労働基準法22労働基準法

社労士 労働基準法 問22:労働基準法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働基準法に規定するみなし労働時間制に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事し、かつ使用者の具体的な指揮監督が及ばないため労働時間の算定が困難な場合に適用でき、この場合は所定労働時間を労働したものとみなす。
  • 専門業務型裁量労働制は、業務遂行の手段・時間配分等について使用者が具体的指示をしない旨の労使協定を締結し、行政官庁に届け出ることで、協定で定めた時間を労働したものとみなすことができる。
  • 企画業務型裁量労働制は、対象業務(事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査・分析業務)について、労使委員会の5分の4以上の多数による決議を行政官庁に届け出ることで実施できる。
  • 企画業務型裁量労働制の対象事業場は、事業場の規模・業種を問わず、本社・本店のみならず支社・支店にも適用することができる。正答
  • 専門業務型裁量労働制の対象業務は、厚生労働省令で定める20業務に限定されており、使用者が自由に対象業務を追加することはできない。
正答:企画業務型裁量労働制の対象事業場は、事業場の規模・業種を問わず、本社・本店のみならず支社・支店にも適用することができる。

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正答はエ(誤っている記述)です。

企画業務型裁量労働制の対象事業場は、「事業の運営に関する企画・立案・調査・分析業務を行う事業場」でなければなりません。単純に「規模・業種を問わず支社・支店にも無制限に適用できる」わけではなく、その支社・支店が実際に企画立案業務を行っているかどうかが判断基準となります。

みなし労働時間制には3区分があります。①事業場外みなし(具体的指揮監督が困難な外勤労働者等)、②専門業務型裁量(研究者・デザイナー等の省令規定19業務)、③企画業務型裁量(事業運営に関する企画・立案業務)です。

標準試験対策の基準レベル

みなし労働時間制の3区分比較(労基法第38条の2〜第38条の4):

| 区分 | 根拠条文 | 手続要件 | みなし時間 | 主な対象 |

|---|---|---|---|---|

| 事業場外みなし | 第38条の2 | 労使協定(特定時間の場合)/ 書面不要(所定時間みなしの場合) | 所定労働時間 or 通常必要時間 | 外回り営業・取材記者等 |

| 専門業務型裁量 | 第38条の3 | 労使協定+行政官庁への届出 | 協定で定めた時間 | 省令19業務(研究・取材・デザイン・SE等) |

| 企画業務型裁量 | 第38条の4 | 労使委員会の5/4以上多数決議+行政官庁への届出 | 決議で定めた時間 | 事業運営の企画・立案・調査・分析業務 |

企画業務型裁量(エの誤りの核心):

企画業務型裁量の対象となる「事業場」は、(1)対象業務(企画・立案・調査・分析)が実質的に行われており、(2)労使委員会が設置できる規模の事業場に限られます。支社・支店への適用は「その支社・支店が実際に企画立案業務を行っているか」の実態判断が必要であり、「規模・業種を問わず支社にも適用できる」と無条件に述べたエは誤りです。

各選択肢の整理:

  • ア(正): 事業場外みなし=所定労働時間みなしの原則(第38条の2第1項)。
  • イ(正): 専門業務型=労使協定+届出(第38条の3)。
  • ウ(正): 企画業務型=労使委員会5/4多数決議+届出(第38条の4)。
  • エ(誤): 企画業務型の対象事業場に無制限な適用はできない。
  • オ(正): 専門業務型は省令20業務限定(情報処理・取材・研究・制作・デザイン・SE・プロデューサー等+2024年4月追加のM&Aアドバイザリー業務)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【みなし労働時間制3区分の立法経緯と設計思想の違い】

労基法は原則として「実労働時間を計算して賃金を算定する」体系ですが、①外回り営業のように時間管理が物理的に困難な場合、②高度専門職のように時間管理より業務の質・成果が重要な場合に、みなし規定という「例外的フィクション」を設けています。

  • 事業場外みなし(1987年創設):使用者の指揮監督が及ばない外勤者の実務的ニーズを背景に創設。スマートフォン普及後は「指揮監督が及ばない」要件が問い直され、GPS管理・メール連絡等で常時連絡可能な場合はみなし制の適用が否定された裁判例もあります。
  • 専門業務型裁量(1988年創設):「知的創造業務は時間ではなく成果で評価すべき」という考え方から創設。省令20業務(研究・取材・編集・デザイン・建築・弁護士/公認会計士等・SE・コピーライター・大学教員・アナリスト・証券アナリスト・公認会計士等の業務・商品開発等+2024-04追加のM&Aアドバイザリー業務)に限定。
  • 企画業務型裁量(1999年創設):バブル崩壊後の産業構造転換に対応した「ホワイトカラー型」裁量労働制として創設。手続要件が厳格(労使委員会の5/4以上多数決議・6か月以内ごとに結果の労働者への周知・記録保存3〜5年)。

【「事業場」要件の厳格解釈:エが誤りである理由の詳細】

企画業務型裁量の対象事業場について、厚生労働省の運用指針は以下の要件を示しています:

1. 当該事業場において「事業の運営に関する事項の企画・立案・調査・分析業務」が実際に行われていること

2. 当該業務が「業務の性質上その業務遂行の手段や時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととするもの」であること

3. 労使委員会(労側委員5人以上・労使同数)が実質的に機能していること

単純な支社・支店は「本社の指示に従い既定業務を実施する場」であることが多く、企画立案業務を実質的に行っていない場合は対象外です。過去の行政指導・裁判例では、「外見上企画業務に見えても実態は本社決定事項の実行部隊」の場合は適用要件を満たさないとされたケースがあります。

【労使委員会の5/4多数と過半数代表制との違い:試験出題の急所】

企画業務型裁量の労使委員会決議は「5分の4以上の多数」が必要です(労基法第38条の4第1項)。この点は、通常の労使協定が「過半数」で足りることと対比されます。なぜ5/4なのか:企画業務型は導入による健康障害リスクが高く、少数意見(1/5)まで反対できても採決できるよう、少数保護を厚くした設計です。また、労使委員会は常設機関として機能させる必要があり、単発の書面協定ではなく継続的な協議体としての実体が求められます。

社労士実務では、企画業務型裁量の導入希望企業に対して「対象事業場の実態確認→労使委員会の組織化→6か月ごとの運用報告体制の構築」を支援する業務があります。

根拠: 労働基準法第38条の2〜第38条の4、労働基準法施行規則第24条の2の2(専門業務型対象20業務・2024-04施行)。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第38条の2(事業場外みなし)・第38条の3(専門業務型)・第38条の4(企画業務型)、労働基準法施行規則第24条の2の2(専門業務型対象20業務) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): エが誤り。企画業務型裁量労働制は「対象事業場」について「当該事業の運営に関する事項について企画・立案・調査・分析業務を行う事業場」が対象であり、支社・支店への適用は実態判断(企画立案業務が行われているか否か)による。「規模・業種を問わず支社にも適用できる」という無制限な記述は誤り。ア(所定労働時間みなし)・イ(専門業務型・労使協定+届出)・ウ(企画業務型・労使委員会5/4多数決議)・オ(専門業務型・省令20業務限定)はいずれも正しい。★2026-06-08修正:オの業務数を「19業務」→「20業務」に修正(2024-04-01施行で「銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査・分析及び助言業務(M&Aアドバイザリー業務)」が追加されたため)。正答エで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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