社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問19|就業規則の絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働基準法第89条に規定する就業規則の記載事項に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイ(正しい記述)です。

賃金(臨時の賃金等を除く)の決定・計算・支払方法・賃金の締切・支払時期・昇給に関する事項は、労働基準法第89条が定める絶対的必要記載事項です。これらの事項は制度の有無にかかわらず就業規則に必ず記載しなければなりません。イは法第89条第2号の規定を正確に記述しており、正しい記述です。

ア(始業・終業の時刻等は相対的ではなく絶対的必要記載事項・第89条第1号)・エ(退職手当は絶対的ではなく相対的必要記載事項)・ウ(安全衛生は相対的必要記載事項で「制度を設ける場合に記載」)・オ(制裁は相対的必要記載事項だが、定めをする場合は「その種類及び程度」を記載しなければならない・第9号)はそれぞれ誤りを含みます。

就業規則の記載事項(労働基準法第89条)の完全整理:

絶対的必要記載事項(第89条第1号〜第3号:必ず記載):

号記載事項
第1号始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに就業時転換(シフト交替)に関する事項
第2号賃金(臨時の賃金等を除く)の決定・計算・支払方法、賃金の締切・支払時期・昇給に関する事項
第3号退職に関する事項(解雇の事由を含む)

相対的必要記載事項(第89条第3号の2〜第10号:定めをする場合に記載):

号記載事項(定めをする場合)
第3号の2退職手当(適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期)
第4号臨時の賃金等(退職手当を除く)・最低賃金額
第5号労働者の食費・作業用品その他の負担
第6号安全・衛生
第7号職業訓練
第8号災害補償・業務外の傷病扶助
第9号表彰・制裁の種類・程度
第10号その他当該事業場の労働者のすべてに適用される定め

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関する事項は絶対的必要記載事項(第89条第1号)であり、常に記載が必要です。「相対的必要記載事項」は誤りです。
  • エ(誤): 退職手当(退職金)は相対的必要記載事項(第3号の2)です。退職手当制度を設ける場合のみ記載が義務付けられています。「絶対的必要記載事項」という記述は誤りです。
  • ウ(誤): 安全衛生に関する事項は相対的必要記載事項(第6号)です。安全衛生規程を設ける場合にのみ記載義務が生じます。「全ての事業場で記載義務がある絶対的必要記載事項」という記述は誤りです。
  • イ(正・正答): 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定・計算・支払方法・締切・支払時期・昇給は、就業規則の絶対的必要記載事項(第89条第2号)として法定されており、すべての事業場(常時10人以上)で記載が義務付けられています。
  • オ(誤): 制裁(懲戒)は相対的必要記載事項(第9号)であり、制裁の定めをする場合に記載義務が生じる点は正しい。しかし第9号は「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を記載事項としており、「種類及び程度は記載することを要しない」という後半の記述は誤りです。

【絶対的必要記載事項・相対的必要記載事項の意義と社労士実務への接続】

就業規則の記載事項は法第89条で明確に規定されており、記載漏れは同条違反(30万円以下の罰金・第120条)になる場合があります。

絶対的必要記載事項(第89条第1〜3号)の精密な解説:

第1号(始業・終業時刻等)の含意:

  • 変形労働時間制を採用する場合は、その旨と各期間の労働時間を規定
  • フレックスタイム制の場合はコアタイム・フレキシブルタイム等を規定
  • 「就業時転換」とはシフト制・交替制勤務のことで、各シフトの時刻・転換ルールの記載

第2号(賃金等)の含意:

  • 「臨時の賃金等」(賞与・一時金等)は除外されていることに注意
  • 昇給に関する事項(昇給の時期・条件・評価基準等)は第2号に含まれる
  • 「賃金の計算方法」とは、基本給・各手当の計算式・時間給と月給の区別等を意味する

第3号(退職)の含意:

  • 定年の有無と年齢
  • 退職の申し出方法と期限
  • 解雇の事由(就業規則に解雇事由を列挙することが義務化されており、解雇権濫用の防止との連動)

相対的必要記載事項の「定めがある場合」の意味:

「定めがある」とは「当該事業場において実際に制度・取扱いが存在する」ことを意味します。

例:

  • 退職手当制度がある→第3号の2の記載必要
  • 退職手当制度がない→第3号の2の記載不要
  • 懲戒規程がある→第9号の記載必要
  • 懲戒を行わない方針→第9号の記載不要

懲戒(制裁)の法的根拠と就業規則の必要性:

懲戒処分を行うには「就業規則等に懲戒の種類と事由が規定されていること」が大前提です(相対的必要記載事項であっても、制裁の定めをする以上は第9号によりその種類及び程度の記載が必要)。判例(最高裁・フジ興産事件)も、使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則に懲戒の種別及び事由を定めておくことを要するとしています。

懲戒処分の種類(軽い→重い順):

1. 訓戒・戒告(口頭または書面による指導・注意)

2. 減給(労基法第91条:1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない・総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない)

3. 出勤停止(一定期間の就労禁止)

4. 降格・降職(職位の引下げ)

5. 懲戒解雇(労働契約の懲戒的解除・退職金不支給を伴う場合が多い)

就業規則の記載事項と企業実務のポイント:

社労士が就業規則の作成・見直しを行う際のチェックリスト(抜粋):

1. 絶対的必要記載事項(第89条第1〜3号)が全て網羅されているか

2. 退職手当・賞与・安全衛生・懲戒等の相対的事項は実態に合わせて記載されているか

3. 変形労働時間制・フレックスタイム制を採用している場合の特則が規定されているか

4. 育児休業・介護休業等の法定事項(育介法等)との整合性

5. 兼業・副業の取扱い(禁止か許可制か)の明確化(最近の重点事項)

6. テレワーク・在宅勤務に関する規定の追加

7. ハラスメント防止・相談窓口の規定(2022年4月以降は中小企業にもパワハラ防止義務)

これらのチェックは社労士の就業規則コンサルティング業務の核心であり、試験では第89条の記載事項の正確な区別(絶対的・相対的)が問われます。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第89条(就業規則の記載事項) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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