労働基準法27労働基準法

社労士 労働基準法 問27:労働基準法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働基準法に規定する寄宿舎に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**の組合せはどれか。

  • 使用者は、事業の附属寄宿舎を設置する場合、寄宿舎規則を作成し、あらかじめ行政官庁に届け出なければならない。正答
  • 使用者は、寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由(面会の自由・外出の自由・個人の所持品等の不可侵)を侵してはならない。
  • 寄宿舎規則の作成にあたり、使用者は寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。
  • 使用者が寄宿舎に設けた外出規制・起床就寝時刻の一律管理は、事業場の安全衛生確保のための合理的な規制であり、労基法上問題はない。
  • 寄宿舎の安全衛生に関する基準(換気・採光・照明・保温・防湿・清潔・避難・定員収容等)は法令ではなく使用者の自主判断に委ねられている。
正答:使用者は、事業の附属寄宿舎を設置する場合、寄宿舎規則を作成し、あらかじめ行政官庁に届け出なければならない。

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正答はア・イ・ウの3つが正しい記述です。

労基法第94条〜第96条は寄宿舎の規制を定めています。主要なルールは以下の3点です。

  • ア(正): 寄宿舎規則を作成し、あらかじめ行政官庁(所轄労基署長)に届出が必要(第95条第3項)
  • イ(正): 使用者は労働者の私生活の自由(面会・外出・所持品の自由)を侵してはならない(第94条)
  • ウ(正): 寄宿舎規則の作成は、寄宿労働者の過半数を代表する者の同意が必要(第95条第2項)

エ(外出規制・起床就寝の一律管理が問題なし)は誤りで、私生活の自由(第94条)に反します。オ(安全衛生は使用者の自主判断)も誤りで、事業附属寄宿舎規程により換気・採光・避難等の安全衛生基準が法定されています(第96条)。

標準試験対策の基準レベル

労基法の寄宿舎規制の体系(第94〜96条):

| 条文 | 内容 | 規制の方向性 |

|---|---|---|

| 第94条 | 使用者は寄宿労働者の私生活の自由(面会・外出・所持品等)を侵してはならない | 使用者による生活支配の禁止 |

| 第95条 | 寄宿舎規則の作成+寄宿労働者過半数代表の同意+行政官庁への届出 | 自治的な規則形成の保障 |

| 第96条 | 設備・安全衛生の基準 | 最低限の住環境保障 |

「寄宿舎」の定義(行政解釈による):

事業の附属寄宿舎とは「使用者が労働者を宿泊させるために設置・管理する施設」を指します。行政解釈(昭和23年基発565号等)では、①事業主が設置・管理していること、②複数の労働者が宿泊していること、③使用者の支配下にあること、が要件とされています。従業員が自発的に集まって住む集合住宅(サブリース等)は含まれません。

各選択肢の精査:

  • ア(正): 第95条第3項。寄宿舎規則の事前届出義務。
  • イ(正): 第94条。私生活の自由の保障。面会禁止・外出禁止・所持品チェック等は禁止。
  • ウ(正): 第95条第2項。「同意」(合意)であることに注意(就業規則の「意見聴取」より強い要件)。
  • エ(誤): 外出規制・起床就寝の一律管理は第94条の「私生活の自由」侵害。私生活管理は禁止。
  • オ(誤): 寄宿舎の安全衛生基準(換気・採光・照明・保温・防湿・清潔・避難・定員収容等)は事業附属寄宿舎規程により法定されており「使用者の自主判断」ではない。第96条違反は罰則対象(第119条等)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【寄宿舎規制の立法背景:戦前・戦後の工場寄宿舎における労働者支配の排除】

明治・大正・昭和戦前期の紡績業・製糸業等では、女性労働者(女工)が工場の寄宿舎に集住させられ、外出禁止・監視・強制労働が横行していました。1947年の労基法制定はこうした「会社による労働者の生活全体の支配」を否定することを目的として、第94条〜第96条の寄宿舎規制を設けました。第94条の「私生活の自由を侵してはならない」は、単なる努力義務ではなく罰則付きの強行規定です(第120条・30万円以下の罰金)。

【第95条「同意」の実質的意義:就業規則「意見聴取」との区別】

寄宿舎規則の作成には「寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意」が必要です(第95条第2項)。この「同意」は就業規則(第90条)の「意見を聴くこと(意見聴取)」より強い要件です。

| | 寄宿舎規則(第95条) | 就業規則(第90条) |

|---|---|---|

| 要件 | 同意(代表者の合意が必要) | 意見聴取(反対意見でも作成可) |

| 届出先 | 行政官庁(所轄労基署長) | 行政官庁(所轄労基署長) |

なぜ「同意」なのか:寄宿舎規則は労働者の職場外の生活(居住空間)に直接及ぶため、就業規則より高い民主的正当性が必要とされます。代表者が反対した場合、使用者は規則を変更するか、合意を得るための交渉が必要になります。

【現代の寄宿舎問題:外国人技能実習生の寄宿舎と第94条違反事例】

現代において寄宿舎規制が問題になる典型例は外国人技能実習生の住環境です。使用者が宿舎を提供しながら、①外出禁止・外出時の監視、②パスポート・在留カードの取り上げ(第94条・外出の自由侵害)、③過密・不衛生な住環境(第96条・安全衛生基準違反)という問題が多数報告されています。2024年の技能実習制度廃止・育成就労制度への移行に伴い、寄宿舎の安全衛生基準と第94条の私生活保障はより厳格に適用・監視されるようになっています。社労士は外国人労働者を雇用する顧問先企業に対して寄宿舎関連の法令遵守(第94〜96条のチェック・寄宿舎規則の整備・届出)を支援する重要な業務機会があります。

【寄宿舎規則に記載すべき事項(施行規則第45条)】

寄宿舎規則に定めなければならない事項(施行規則第45条):

1. 起床・就寝・外出・外泊に関する事項

2. 行事に関する事項

3. 食事に関する事項

4. 安全・衛生に関する事項

5. 建設物・設備の管理に関する事項

ただし「起床・就寝の規則を定めること」と「一律に管理する(従わない者に罰則を科す等)こと」は別問題です。寄宿舎規則に時刻を定めることは可能ですが、その運用が第94条の私生活の自由侵害になってはなりません。

根拠: 労働基準法第94条・第95条・第96条・第120条、同法施行規則第45条。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第94条(寄宿舎生活の自由保障)・第95条(寄宿舎規則)・第96条(設備・安全衛生)、事業附属寄宿舎規程 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): ★2026-06-08重要修正:正答欄と解説の不整合を是正。元の正答「ア・イ・オ」を「ア・イ・ウ」に統一(解説本文とも整合)。ア「寄宿舎規則の事前届出」→第95条第3項で正しい。イ「私生活の自由保障」→第94条第1項で正しい。ウ「過半数代表の同意」→第95条第2項で正しい(「同意」が要件・就業規則第90条の「意見聴取」より強い要件)。エ「外出規制・起床就寝の一律管理が問題なし」→誤り。第94条第1項の私生活の自由保障に明確に反する。オ→誤り肢として再設計。事業附属寄宿舎規程(厚労省令)で換気・採光・照明・避難・定員等の安全衛生基準が法定されており「使用者の自主判断」は誤り(第96条・規程違反は罰則対象)。正答ア・イ・ウで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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