社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問29|賃金からの控除

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働基準法第24条に規定する賃金の支払に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウ(誤っている記述)です。

社宅使用料などを賃金から控除するための労使協定は、書面による協定でなければなりません(労基法第24条第1項ただし書「…労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合」)。口頭の合意では足りないため、「書面によることを要しない」とするウは誤りです。

賃金の全額払い原則には例外が2つあります。①法令に別段の定めがある場合(税金の源泉徴収・社会保険料控除等)と、②事業場の過半数組合または過半数代表者との書面による労使協定がある場合(社宅費・組合費・共済費等の控除)です。

賃金全額払い原則の例外(労基法第24条第1項ただし書):

種類根拠手続き
法令控除所得税源泉徴収・住民税特別徴収・社会保険料(健保・厚年・雇保)法令に基づき使用者が一方的に控除(労働者の同意・労使協定不要)
協定控除社宅使用料・食事代・組合費・共済費・社内預金・購買代金・社内融資返済等事業場の過半数組合または過半数代表者との書面による労使協定が必要

各選択肢の整理:

  • ア(正): 法令(税・社会保険料)の源泉徴収は全額払い原則の例外として明文で認められる(第24条第1項但書)。
  • イ(正): 協定控除には過半数組合or代表者との書面協定が必要(第24条第1項ただし書)。口頭での合意では不足。
  • ウ(誤): 協定控除に必要なのは「書面による協定」(第24条第1項ただし書)。過半数代表者との口頭の合意では全額払いの例外にならず、その控除は第24条違反(第120条第1号の罰則対象)となる。
  • エ(正): 賃金控除協定は36協定と異なり労基署への届出義務はない。ただし書面による締結が必要で、労働関係に関する重要な書類として保存義務がある(第109条)。
  • オ(正): 過半数組合と締結した労使協定の効力は、当該事業場の全労働者(組合員・非組合員を問わず)に及ぶ(第24条第1項ただし書の過半数組合要件を満たす場合)。

賃金控除協定の届出義務と36協定の比較:

協定種類届出義務有効期間制限
36協定(時間外・休日労働)あり(労基署届出必須)あり(1年以内更新)
賃金控除協定(第24条)なしなし(当事者間合意で更新)

【全額払い原則の実質的趣旨:賃金の流用・ピンハネ防止】

労基法第24条の全額払い原則は、賃金が労働の対価として全額確実に労働者に渡るようにするための原則です。使用者が「社宅費」「食堂利用料」等の名目で一方的に控除して実質賃金を引き下げることを防ぐため、控除できるのは①法令に別段の定めがある場合と、②過半数組合(ないときは過半数代表者)との書面による協定がある場合に限られています。書面で協定しておくことで、何をいくら控除するかが労使の間で明確になり、後から確認することもできます。

なお、第24条第1項ただし書は協定控除の額に上限を定めていません。ただし協定があれば何でも控除できるわけではなく、控除の対象は社宅費・購買代金など内容が明白なものに限るのが行政の考え方とされ、実費を大きく超える額の控除は全額払い原則の趣旨に反すると解されています。

【協定控除の対象となる「購買代金・社内融資返済」の限界】

社内の物品購買代金や社内融資(給与前払い・緊急貸付等)の返済を賃金から控除することは、賃金控除協定があれば認められます。ただし、以下の限界があります:

1. 前借金相殺の禁止: 労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺することは禁止されている(労基法第17条)。協定があってもこの相殺はできない。

2. 不当に高い利息の禁止: 社内融資に過大な利息を設定して返済額を膨らませることは、利息制限法の問題にもなり得る。

【過半数組合協定の「非組合員への効力」の理論的根拠】

過半数組合(組合員数が事業場労働者の過半数を占める組合)が締結した賃金控除協定が非組合員にも及ぶ根拠は何でしょうか。

これは労基法第24条第1項ただし書が「当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合」という概念を用いていることから導かれます。「過半数組合」は、当該事業場の労働者の過半数を代表する機能を法的に与えられており、組合員・非組合員の区分なく「その事業場の労働者を代表する」という擬制が働きます。したがって、過半数組合と締結した賃金控除協定があれば、非組合員の賃金から協定所定の項目を控除しても全額払い原則違反(第24条違反)にはなりません。

【社労士の実務:賃金控除協定の作成・管理】

社労士は就業規則の整備にあわせて「賃金控除に関する労使協定書」の作成・管理を支援します。特に注意すべき実務上のポイントは:

  • 控除項目の明確な列挙: 「社宅使用料・購買代金・社内融資返済・互助会費・組合費」など控除対象を協定書に明記(「その他の費用」のような包括的記載は無効と解されるリスクあり)。
  • 額の明確化または算定方法の明記: 「実費相当額として毎月通知する額」など変動する場合は算定方法を明記。
  • 更新管理: 届出義務はないが、協定の有効期間・更新手続きを定めて協定の形骸化を防ぐ。
  • 保存: 労使協定書は労働関係に関する重要な書類として5年間(当分の間は経過措置により3年間)保存する(労基法第109条・附則第143条第1項)。

根拠: 労働基準法第17条・第24条第1項・第109条・第120条第1号・附則第143条第1項。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第24条第1項(全額払の原則とただし書による控除) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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  • 賃金からの控除(24条但書・社宅費/組合費/共済費の労使協定
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