問題
入力されたビットに対して出力されるビットが0か1のいずれかである確率を遷移確率という。遷移確率を表にしたとき,a,b,c,dの関係はどれか。 (表:出力0/1 × 入力0/1 の2x2表。入力0行=a,b/入力1行=c,d)
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- A
- B
- C
- D
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
答えは b「a+b=1、c+d=1」です。
遷移確率は「入力が0または1のとき、出力が0または1になる確率」を表します。
大事なポイント:ある入力について、出力が0になる確率と1になる確率を足すと必ず1(100%)になる。サイコロで「偶数か奇数のどちらか」が必ず出るのと同じです。
入力が0のとき:出力0(a)+ 出力1(b)= 1。
入力が1のとき:出力0(c)+ 出力1(d)= 1。
👉 覚え方:行ごとに「全部足したら1(確率の和は100%)」。
ほかの選択肢:a/c/d は確率の和の関係が成り立っていない組み合わせ。
なぜこれが正解か
正解は b。表は行が入力(0/1)、列が出力(0/1)で、各マスは「その入力のときにその出力になる確率」。ある入力に対して出力は0か1のどちらかに必ずなるので、同じ入力の行の確率を足すと1になる。
- 入力0の行:a + b = 1
- 入力1の行:c + d = 1
これは条件付き確率 P(出力|入力) の和が1になる、という確率の基本性質。
各選択肢の解説
- a:a + b + c + d = 1 は表全体を一つの確率分布とみなした式。実際には行ごとに別々の分布なので、全体の和は 1 + 1 = 2 になる。
- b:正解。
- c:a + c、b + d は列方向の和。入力が異なる行どうしの確率を足しても、一般に1になる理由はない。
- d:a + d は「正しく伝わる確率」どうしの和、b + c は「誤って伝わる確率」どうしの和。これも一般には成り立たない。
覚え方・ひっかけ注意
遷移確率の鉄則は「条件(入力)を固定して、結果(出力)の確率を足すと1」。表のどちらが条件かを見極め、条件側の行ごとに和を取る。たとえば a = 0.9、b = 0.1、c = 0.2、d = 0.8 の通信路なら、行の和はどちらも1だが、a + c = 1.1 となり列の和は1にならない。
理論的背景
遷移確率行列は確率論・情報理論の基本概念。本問の構造は2元対称通信路(Binary Symmetric Channel:BSC)または2元非対称通信路のモデルで、通信路容量(Channel Capacity)計算の基礎となる。Claude Shannon(1948年)の情報理論で体系化され、シャノン・ハートレーの定理 C = B·log₂(1+S/N) との接続点。確率行列は「確率行列(Stochastic Matrix)」と呼ばれ、すべての成分が非負、行の和が1という性質を持つ。
実務での使われ方
応用分野:
- 通信工学:誤り検出・訂正符号(ハミング符号・リードソロモン符号・LDPC符号)の性能評価
- マルコフ連鎖:状態遷移確率行列の対角化で長期分布計算、PageRank(Google)の理論基盤
- 隠れマルコフモデル(HMM):音声認識・自然言語処理
- 強化学習:MDP(マルコフ決定過程)の遷移モデル
- 金融工学:信用格付遷移行列、株価モデル
- 生物学:遺伝子配列解析、進化系統推定
試験での位置づけ
基本情報・応用情報・データベーススペシャリスト・情報処理安全確保支援士で出題。確率・統計分野の基礎問題として頻出。最近はAI・機械学習の文脈で「ベイズの定理」「条件付き確率」「最尤推定」とセット出題される傾向。
選択肢の発展補足
- 2元対称通信路(BSC):誤り確率pで`P(0→1) = P(1→0) = p`、`P(0→0) = P(1→1) = 1-p`。本問の特殊ケース。
- 2元削除通信路(BEC):受信側で「不明」を表す第3シンボルを許す。
- 通信路容量:BSCの場合 C = 1 - H(p) where H(p) = -p·log₂(p) - (1-p)·log₂(1-p)(2元エントロピー関数)。
- 関連:Shannon符号化定理、ハフマン符号、算術符号、誤り訂正符号(FEC:Forward Error Correction)。
- マルコフ連鎖の応用:定常分布、エルゴード性、混合時間、PageRank、MCMC(Markov Chain Monte Carlo)。
出典と作り方
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成27年度 春期 問4/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビ独自の3段階の解説(初級・標準・上級)です。

