問題
賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)に規定する未払賃金の立替払制度に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエ(誤っている記述)です。
立替払の請求期限は、破産手続開始の決定等があった日の翌日から、事実上の倒産の場合は労働基準監督署長の認定があった日の翌日から起算して2年以内です(施行規則第17条第5項)。エの「退職日の翌日から起算して6か月以内」は誤りです。
その他の選択肢はいずれも正しい記述です。立替払制度は、倒産した企業から賃金を受け取れなかった労働者を救済するために、政府(実施は労働者健康安全機構)が事業主に代わって未払賃金の一部を弁済し、弁済した分について事業主に求償する仕組みです。退職日の年齢で限度額が3区分に分かれる点が試験頻出です。
立替払制度の仕組みと要件(賃確法第7条・施行令第4条):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象事実 | ①法的倒産(破産・特別清算・民事再生・会社更生等)または②事実上の倒産(中小企業事業主の事業活動停止・再開見込みなし・賃金支払能力なし。労働基準監督署長の認定=施行規則第9条) |
| 対象労働者 | 破産手続開始等の申立て(事実上の倒産は認定申請)の日の6か月前の日から2年間に退職した労働者(施行令第3条) |
| 対象賃金の範囲 | 退職日の6か月前の日から立替払請求日の前日までに支払期日が到来した定期賃金・退職手当(2万円未満は対象外。施行令第4条第2項) |
| 立替払の限度額 | 未払賃金総額の80%。未払賃金総額の上限は退職日年齢別に110万円・220万円・370万円で、立替払の上限は30歳未満→880,000円、30歳以上45歳未満→1,760,000円、45歳以上→2,960,000円(施行令第4条第1項) |
| 請求期限 | 破産手続開始の決定等(事実上の倒産は認定)があった日の翌日から2年以内(施行規則第17条第5項)← 誤りの核心 |
| 求償 | 政府は弁済した分について事業主に求償し、労働者の未払賃金請求権を代位取得する |
各選択肢の整理:
- ア(正): 法的倒産と事実上の倒産の2類型が対象(賃確法第7条・施行令第2条)。
- イ(正): 対象賃金は退職日の6か月前の日から請求日の前日までに支払期日が到来した定期賃金・退職手当(施行令第4条第2項)。
- ウ(正): 年齢3区分の上限(施行令第4条第1項)。
- エ(誤): 請求期限は破産手続開始の決定等(事実上の倒産は認定)の日の翌日から「2年以内」(「退職日から6か月以内」は誤り)。
- オ(正): 立替払をした分について事業主に求償し、労働者の未払賃金請求権を代位取得する。
【賃確法の立法背景:倒産時における賃金保護の限界と立替払制度の登場】
賃金支払確保法は1976年に制定されました。労基法第24条の賃金支払5原則(通貨払・直接払・全額払・毎月払・一定期日払)は存在しますが、使用者が倒産した場合には債権回収の優先順位が問題になります。労基法第88条の先取特権は存在するものの、担保権者・税金・社会保険料との競合で実質的に賃金債権が回収できないケースが多発したことを受け、制度的に国が立替払する仕組みが整備されました。
【申請期限2年の実務的意義と「6か月」との混同リスク】
「6か月」は、立替払の対象となる退職の時期(申立て等の日の6か月前の日から2年間)や対象賃金の範囲(退職日の6か月前の日から)に出てくる数字で、請求期限(2年)と混同しやすい点に注意が必要です。請求期限の起算日は退職日ではなく、破産手続開始の決定等の日(事実上の倒産は労働基準監督署長の認定日)の翌日です。
【立替払額80%と限度額の二重制限】
立替払は未払賃金総額の80%です(残り20%は債権として残り、倒産手続の配当で受け取ることになります)。未払賃金総額には退職日年齢別の上限(110万円・220万円・370万円)があるため、例えば30歳以上45歳未満・未払賃金300万円の場合、未払賃金総額は上限の220万円となり、その80%の176万円が立替払額となります(施行令第4条第1項)。
【解雇予告手当と立替払の関係】
立替払の対象となる未払賃金は、定期賃金と退職手当に限られます(施行令第4条第2項)。解雇予告手当(労基法第20条)や賞与は対象に含まれません。
【代位取得後の機構の回収実務と社労士の役割】
立替払後、労働者健康安全機構は代位取得した債権を破産手続等の配当手続で回収します。社労士は企業の破産整理の際に「未払賃金立替払手続の支援」として、事実上の倒産についての労働基準監督署長の認定の申請支援や、対象労働者への制度説明・申請書類作成支援を行う業務機会があります。これは社労士法第2条第1項第1号の2(労基法等の規定に基づく申請)に該当します。
根拠: 賃金の支払の確保等に関する法律第7条、同法施行令第2条・第3条・第4条、同法施行規則第9条・第17条。
- 労働基準法第24条・第88条・第20条e-Govで原文を読む
- 社会保険労務士法第2条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃金の支払の確保等に関する法律第7条、同法施行令第2条〜第4条、同法施行規則第9条・第17条 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

