問題
職場での感染症と就業管理に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
キーボード:1〜5で選択
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはウです。安衛則第61条第2項は、事業者が病者の就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならないと定めています。医師の意見を聴かずに事業者の判断だけで就業を禁止するのは条文に反します。
アは正しい内容です(第61条第1項ただし書)。イ(結核は空気感染)、エ(新型コロナは令和5年5月8日に5類へ)、オ(定期健康診断に胸部エックス線検査及び喀痰検査)も正しい内容です。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛則第61条第1項は、①病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者、②心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者などの就業を禁止しなければならないと定めますが、ただし書で、①について伝染予防の措置をした場合はこの限りでないとしています。
- イ(正): 結核が進行すると、咳やくしゃみ等によって空気中に結核菌を含んだ飛沫が飛び散り、その結核菌を吸い込むことで周りの人に感染が拡がります(空気感染)。早期に発見できれば重症化を防げるだけでなく、感染拡大を防ぐことができます。
- ウ(誤): 安衛則第61条第2項により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ産業医その他専門の医師の意見をきかなければなりません。
- エ(正): 新型コロナウイルス感染症は令和5年5月8日に5類感染症に位置づけられました。厚生労働省のQ&Aでは、感染した労働者が自主的に休む場合は通常の病欠と同様に取り扱い、病気休暇制度(事業場で任意に設ける休暇)を活用することなどが考えられるとしています。
- オ(正): 安衛則第44条第1項の定期健康診断の項目には「胸部エックス線検査及び喀痰検査」が含まれています。
【理論的背景】
職場における感染症への対応では、周囲の労働者への感染拡大の防止と、感染した労働者本人の健康・就労への配慮の両方が求められます。労働安全衛生規則第61条は、病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者などについて、事業者に就業禁止を義務付けると同時に、伝染予防の措置をした場合の例外と、就業禁止前の医師の意見聴取を定めることで、医学的判断に基づく運用を求めています。
安衛則第61条の構造:
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項本文 | 次の者の就業を禁止しなければならない: ①病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者、②心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者、③前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者 |
| 第1項ただし書 | ①について伝染予防の措置をした場合は、この限りでない |
| 第2項 | 就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない |
【実務・条文構造】
結核への対応(厚生労働省「結核」ページ):
- 感染経路: 結核が進行すると、咳やくしゃみ等によって結核菌を含んだ飛沫が空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染が拡がる(空気感染)
- 早期発見: 定期的に胸部エックス線検査を含む健康診断を受けることが重要。成人は結核に限らずさまざまな疾患の早期発見のために胸部エックス線検査を1年に1回程度受けておくことが大切
- 治療: 複数の抗結核薬等を医師の指示どおりに飲むことで治療でき、標準的な治療期間は6か月〜9か月
職場の健康診断との関係: 安衛則第44条第1項の定期健康診断には「胸部エックス線検査及び喀痰検査」が含まれており、結核を含む呼吸器疾患の早期発見の機会になります。
新型コロナウイルス感染症への対応(厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」):
- 令和5年5月8日に5類感染症に位置づけ
- 感染した労働者や発熱などの症状がある労働者が自主的に休む場合: 通常の病欠と同様に取り扱い、病気休暇制度などの活用が考えられる
- 感染や発熱などの症状があることのみをもって使用者の自主的な判断で一律に休業させる場合: 一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当(労働基準法第26条、平均賃金の100分の60以上)の支払いが必要
【試験での位置づけ】
病者の就業禁止(安衛則第61条)は衛生管理者試験の頻出事項です。「伝染予防の措置をした場合は就業禁止の例外」「就業禁止の前に産業医その他専門の医師の意見を聴く」の2点がセットで問われます。ウのように医師の意見聴取を不要とする選択肢は、手続要件を落とした典型的な引っかけです。結核は空気感染であることと、定期健康診断の胸部エックス線検査の役割もあわせて押さえます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: ただし書の例外が及ぶのは第1号(病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病)だけです。第2号の心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものは、伝染予防とは関係がないため対象外です。
- イ: 生後1歳までのBCGワクチン接種により、小児の結核の発症を52〜74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64〜78%程度罹患リスクを減らすことができると報告されています。
- ウ: 医師の意見を聴く相手は「産業医その他専門の医師」です。意見を聴く時期は「あらかじめ」、つまり就業を禁止する前です。
- エ: 5類感染症への位置づけ変更後も、業務に起因して感染したものと認められる場合は労災保険給付の対象となり、この取扱いに変更はないとされています。
- オ: 結核を発症しても早期に発見できれば重症化を防げるだけでなく、家族や友人等への感染拡大を防ぐことができます。職場の定期健康診断は、その発見の機会の一つです。
【根拠法令】労働安全衛生規則第61条(病者の就業禁止)・第44条(定期健康診断)、労働基準法第26条(休業手当)。
【補足】病者の就業禁止: 伝染予防の措置をした場合は例外(第61条第1項ただし書)・禁止前に産業医その他専門の医師の意見聴取(同条第2項)。結核は空気感染。新型コロナは令和5年5月8日に5類感染症へ。
- 労働安全衛生規則第61条・第44条e-Govで原文を読む
- 労働基準法第26条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則第61条(病者の就業禁止)・第44条(定期健康診断)、厚生労働省「結核」ページ、厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

