問題
有機溶剤による肝臓障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正しいのはイです。四塩化炭素は安衛令別表第3の第2類物質(18の2)で、特化則第2条の特別有機溶剤に当たります。モデルSDSでは、特定標的臓器毒性(反復ばく露)が区分1(肝臓、腎臓)とされ、ヒトでばく露により肝硬変を発症した事例報告があるとされています。
各誤りの要点:ア→有機溶剤の標的臓器は物質ごとに異なる(トルエンの反復ばく露は中枢神経系・腎臓)。ウ→トルエンは有機則の第2種有機溶剤(第1種は二硫化炭素と1,2-ジクロルエチレンのみ)。エ→ノルマルヘキサンの反復ばく露の標的は神経系(遅延性多発神経障害の可能性)。オ→ベンゼンの反復ばく露の標的は造血系・免疫系・中枢神経系。
主な有機溶剤等の区分と反復ばく露の標的臓器(モデルSDS):
| 物質 | 法令上の区分 | 管理濃度 | 反復ばく露の標的臓器 |
|---|---|---|---|
| 四塩化炭素 | 特化物第2類(特別有機溶剤) | 5ppm | 肝臓、腎臓(区分1)、呼吸器(区分2) |
| トルエン | 有機則 第2種有機溶剤 | 20ppm | 中枢神経系、腎臓(区分1) |
| ノルマルヘキサン | 有機則 第2種有機溶剤 | 40ppm | 神経系(区分1) |
| ベンゼン | 特化物第2類(特定第2類物質) | 1ppm | 造血系、免疫系、中枢神経系(区分1) |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 標的臓器は物質ごとに異なり、すべての有機溶剤が必ず肝障害を起こすわけではない。
- イ(正): 四塩化炭素は第2類物質(特別有機溶剤)で、反復ばく露による肝臓・腎臓の障害が知られている。
- ウ(誤): トルエン(令別表第6の2第37号)は有機則第1条第1項第4号の第二種有機溶剤等に当たる。反復ばく露の標的は中枢神経系・腎臓。
- エ(誤): ノルマルヘキサン(同第39号)も第二種有機溶剤で、反復ばく露の標的は神経系。
- オ(誤): ベンゼンは第2類物質(特定第2類物質)で、反復ばく露の標的は造血系・免疫系・中枢神経系。
【理論的背景】
有機溶剤等の健康影響は物質ごとに標的臓器が異なります。職場のあんぜんサイトのモデルSDSでは、GHS分類の「特定標的臓器毒性(反復ばく露)」として、四塩化炭素は区分1(肝臓、腎臓)・区分2(呼吸器)、トルエンは区分1(中枢神経系、腎臓)、ノルマルヘキサンは区分1(神経系)、ベンゼンは区分1(造血系、免疫系、中枢神経系)とされています。四塩化炭素については、ヒトでばく露により肝硬変を発症した事例報告があり、ばく露が肝硬変のリスク要因と結論されていること、ラットの試験で「小葉中心性肝細胞空胞化」がみられたことが記載されています。ノルマルヘキサンについては、吸収による症状として「遅延性多発神経障害の可能性」が挙げられています。
法令上の区分も物質によって異なります。
- 有機則の第一種有機溶剤等は、令別表第6の2第28号(1・2‐ジクロルエチレン)と第38号(二硫化炭素)に掲げる物(有機則第1条第1項第3号)。
- 第二種有機溶剤等には、第37号のトルエン、第39号のノルマルヘキサンなどが含まれる(同項第4号)。
- 四塩化炭素(18の2)・クロロホルム(11の2)・トリクロロエチレン(22の5)は、令別表第3の第2類物質で、特化則第2条第1項第3号の2の「特別有機溶剤」に当たる。
- ベンゼン(30)は第2類物質のうち「特定第2類物質」に当たる(特化則第2条第1項第3号)。
【実務・条文構造】
管理濃度(作業環境評価基準別表): 四塩化炭素5ppm、クロロホルム3ppm、トリクロロエチレン10ppm、ベンゼン1ppm、トルエン20ppm、ノルマルヘキサン40ppm。
ベンゼンの規制: ベンゼン自体の製造・使用が禁止されているわけではありません。安衛令第16条第1項第8号で製造等が禁止されているのは、ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤(希釈剤を含む)の5%を超えるものです。
有機溶剤の健康診断(有機則第29条): 医師が必要と認める者については、作業条件の調査、貧血検査、肝機能検査、腎機能検査、神経学的検査の全部又は一部を追加します(第5項)。肝機能だけでなく、神経系なども見る構成です。
【試験での位置づけ】
この論点では、①四塩化炭素は特化物第2類(特別有機溶剤)で肝臓・腎臓が標的、②トルエン・ノルマルヘキサンは有機則の第二種有機溶剤、③第一種有機溶剤は二硫化炭素と1・2‐ジクロルエチレンのみ、④ノルマルヘキサンは神経系、ベンゼンは造血系が標的、の4点を押さえます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: トルエンの反復ばく露の標的は中枢神経系・腎臓とされ、肝臓は挙げられていません。物質ごとに標的臓器を確認する必要があります。
- イ: 四塩化炭素の単回ばく露でも、区分1(中枢神経系、肝臓、腎臓)とされています。
- ウ: 第一種と第二種の区別は有機則第1条第1項で、令別表第6の2の号数によって定められています。
- エ: ノルマルヘキサンの管理濃度は40ppmです。
- オ: ベンゼンの管理濃度は1ppmと低い値です。
【根拠】労働安全衛生法施行令第16条・別表第3・別表第6の2、有機溶剤中毒予防規則第1条・第29条、特定化学物質障害予防規則第2条、作業環境評価基準別表、職場のあんぜんサイト モデルSDS(四塩化炭素・トルエン・ノルマルヘキサン・ベンゼン)。
【補足】イ(正): 四塩化炭素=特化物第2類(特別有機溶剤)・反復ばく露で肝臓・腎臓の障害。ウ(誤): トルエン=第二種有機溶剤。エ(誤): ノルマルヘキサン=神経系。オ(誤): ベンゼン=造血系・免疫系・中枢神経系。
- 有機溶剤中毒予防規則第1条・第29条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法施行令第16条e-Govで原文を読む
- 特定化学物質障害予防規則第2条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法施行令別表第3・別表第6の2、有機溶剤中毒予防規則第1条、特定化学物質障害予防規則第2条、作業環境評価基準別表、職場のあんぜんサイト モデルSDS(四塩化炭素 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/56-23-5.html ・トルエン 108-88-3・ノルマルヘキサン 110-54-3・ベンゼン 71-43-2)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

