問題
労働基準法に規定する寄宿舎に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエ(正しい記述)です。
使用者は、寄宿舎規則の作成についての届出をするにあたり、過半数を代表する者の同意(規則作成に必要な同意)を証明する書面を添付しなければなりません(第95条第3項)。
アは誤りで、規則の作成・変更には「同意」が必要であり、意見聴取では足りません(第95条第2項)。イは誤りで、役員選任への干渉(第94条第2項)違反は第119条の罰則(6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)の対象です。ウは誤りで、寄宿舎の設備・安全衛生の基準は厚生労働省令で定められています(第96条第2項)。オは誤りで、私生活の自由(第94条第1項)の侵害そのものは、第119条・第120条いずれの罰則規定にも列挙されていません。
寄宿舎規制(第94条〜第96条)と罰則の対応:
| 条文 | 内容 | 罰則の対応(119条・120条の列挙) |
|---|---|---|
| 第94条第1項 | 私生活の自由の保障 | 119条・120条いずれの列挙にも見当たらない |
| 第94条第2項 | 寮長・室長等の役員選任への干渉禁止 | 第119条(6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)の対象条文として明記 |
| 第95条第1項 | 寄宿舎規則の作成・行政官庁への届出 | 第120条(30万円以下の罰金)の対象条文として明記 |
| 第95条第2項 | 規則のうち第1項第1号〜第4号の事項(起床・就寝・外出外泊、行事、食事、安全衛生)の作成・変更に寄宿労働者の過半数代表者の同意が必要 | 第120条の対象条文として明記 |
| 第95条第3項 | 届出にあたり第2項の同意を証明する書面の添付義務 | — |
| 第96条第1項 | 換気・採光・照明・避難・定員収容等の措置義務 | 第119条の対象条文として明記 |
| 第96条第2項 | 措置の基準は厚生労働省令で定める | — |
各選択肢の精査:
- ア(誤): 第95条第2項は「寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない」と定め、意見聴取(就業規則の第90条)より強い「同意」を要件とする。
- イ(誤): 第94条第2項違反は第119条第1号に「第九十四条第二項」として明記され、罰則の適用がある。
- ウ(誤): 第96条第2項「使用者が前項の規定によつて講ずべき措置の基準は、厚生労働省令で定める」のとおり、法令上の基準がある。
- エ(正): 第95条第3項「使用者は、第一項の規定により届出をなすについて、前項の同意を証明する書面を添附しなければならない」のとおり。
- オ(誤): 第119条第1号は「第九十四条第二項」を列挙するが、第94条第1項(私生活の自由)は第119条にも第120条にも列挙されていない。
【寄宿舎規制の三層構造(第94条〜第96条)】
労基法の寄宿舎規制は、①使用者による生活支配の禁止(第94条)、②自治的な規則形成の保障(第95条)、③最低限の住環境保障(第96条)の三層で構成される。第94条は第1項で私生活の自由(面会・外出・所持品等の不可侵)を、第2項で寮長・室長その他自治に必要な役員の選任への不干渉を、それぞれ独立の項として定める。この2つの項は保護法益が近接するが、条文上は明確に別項として切り分けられている。
【罰則の対応関係を条文で確認する重要性】
第119条第1号は「第九十四条第二項……又は第九十六条……の規定に違反した者」を6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象として列挙する。ここに列挙されているのは「第九十四条第二項」(役員選任への干渉禁止)と「第九十六条」(設備・安全衛生の措置義務)であり、「第九十四条第一項」(私生活の自由の保障)は列挙されていない。同様に第120条第1号を確認しても、「第九十五条第一項若しくは第二項」(規則の作成届出・過半数代表者の同意)は列挙されているが、第94条第1項はここにも見当たらない。
このことは、第94条第1項(私生活の自由の保障)そのものへの違反について、労基法上に直接対応する刑事罰の明文規定が第119条・第120条のいずれにも存在しないことを意味する。もっとも、これは私生活の自由の保障が軽視されているという意味ではなく、寮長・室長等への干渉(第2項)や設備の不備(第96条)という「具体的な行為・状態」を捕捉する形で罰則が設計されている一方、第1項の「私生活の自由を侵してはならない」という抽象的な禁止規定については、労基法の刑事罰体系の外側(民事上の不法行為責任・行政指導等)で対応する構造になっていると理解できる。試験対策上は、「私生活の自由の保障=当然に119条の罰則付き」と短絡的に暗記せず、条文の列挙を確認する姿勢が重要である。
【寄宿舎規則の作成手続(第95条)の「同意」と「同意書の添付」】
第95条第1項は寄宿舎規則の作成・変更について行政官庁への届出義務を課し、第2項は起床・就寝・外出外泊、行事、食事、安全衛生の各事項(第1項第1号〜第4号)に関する規定の作成・変更について、寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を要求する。さらに第3項は、届出にあたってこの同意を証明する書面を添付する義務を独立して定めており、単に同意を得るだけでなく、それを客観的な書面として残し行政官庁に提出することまでが手続として要求されている。これは、使用者が「同意を得た」と一方的に主張することを防ぎ、届出制度の実効性を担保する趣旨である。
【設備・安全衛生基準(第96条)の法令根拠】
第96条第1項は換気・採光・照明・保温・防湿・清潔・避難・定員の収容・就寝に必要な措置その他労働者の健康・風紀・生命の保持に必要な措置を使用者に義務付け、第2項でその基準を厚生労働省令(事業附属寄宿舎規程)に委任する。使用者の自主判断に委ねられているのではなく、省令によって具体的な数値・仕様基準が定められている点が試験上の頻出論点である。
根拠: 労働基準法第94条・第95条・第96条・第119条・第120条。e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 )で2026-09-30時点の条文を確認。
- 労働基準法第119条・第94条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第94条(寄宿舎生活の自治)・第95条(寄宿舎生活の秩序)・第96条(寄宿舎の設備及び安全衛生)・第119条・第120条(罰則)。e-Gov法令検索で2026-09-30時点の現行条文を確認。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

