問題
次の a 〜 e の文は,地図投影法について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。 a. 平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)における X 軸は,座標系原点において子午線に直交する軸とし,真東に向かう方向を正としている。 b. 平面直角座標系における座標系原点は赤道上にない。 c. ユニバーサル横メルカトル図法は,北緯84°以南,南緯80°以北の地域に適用され,経度差6°ごとの範囲が一つの平面に投影されている。 d. ユニバーサル横メルカトル図法で用いられている投影法は,横円筒図法の一種であるガウス・クリューゲル図法である。 e. 正距図法は,全ての地点間の距離を同一の縮尺で表示することができる。
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
地図投影法に関する問題です。正答は「2(a,e)」で,a と e が誤りです。
aが誤りの理由:平面直角座標系のX軸は「子午線に平行な軸」で「真北に向かう方向を正」とします。「子午線に直交する軸」はY軸の説明であり,「真東を正」はY軸の方向です。
eが誤りの理由:正距図法は「正距方位図法(azimuthal equidistant projection)」の場合,中心点からの距離を正しく表現できますが,全ての地点間の距離を同一縮尺で表示することは不可能です。全ての点対間の距離を同縮尺で表せる図法は存在しません(地球が球体であるため,平面に歪みなく展開できない)。
b・c・dはすべて正しい記述です。
【地図投影法の正誤判定:座標系・UTM・図法の正確な定義】
a(誤り):平面直角座標系のX軸・Y軸
平成14年国土交通省告示第9号による定義:
- X軸:座標系原点において子午線に平行な軸,真北を正(北方向+)
- Y軸:座標系原点において子午線に直交する軸,真東を正(東方向+)
一般的なXY座標系(X:東,Y:北)と逆転していることに注意。測量の慣習から,X軸が南北方向(縦)となっています。
選択肢aの「X軸は子午線に直交・真東を正」はY軸の説明であり誤り。
e(誤り):正距図法の限界
正距方位図法(特定の1点を中心に置く場合):中心点からの全方向への距離は正しく表現できますが,それ以外の2点間の距離は一般に歪みます。
「全ての地点間の距離を同一縮尺で表示できる」図法は理論的に存在しません(ガウス曲率定理による)。
b(正):平面直角座標系の原点
日本の平面直角座標系(19系統)の原点は,各系統の中心子午線と特定緯度の交点ですが,すべて日本国内(北緯24°〜45°程度)にあり,赤道上(北緯0°)にはありません。
c(正):UTMの適用範囲と帯の分割
UTM(Universal Transverse Mercator):
- 適用範囲:北緯84°以南〜南緯80°以北
- 分割:経度6°幅で60ゾーンに分割
- 日本:UTM Zone 51〜55に相当(東経126°〜150°付近)
d(正):UTMの投影法
UTMはガウス・クリューゲル(Gauss-Krüger)投影法を採用した横円筒図法の一種です。各ゾーン中央子午線で縮尺係数1(真の距離),端部で縮尺係数0.9996(許容範囲内)。
【地図投影法の深層:ガウス・クリューゲル図法の数学的基礎と実務応用】
平面直角座標系(JGD2011)の体系:
日本の平面直角座標系は19系統あり,各系統は特定の都道府県群をカバーします:
- 第1系:長崎県・沖縄県(原点:北緯33°,東経129°30′)
- 第9系:東京都等(原点:北緯36°,東経139°50′)
- 第18系:沖縄本島等
各座標系はガウス・クリューゲル図法で,原点に縮尺係数0.9999を設定(原点周辺の縮尺誤差最小化)。
ガウス・クリューゲル投影の数式:
楕円体(a,b)上の地理学的座標(φ,λ)を平面直角座標(X,Y)に変換する複素展開式:
w = a(1−e²) × (φ,λに関する複素級数展開)
(詳細な展開係数は測地学の専門書参照)
実用上は,国土地理院が提供する「TKY2JGD」「PatchJGD」等のパラメータファイルを使ったソフトウェア計算が標準。
各投影法の性質比較(測量士試験向け):
| 図法 | 保形性 | 等積性 | 正距性 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| メルカトル図法 | 保形(等角) | ✗ | ✗ | 航海図 |
| 正積円筒図法 | ✗ | 等積 | ✗ | 主題図(人口等) |
| 正距方位図法 | ✗ | ✗ | 中心点から | 電波・航空路 |
| ガウス・クリューゲル | 保形(局所) | ✗ | ✗ | 測量・基本地図 |
| 正射図法 | ✗ | ✗ | ✗ | 宇宙・航空写真風 |
任意の2点間の距離を全て正しく表示できない理由(ガウスの理論):
ガウスの曲率定理(Theorema Egregium):「内在曲率は等長変換(等距離変換)によって不変」。球面・楕円体の内在曲率はゼロでない一方,平面の内在曲率はゼロ。したがって,球面を平面に展開する際に必ず何らかの歪み(角度・距離・面積のいずれか)が生じます。これが「全点間距離を同縮尺で表示できる図法が存在しない」の数学的根拠です。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和8年度 測量士補試験 問22(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

