問題
労働基準法に規定する休憩時間の付与に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
労基法第34条は休憩時間の付与について「一斉付与」「自由利用」「労働時間の途中付与」の3原則を定めています。一斉付与については例外として①施行規則第31条で定める特定業種(運送業・商業・金融業・飲食店業等)は法律上当然に一斉付与が免除され、②その他の事業では労使協定を締結することで一斉付与義務を免除できます(エが正しい)。
ウは誤りで、手待ち時間(電話番・来客対応等)は使用者の指揮命令下にある時間であり、労働時間に該当します。休憩中と称されていても実態が労働時間なら賃金が発生します。オも誤りで、第34条第3項は「休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めるだけで、外出の許可制を明文で禁止してはいません。
休憩時間の3原則(労基法第34条):
| 原則 | 内容 | 違反の効果 |
|---|---|---|
| 途中付与 | 労働時間の途中(開始前・終了後は不可)に付与 | 違反は休憩付与義務違反(第119条罰則) |
| 一斉付与 | 全労働者に同時に付与 | 例外:①施行規則第31条除外業種・②労使協定 |
| 自由利用 | 休憩時間は労働者が自由に利用できる | 手待ち時間・強制的な業務従事は労働時間に該当 |
付与時間:
- 労働時間6時間超:少なくとも45分
- 労働時間8時間超:少なくとも1時間
各選択肢の精査:
- ア(誤): 「8時間を超える場合は少なくとも1時間30分」が誤り。法定は「1時間」(労基法第34条第1項)。「6時間超は45分・8時間超は1時間」が正しい。
- イ(誤): 一斉付与原則の例外には、①施行規則第31条の除外業種(労使協定不要)と、②過半数代表との書面協定(労使協定による除外)の2系統がある。労使協定締結により一斉付与を免除できる事業は施行規則第31条の業種以外にも存在する。「協定でも除外できない」は誤り。
- ウ(誤): 手待ち時間は指揮命令下にある労働時間。「休憩と称されても自由利用ではない」が正しい。
- エ(正): 別表第一第4号(運輸交通)・第8号(商業)・第9号(金融・広告)・第10号(映画・演劇)・第11号(郵便・電気通信)・第13号(保健衛生)・第14号(接客娯楽=旅館・飲食店等)の事業と官公署の事業には、一斉付与(第34条第2項)が適用されない(施行規則第31条)。労使協定なしに個別の時差休憩が可能。
- オ(誤): 第34条第3項の文言は「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない」であり、外出の許可制を明文で禁止する規定はない。許可制が自由利用の原則に反するかは、その運用の実態で判断される。
【休憩時間の自由利用原則と「労働時間」認定の実務的境界線】
「休憩時間」と「労働時間(手待ち時間)」の区別は、社労士試験・労働実務の両面で最重要論点の一つです。最高裁判所は「労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」(三菱重工長崎造船所事件・最判平成12年3月9日)と定義しました。「休憩中」と名付けられていても、使用者の指揮命令下から解放されていなければ労働時間です。典型例:
- 電話番・来客対応(常に対応を求められる→労働時間)
- 制服への着替え時間(義務付けられている場合→労働時間)
- 残業後に「待機してくれ」と言われた時間(指示があれば→労働時間)
【施行規則第31条の除外業種と「許可制外出」の運用実務】
施行規則第31条が一斉付与を除外する業種は「その業務の性質上、全員を同時に休憩させることが困難」な特性を持ちます。例えば飲食店(昼食ピーク時は全員休憩不可)・百貨店(開店中は接客要員必要)・タクシー(乗客がいれば乗り続ける)等がこれに当たります。これらの業種では「ローテーション休憩」「分散休憩」が当然の実務運用です。
「外出許可制」については、第34条第3項に明文の禁止はなく、事業場内で自由に休息できることを前提に外出を許可制とすることは、直ちに自由利用の原則に反するものではないと説明されています。ただし「許可を実質的に常に拒否する」「外出申請の事務処理が煩雑で事実上外出できない」状態は自由利用の侵害となり得ます。
【「途中付与」原則の実務:終業直前休憩・残業直後休憩の違法性】
休憩の「途中付与」原則は社労士実務でよく問題になります。以下は違反例・適法例の整理です:
- 違反例①: 所定終業時刻の直前30分間を「休憩」とし、その後残業なしに退社させる→「途中」ではなく「終了直前」に付与しており、労働時間途中付与の原則違反
- 違反例②: 8時間労働の終了後に「今日は忘れてたので1時間休憩を後付け」→終業後の付与は「労働時間の途中」ではない
- 適法例: フレックスタイム制下で「出社後いつ取ってもよいが取らずに8時間超えた場合は必ず途中で1時間取ること」→途中付与の原則を満たす
【社労士が知っておくべき「休憩ゼロ」事例と請求実務】
現場・工場・介護施設では「休憩なし・昼食5分で席に戻る」等の実態が問題になります。この場合:
1. 名目「休憩時間」は実態として労働時間→未払い割増賃金の問題
2. 休憩付与義務違反(労基法第34条違反)→6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第119条第1号)
3. 6時間超なのに30分しか休憩を付与していない(45分に満たない)→これ単体でも違反
社労士は顧問先での「休憩管理」の実態確認(タイムカード・打刻記録と勤務実態の乖離確認)を行い、必要に応じて就業規則・勤怠管理システムの整備を支援します。
根拠: 労働基準法第34条(休憩)、同法施行規則第31条(一斉付与除外業種)。確認日2026-09-30。
- 労働基準法第34条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第34条(休憩)、同施行規則第31条(一斉付与除外業種) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

