問題
商人間の売買(商事売買)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
商事売買(商人間の売買)には民法と異なる特則があります。商法524条(供託・競売):買主が受領拒絶・受領不能の場合、売主は①供託、または②相当の期間を定めて催告後に競売に付すことができます(ア正しい)。競売後は遅滞なく買主への通知義務があります(イ正しい)。さらに、目的物に「損傷のおそれがある場合」は裁判所の許可なしに競売できる特則があります(オが誤りの根拠)。商法525条(定期売買の解除):「特定の日時・一定期間内に履行しなければ目的を達せない売買」で、一方が履行しないまま時期を経過した場合、相手方が直ちに履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなされます(ウ正しい)。直ちに「履行の請求」をした場合は解除の擬制は生じず、解除は民法の規定によります(エ正しい)。
商法524条(供託・競売)の詳細:買主が受領を拒絶・できない場合の売主の救済手段です。①供託(民法494条の弁済供託と同様)。②催告後競売(相当期間の催告が必要)。③損傷のおそれがある物品の裁判所許可なしの競売(524条2項:価格の著しい下落・損傷のおそれがある場合に裁判所の許可なしで競売可)。この③が重要で、「損傷のおそれがある場合でも裁判所の許可が必要」とするオは誤りです。競売後は遅滞なく買主への通知義務があります(524条1項後段・イ正しい)。商法525条(定期売買の解除)の詳細:定期売買(性質または意思表示により特定の日時・期間内の履行が契約目的達成の条件となる売買)では、一方が履行しないまま時期を経過した場合、相手方が直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなされます(ウ正しい)。条文は「相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす。」(525条)であり、直ちに履行の請求を行った場合には解除の擬制は生じず、解除は民法の規定によります(エ正しい)。これは継続的取引への迅速な対応を促すものです。
【理論的背景:商事売買特則の存在意義】
商人間の取引(商事売買)には、民法の原則に加えて迅速・安全という商取引固有の要請から特則が設けられています。商法524条の供託・競売特則は、買主の受領拒絶によって売主が目的物を長期間保管し続ける不合理を解消するためのものです。民法の弁済供託(民法494条)は法務局等への供託を要しますが、商事売買では競売という迅速な換価手段も認められ、商品価値の下落リスクに対応できます。商法525条の定期売買の解除の擬制は、「ちょうどクリスマスに届けるウェディングケーキ」のように、特定の日時を逃せば目的が失われる取引では、催告に時間をかけることが無意味であることから設けられています。民法541条の催告解除の原則(相当期間の催告後に解除)の例外として、商取引の迅速性要請を反映した規定です。
【条文構造:商法524条・525条の正確な内容】
商法524条1項:「商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。」(催告後競売・通知義務)。524条2項:「損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。」(損傷のおそれ=催告不要・裁判所許可不要で即時競売可)。オが誤りとなる理由はこの2項の存在によります。なお524条の競売は「自助売却」であり、売主は競売の代価を供託しなければなりませんが、その全部又は一部を代金に充当することは妨げられません(524条3項)。商法525条「商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす。」これにより、直ちに履行の請求をした場合には解除の擬制は生じず、解除は民法の規定によります(エ正しい)。
【試験での位置づけ:行政書士試験での商事売買特則の問われ方】
行政書士試験での商事売買(商法524条・525条)の問われ方は以下が頻出です。①524条の競売要件(催告後競売 vs 損傷のおそれによる即時競売)、②525条の定期売買の解除の擬制と「直ちにその履行の請求をした場合」の除外、③民法の催告解除(541条)との比較です。本問オの「損傷のおそれがある場合でも裁判所の許可が必要」は頻出の誤り肢パターンです。実際は524条2項により「裁判所の許可なし・即時競売可」が認められています。また526条(商事売買の目的物の検査・通知義務)も頻出ですが本問の対象外です。なお2020年の民法改正(瑕疵担保→契約不適合責任)に伴い、526条の「瑕疵」表現は「契約不適合」に改められています。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 正しい。商法524条1項の正確な内容。「相当の期間を定めて催告」後に競売に付すという手順が重要。
- イ: 正しい。商法524条1項後段により、供託または競売をしたときは「遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない」。
- ウ: 正しい。商法525条の正確な内容。催告も解除の意思表示も要せず、契約の解除をしたものとみなされる点が特徴。
- エ: 正しい。商法525条の「直ちにその履行の請求をした場合を除き」の内容。直ちに履行の請求をした場合には解除の擬制は生じず、解除は民法の規定(541条・542条)による。
- オ: 誤り。商法524条2項により、目的物に損傷のおそれがある場合は「直ちに競売に付することができる」(裁判所許可不要・催告不要)。これが民法との大きな相違点。
【根拠条文】
商法 第524条第1項・第2項・第3項(供託・競売・通知義務)
商法 第525条(定期売買の履行遅滞による解除)
民法 第541条(催告解除)との対比
- 民法第494条・第541条e-Govで原文を読む
- 商法第524条・第525条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 商法第524条(商事売買の供託・競売)、商法第525条(定期売買の解除) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

