問題
有害業務に係る特殊健康診断の記録保存期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正しいのはイです。特定化学物質(特化則)の特殊健康診断の記録(特定化学物質健康診断個人票)の保存期間は原則5年間ですが、特別管理物質(ベンゼン・オルト-トルイジン等)を製造し、又は取り扱う業務に常時従事し、又は従事した労働者に係るものは30年間保存します(特化則第40条)。がんなど発症まで長い年月がかかる病気に備えるためです。
アの「有機溶剤すべて10年」→有機則は5年。ウの「電離放射線5年」→電離則は30年。エの「じん肺5年」→じん肺法は7年。オの「鉛20年」→鉛則は5年。
特殊健康診断の記録保存期間(業務別)の比較:
| 有害業務の種類 | 根拠規則・法令 | 記録保存期間 |
|---|---|---|
| 有機溶剤業務 | 有機則第30条 | 5年間 |
| 特定化学物質業務(一般) | 特化則第40条第1項 | 5年間 |
| 特定化学物質業務(特別管理物質) | 特化則第40条第2項 | 30年間 |
| 鉛業務 | 鉛則第54条 | 5年間 |
| 四アルキル鉛業務 | 四アルキル鉛則第23条 | 5年間 |
| 電離放射線業務 | 電離則第57条 | 30年間 |
| 石綿業務 | 石綿則第41条 | 40年間(常時その業務に従事しないこととなった日から) |
| じん肺健診 | じん肺法第17条 | 7年間 |
| 一般健康診断 | 安衛則第51条 | 5年間 |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 有機溶剤等健康診断個人票の保存は5年間(有機則第30条。10年ではない)。
- イ(正): 特化則第40条第1項で5年、同条第2項で特別管理物質の業務に常時従事し又は従事した労働者に係るものは30年。ベンゼン・オルト-トルイジンはいずれも特別管理物質です(特化則第38条の4)。
- ウ(誤): 電離放射線健康診断個人票は30年間の保存(電離則第57条。5年ではない)。
- エ(誤): じん肺健康診断の記録とエックス線写真は、じん肺法第17条で7年間の保存(5年ではない)。
- オ(誤): 鉛健康診断個人票の保存は5年間(鉛則第54条。20年ではない)。
【理論的背景】
特殊健康診断の記録は、各特別規則で「個人票」として作成・保存することが定められています。基本は一般健康診断(安衛則第51条)と同じ5年間ですが、がんなど発症までに長い年月がかかる健康障害が問題となる業務では、保存期間が長く定められています。退職後に発症した場合でも、在職中の健診結果をたどれるようにするためです。
特別管理物質の30年保存:
特化則第40条第1項は「特定化学物質健康診断個人票(様式第二号)を作成し、これを五年間保存しなければならない」と定め、第2項で「特別管理物質を製造し、又は取り扱う業務…に常時従事し、又は従事した労働者に係る特定化学物質健康診断個人票については、これを三十年間保存するものとする」と定めています。クロム酸等については「クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う業務に限る」という限定が付いています。
電離放射線の30年保存:
電離則第57条は電離放射線健康診断個人票を30年間保存するよう定めています。ただし、5年間保存した後に厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りではありません。
【実務・条文構造】
特別管理物質の範囲:
特化則第38条の4は、第一類物質(塩素化ビフェニル等を除く)と、令別表第三第二号に掲げる物のうち指定された番号の物などを「特別管理物質」と総称しています。例えば次の物が含まれます。
- ベンゼン(令別表第三第二号30)
- オルト-トルイジン(同8の2)
- クロム酸及びその塩・重クロム酸及びその塩(同11・21)
- 1,2-ジクロロプロパン・ジクロロメタン(同19の2・19の3)
- 1,1,2,2-テトラクロロエタン・トリクロロエチレン(同22の3・22の5)
特別管理物質の業務では、健診記録のほかにも30年保存の記録があります。
- 作業の記録(特化則第38条の4): 常時作業に従事する労働者について、1か月を超えない期間ごとに氏名・従事した作業の概要と期間などを記録し、30年間保存
- 事業を廃止しようとするとき(特化則第53条): 特別管理物質等関係記録等報告書に、作業の記録や30年保存の特定化学物質健康診断個人票などを添えて、所轄労働基準監督署長に提出
電離放射線業務では、放射線業務従事者の線量の記録も30年間保存します(電離則第9条第2項。5年間保存後に厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない)。
【試験での位置づけ】
特殊健診の記録保存期間は「一般健診・有機溶剤・鉛・四アルキル鉛・特化則一般=5年」「特別管理物質=30年」「電離放射線=30年」「石綿=40年(石綿則第41条・常時従事しないこととなった日から)」「じん肺=7年」の組み合わせで押さえます。ウのような「電離放射線を5年と誤る」、エのような「じん肺を5年と誤る」は典型的な引っかけです。特別管理物質の30年と電離放射線の30年は同じ数値ですが、根拠規則が異なります(特化則第40条第2項・電離則第57条)。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 有機溶剤等健康診断個人票は有機則第30条で5年保存です。ジクロロメタンやトリクロロエチレンなど、特定化学物質(特別管理物質)として扱われる物質は特化則の規定によります。
- ウ: 電離放射線では、健康診断個人票(電離則第57条)と線量の記録(電離則第9条第2項)の両方が30年保存です。
- エ: じん肺法第17条第2項は「前項の記録及びじん肺健康診断に係るエツクス線写真を七年間保存しなければならない」と定めています。記録だけでなくエックス線写真も7年保存の対象です。
- オ: 鉛健康診断個人票は鉛則第54条で5年保存です。四アルキル鉛健康診断個人票も四アルキル鉛則第23条で5年保存です。
【根拠】特定化学物質障害予防規則(特化則)第40条(第1項5年・第2項特別管理物質30年)・第38条の4・第53条、電離放射線障害防止規則(電離則)第57条(30年保存)・第9条第2項、じん肺法第17条(7年保存)、有機溶剤中毒予防規則(有機則)第30条(5年保存)、鉛中毒予防規則(鉛則)第54条(5年保存)、四アルキル鉛中毒予防規則第23条(5年保存)、労働安全衛生規則第51条(5年保存)。
【補足】イ(正): 特定化学物質健康診断個人票=5年、特別管理物質の業務に常時従事し又は従事した労働者に係るもの=30年。ア(誤): 有機溶剤=5年(10年ではない)。ウ(誤): 電離放射線=30年(5年ではない)。エ(誤): じん肺=7年(5年ではない)。オ(誤): 鉛=5年(20年ではない)。
- 有機溶剤中毒予防規則第30条e-Govで原文を読む
- 特定化学物質障害予防規則第40条・第38条の4・第53条e-Govで原文を読む
- 電離放射線障害防止規則第57条・第9条e-Govで原文を読む
- じん肺法第17条e-Govで原文を読む
- 鉛中毒予防規則第54条・第23条e-Govで原文を読む
- 石綿障害予防規則第41条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第51条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 特定化学物質障害予防規則(特化則)第40条・第38条の4・有機溶剤中毒予防規則(有機則)第30条・鉛中毒予防規則(鉛則)第54条・電離放射線障害防止規則(電離則)第57条・じん肺法第17条・安衛則第51条。特定化学物質健康診断個人票は5年保存、特別管理物質(ベンゼン・オルト-トルイジン等)の業務に常時従事し又は従事した労働者に係るものは30年保存。有機溶剤5年・鉛5年・電離放射線30年・じん肺7年。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

