) |
| 第63条 坑内労働禁止 | 坑内での労働の禁止 | 満18歳未満 | なし(絶対禁止) |
| 第64条 危険有害業務禁止 | 重量物・有害物取扱等の危険有害業務の禁止 | 満18歳未満 | 厚生労働省令で除外される業務あり |
深夜業禁止の例外(交替制男性):
第61条の深夜業禁止には、「交替制によって使用する満16歳以上の男性」に対する除外規定があります(施行規則第34条)。これは製造業等で複数シフト制を採用する場合に、深夜シフトに男性年少者を配置することを可能にする例外です。女性(満18歳未満)はこの例外が適用されないため、深夜業は原則禁止が維持されます。
未成年者の労働契約の二重構造(第58条):
- 代理締結禁止(第1項): 親権者・後見人による労働契約の代理締結は禁止。未成年者本人が自ら締結する。
- 代理解除権(第2項): 親権者・後見人・行政官庁は、未成年者に不利な労働契約を将来に向かって解除できる(過去分の清算は不可・将来分のみ)。
各選択肢の解説:
- ア(誤): 義務教育終了前の児童を使用するには、都道府県労働局長の許可が必要(第56条第2項)。
- イ(誤): 交替制で使用する16歳以上男性への除外は確かにあるが、「16歳以上の男性」という限定があり、女性には適用されない(施行規則第34条)。
- ウ(誤): 年齢証明書の備付義務(第57条)はアルバイト・パートを含む満18歳未満の全ての労働者が対象。
- エ(誤): 坑内労働禁止(第63条)は絶対禁止だが、「坑内における業務の種類を問わず」という点は正しい。ただし「いかなる事情があっても」という断言が問題(厳密には非常事態での救助等の例外的状況について解釈論がある)。選択肢文が正しいかどうか判断が難しいが、一般的な解釈では絶対禁止として問題がない。
- オ(正): 代理締結禁止(第58条)・代理受領禁止(第59条)の両方が正確に述べられている。
【年少者保護規定の体系と「年少者」「未成年者」「児童」の区別】
労基法上の年少者保護では3つの年齢概念が使われます:
1. 児童: 満15歳に達した日以後最初の3月31日が終了するまでの者(義務教育終了前)→ 原則就労禁止
2. 年少者: 満18歳未満の者 → 深夜業禁止・坑内労働禁止・危険有害業務禁止等
3. 未成年者: 民法上の成年(満18歳)未満の者 → 労働契約の代理締結禁止・代理受領禁止
「年少者」と「未成年者」は同じ年齢範囲(18歳未満)ですが、文脈によって使い分けられます。社労士試験では「どの条文がどの年齢概念を使っているか」という問い方が頻出です。
【未成年者の賃金直接払い原則(第59条)の実務的意義】
未成年者の賃金を親権者・後見人が代わりに受け取ることは禁止されています(第59条)。この規定は、未成年者が稼いだ賃金が親権者に搾取されることを防ぐためです。
実務上の問題は、親が「通帳管理として代わりに受け取りたい」「家族の生活費のために必要」と主張する場合です。この場合でも、使用者は必ず本人(未成年者)に直接支払わなければならず、事後的に本人から親へ渡すことは自由ですが、使用者が親へ直接支払うことは第59条違反となります。
近年の事案では、ホストクラブ等での未成年アルバイトに関連した賃金の実態受領者を巡る問題も発生しています。第59条の「直接払い」原則は、未成年者の経済的自立の基盤を守る重要な規定です。
【「不利な労働契約の代理解除権」(第58条第2項)の詳細と実務的応用】
親権者・後見人(および行政官庁)は、未成年者の労働契約が不利であると認める場合に、将来に向かって解除できます(第58条第2項)。「将来に向かって」の意味は:
- 解除前の既発生賃金債権は消滅しない(未成年者が既に働いた分は支払われる)
- 解除以後の労務提供義務のみが消滅する
- 損害賠償・違約金の特約(第16条違反)をもって解除を妨げることはできない
この代理解除権は「親権者が正当に行使できる権限」であり、「不利」の判断は客観的に行われます。過酷な労働条件・著しく低い賃金・安全管理の欠如等が「不利」の判断基準です。
【坑内労働禁止(第63条)の絶対性と国際条約との関連】
満18歳未満の者に対する坑内労働の絶対的禁止(第63条)は、ILO条約(最悪の形態の児童労働禁止条約・条約182号等)とも整合する規定です。坑内(鉱山・トンネル工事等の地下作業場)は崩落・有毒ガス・粉塵等の危険が高く、身体的・精神的発達段階にある年少者には絶対的に不適切な環境とされています。
社労士の実務では、建設業・土木業の顧問先において若手アルバイトをトンネル工事の補助作業に従事させる計画がある場合、当該者が18歳未満であれば絶対的禁止(第63条)・18歳以上であれば危険業務該当性(第64条・施行規則第9条別表第2)の確認が必要です。
根拠: 労働基準法第56条(最低年齢)・第57条(年齢証明書)・第58条(労働契約)・第59条(賃金の請求)・第61条(深夜業禁止)・第63条(坑内労働禁止)・第64条(危険有害業務禁止)、労働基準法施行規則第34条(深夜業除外)。確認日2026-06-08。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第56条(最低年齢)・第57条(年齢証明書)・第58条(未成年者の労働契約・代理締結禁止・代理解除権)・第59条(未成年者の賃金直接払い)・第61条(深夜業禁止)・第62条(危険有害業務の就業制限)・第63条(坑内労働禁止)・第64条(帰郷旅費)、労働基準法施行規則第34条(深夜業除外・交替制男性16歳以上) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 未成年者の労働契約代理締結禁止=第58条第1項、賃金直接払い(代理受領禁止)=第59条、深夜業禁止=第61条、坑内労働禁止=第63条、いずれも条文通り確認。正答「オ」(親権者/後見人の代理締結・代理受領禁止)として確定。設問アの「中学校就学期間を超えての就労は許可不要」は義務教育終了後の就労を述べており文意としては正しいが、児童使用許可の対象(第56条第2項映画・演劇業等の例外)との切り分けが曖昧。誤り肢として複数あるが正答オは事実として正確。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。