社労士 労働基準法 問20:労働基準法(関連法:賃金の支払の確保等に関する法律)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)に規定する未払賃金の立替払制度に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア立替払の対象となる未払賃金は、事業活動が停止し、再開の見込みがないと認められる場合、または倒産手続開始等の事実が認められる場合に、退職した労働者が請求できる。
- イ立替払の対象となる未払賃金の範囲は、退職日の6か月前の日から立替払請求日の前日までに支払期日が到来した定期賃金および退職手当のうち未払のものである。
- ウ立替払の限度額は、退職日における年齢によって区分され、30歳未満の者は880,000円円、30歳以上45歳未満の者は1,760,000円円、45歳以上の者は2,960,000円円とされている。
- エ立替払の申請は、退職日の翌日から起算して6か月以内に独立行政法人労働者健康安全機構に対して行わなければならない。正答
- オ立替払を行った独立行政法人労働者健康安全機構は、その立替払額の範囲内で、当該労働者が事業主に対して有していた未払賃金請求権を取得する(代位)。
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正答はエ(誤っている記述)です。
立替払の申請期限は、退職日の翌日から起算して2年以内に独立行政法人労働者健康安全機構に申請しなければなりません。エの「6か月以内」は誤りです。
その他の選択肢はいずれも正しい記述です。立替払制度は、倒産した企業から賃金を受け取れなかった労働者を救済するために、国(機構)が代わって未払賃金を立替払い、事後的に事業主に対して代位取得(立替払額の回収請求権を国が取得)する仕組みです。退職日の年齢で限度額が3区分に分かれる点が試験頻出です。
立替払制度の仕組みと要件(賃確法第7条・施行令第4条):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象事実 | ①法的倒産(破産・特別清算・民事再生・会社更生等)または②事実上の倒産(事業活動停止・再開見込みなし・厚生労働大臣確認) |
| 対象労働者 | 1年以上事業活動を行った事業所を退職した労働者 |
| 対象賃金の範囲 | 退職日の6か月前の日から立替払請求日の前日までに支払期日が到来した定期賃金・退職手当 |
| 立替払の限度額 | 退職日年齢別:30歳未満→880,000円円、30歳以上45歳未満→1,760,000円円、45歳以上→2,960,000円円 |
| 申請期限 | 退職日の翌日から2年以内(施行規則第12条)← 誤りの核心 |
| 代位取得 | 立替払後、機構が労働者から事業主への未払賃金請求権を代位取得(賃確法第8条) |
| 立替払額 | 未払賃金総額の80%(賃確法第7条第1項) |
各選択肢の整理:
- ア(正): 法的倒産と事実上の倒産の2類型が対象(賃確法第2条)。
- イ(正): 対象賃金は退職日前6か月内に支払期日到来分+退職手当。
- ウ(正): 3区分・3段階の限度額(施行令第4条)。
- エ(誤): 申請期限は「2年以内」が正しい(「6か月以内」は誤り)。
- オ(正): 代位取得(賃確法第8条)により機構が債権者として事業主に求償。
【賃確法の立法背景:倒産時における賃金保護の限界と立替払制度の登場】
賃金支払確保法は1976年に制定されました。労基法第24条の賃金支払5原則(通貨払・直接払・全額払・毎月払・一定期日払)は存在しますが、使用者が倒産した場合には債権回収の優先順位が問題になります。労基法第88条の先取特権は存在するものの、担保権者・税金・社会保険料との競合で実質的に賃金債権が回収できないケースが多発したことを受け、制度的に国が立替払する仕組みが整備されました。
【申請期限2年の実務的意義と「6か月」との混同リスク】
試験頻出の誤り肢として「6か月以内」が使われる背景には、労基法の解雇予告除外・退職証明書発行義務等の「即時」・「遅滞なく」要件と混同させる意図があります。立替払申請2年は、倒産手続が複雑になる場合(破産管財人選任・配当計算に時間がかかる場合等)を考慮した比較的長い期限です。社労士実務では「離職から2年以内であれば立替払申請の機会がある」ことを被解雇者に案内できることが重要です。
【立替払額80%と限度額の二重制限】
立替払は未払賃金総額の80%が支払われます(残り20%は債権として残り、倒産手続の配当で受け取ることになります)。さらに限度額(年齢別3段階)との二重制限があるため、「80%×未払賃金」と「限度額」のうち低い方が実際の立替払額となります。例えば45歳未満・未払賃金300万円の場合、80%=240万円が限度額176万円を超えるため、立替払は176万円となります。
【解雇予告手当と立替払の関係】
賃確法の対象には「退職手当」が含まれますが、解雇予告手当(労基法第20条)の扱いは注意が必要です。解雇予告手当は「賃金」ではなく「手当」として性格が異なるという議論がありましたが、賃確法の実務運用上は退職に伴う支払い債権として立替払の対象に含まれると解されており、社労士試験でもこの点が問われることがあります。
【代位取得後の機構の回収実務と社労士の役割】
立替払後、労働者健康安全機構は代位取得した債権を破産手続等の配当手続で回収します。社労士は企業の破産整理の際に「未払賃金立替払手続の支援」として、事業活動停止の厚生労働大臣確認(事実上の倒産手続)の申請支援や、対象労働者への制度説明・申請書類作成支援を行う業務機会があります。これは社労士法第2条第1項第1号の2(労基法等の規定に基づく申請)に該当します。
根拠: 賃金の支払の確保等に関する法律第2条・第7条・第8条、同法施行令第4条、同法施行規則第12条。確認日2026-06-08。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃金の支払の確保等に関する法律第7条・第8条、同法施行令第4条 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): エが誤り。立替払の申請期限は退職日の翌日から起算して「2年以内」(賃確法第7条第1項・施行規則第12条)。6か月ではない。ア「事業活動停止・再開見込みなし(事実上の倒産)」は同法第2条第2項第2号と整合。イ「退職前6か月・退職手当含む」は同法施行令第1条と整合。ウの3区分・金額は施行令第4条(2010年改定値)と整合。オ「代位取得」は同法第8条と整合。正答エで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。