問題
労働基準法に規定する有期労働契約の期間・労働条件の明示に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(正しい記述)です。
明示された労働条件が事実と相違することを理由に労働契約を即時解除した労働者が、就業のために住居を変更していた場合、契約解除の日から14日以内に帰郷するときは、使用者は必要な旅費を負担しなければなりません(第15条第3項)。
アは誤りで、一定の事業の完了に必要な期間を定める契約にはそもそも3年の上限が適用されず、高度専門職・60歳以上の労働者との契約は5年まで認められます。イは誤りで、60歳以上の労働者との契約にも5年の特例が適用されます(第14条第1項第2号)。ウは誤りで、書面等での明示が必須なのは賃金・労働時間等の一定事項のみです。エは誤りで、労働者は是正を求めることなく即時に契約を解除できます(第15条第2項)。
有期労働契約の期間の上限(第14条第1項):
| 区分 | 上限期間 |
|---|---|
| 原則(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除く) | 3年 |
| 一定の事業の完了に必要な期間を定める契約 | 上限の適用なし(当該期間まで) |
| 高度の専門的知識等を有する労働者との契約(第1号) | 5年 |
| 満60歳以上の労働者との契約(第2号) | 5年 |
労働条件の明示(第15条)の構造:
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項前段 | 労働契約締結に際し、賃金・労働時間その他の労働条件を明示する義務 |
| 第1項後段 | 賃金・労働時間等厚生労働省令で定める事項は、厚生労働省令で定める方法(書面交付等)で明示 |
| 第2項 | 明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できる |
| 第3項 | 第2項により就業のため住居を変更した労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷するときは、使用者が旅費を負担 |
各選択肢の精査:
- ア(誤): 「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは」3年を超えてはならないとされており、事業完了に必要な期間を定める契約は3年の上限自体が適用されない。また第1号・第2号の場合は5年まで認められる。
- イ(誤): 第14条第1項第1号(高度専門職)と第2号(満60歳以上)はいずれも上限5年で、60歳以上に特例がないというのは誤り。
- ウ(誤): 厚生労働省令で定める方法による明示が必要なのは「賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項」に限られ、労働条件全体ではない。
- エ(誤): 第15条第2項は「労働者は、即時に労働契約を解除することができる」と定め、是正の申入れを前置する要件はない。
- オ(正): 第15条第3項のとおり。
【有期労働契約の期間規制の趣旨】
第14条第1項は、労働者を長期間にわたって不利な条件下に拘束することを防ぐため、有期労働契約の期間に上限を設けている。原則は3年だが、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」(たとえば特定の建設プロジェクトの完了までの雇用)はそもそも3年という上限の対象外であり、その事業が完了するまでの期間で契約できる。これに対し、高度の専門的知識等を有する労働者(第1号)と満60歳以上の労働者(第2号)については、労働者側の交渉力・自己決定力が高いと考えられることから、上限が5年に緩和されている。
【期間満了時の紛争防止(第14条第2項・第3項)】
第14条第2項は、厚生労働大臣が有期労働契約の締結時・期間満了時の紛争を未然に防止するため、使用者が講ずべき「期間の満了に係る通知」等の基準を定めることができると規定する。第3項は、行政官庁がこの基準に関して使用者に必要な助言及び指導を行うことができるとする。これは「基準」の策定・「助言及び指導」という行政指導の枠組みであり、直接の罰則を伴う強行規定ではない点に注意が必要である(いわゆる「有期労働契約の締結・更新・雇止めに関する基準」告示の根拠規定)。
【労働条件明示義務(第15条)の対象事項の広狭】
第15条第1項は前段で「賃金、労働時間その他の労働条件」の明示を一般的に義務付け、後段で「賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」と、明示の方法を書面等に限定する対象を限定列挙する構造をとる。つまり、労働条件全般について明示義務はあるが、書面等の厳格な方法が要求されるのは省令で定める一定事項(賃金・労働時間・就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲等)に限られ、それ以外の労働条件は口頭明示でも義務違反とはならない。この「明示義務の対象」と「書面等での明示が必要な対象」の区別は、社労士試験で頻出の誤り肢の設計ポイントである。
【労働条件相違時の即時解除権(第15条第2項)】
第15条第2項の即時解除権は、労働者に有利な特則である。一般の民法上の契約解除では催告(是正の申入れ)が原則要求される場合があるが、本条は労働者保護の観点から催告を要さず、明示された労働条件と事実が相違すれば労働者は直ちに契約関係から離脱できる。使用者に是正の機会を与える規定は置かれていない。
【帰郷旅費の負担(第15条第3項)】
第15条第3項は、就業のために住居を変更した労働者が、労働条件相違を理由とする契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者に旅費負担義務を課す。これは、労働条件の相違という使用者側の問題によって労働者が新たな住居への転居を強いられた状態から元の生活基盤に戻ることを保障する趣旨であり、第64条(年少者の帰郷旅費)と並んで、労働契約終了時の労働者保護規定として位置づけられる。
根拠: 労働基準法第14条・第15条。e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 )で2026-09-30時点の条文を確認。
- 労働基準法第14条e-Govで原文を読む
- 民法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第14条(契約期間等)・第15条(労働条件の明示)。e-Gov法令検索で2026-09-30時点の現行条文を確認。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

