衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働生理 問69|腎臓・クレアチニンと糸球体ろ過率

問題

衛生管理者 | 労働生理

糸球体ろ過と腎機能の評価指標に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

誤りはエです。尿素窒素(BUN: Blood Urea Nitrogen)は「尿細管で再吸収されることなく全量排泄される」という部分が誤りです。尿素は糸球体でろ過された後、尿細管(特に集合管)で約40〜50%が再吸収されます。これは尿素が水と一緒に受動的に再吸収されるためです(尿細管内濃度が高くなると一部が再吸収されます)。クレアチニンは再吸収がほとんどない(わずかに分泌される)点が尿素との重要な違いです。

その他の選択肢は正しい内容です。GFRの正常値約100〜120mL/分(ア)。クレアチニンの性質とGFR指標としての利用(イ)。eGFRの有用性と筋肉量の影響(ウ)。ネフローゼ症候群の病態(オ)はすべて正確です。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): GFR(糸球体ろ過率)は腎機能の最も重要な指標です。正常値は成人約100〜120mL/分(144〜173L/日)ですが、産生された原尿(約150L/日)のほとんど(99%以上)が尿細管で再吸収され、最終的な尿量は1〜2L/日にとどまります。GFRは加齢とともに低下(40歳以降で年間約1mL/分ずつ低下する目安)し、慢性腎臓病(CKD)の病期分類(G1〜G5)はGFRで決まります。
  • イ(正): クレアチニンはクレアチン(筋肉のエネルギー代謝に関与)の非酵素的分解産物で、骨格筋量に比例して一定量が産生されます。糸球体でろ過→尿細管でほとんど再吸収されない(わずかに尿細管から分泌)→ほぼGFRに比例して排泄される性質が、GFR推算の指標として有用な理由です。ただし筋肉量の個人差が血清クレアチニン値に影響します。
  • ウ(正): eGFR(推算糸球体ろ過率)は日本人向けの計算式(eGFR(mL/分/1.73m²) = 194 × Cr⁻¹·⁰⁹⁴ × Age⁻⁰·²⁸⁷ × 0.739(女性)で算出)。筋肉量の少ない高齢者・女性では、血清クレアチニンが「正常範囲内」であっても実際のGFRが低下している場合があるため、eGFRが有用です。
  • エ(誤): 尿素(BUN: 血中尿素窒素の指標)は糸球体でろ過された後、集合管を中心に約40〜50%が再吸収されます(水と尿素が受動的に再吸収される)。このため脱水時には尿流量が減少→集合管での水・尿素の再吸収が増加→BUNが上昇します(prerenal azotemia: 腎前性アゾーテミア)。「全量排泄される」は完全な誤りです。
  • オ(正): ネフローゼ症候群の定義: 大量タンパク尿(3.5g/日以上)・低アルブミン血症(3.0g/dL以下)・浮腫(低アルブミン→膠質浸透圧低下)・高脂血症(肝臓でのリポタンパク合成増加)の4主徴です。原因: 微小変化型ネフローゼ症候群(小児に多い・糸球体基底膜の陰性電荷喪失)・巣状分節性糸球体硬化症・膜性腎症等があります。

#### 1. GFRの測定と推算の詳細

真のGFRの測定(イヌリンクリアランス):

  • イヌリン: 植物由来の多糖・体内で産生されず・糸球体で自由にろ過・尿細管で再吸収も分泌もされない「理想的な指標物質」
  • GFR = (U_イヌリン × V) / P_イヌリン(U=尿中濃度・V=尿量・P=血漿濃度)
  • 煩雑なため日常臨床ではeGFRが使用される

クレアチニンクリアランス(Ccr):

  • Ccr = (U_Cr × V) / P_Cr(24時間蓄尿が必要)
  • クレアチニンはわずかに尿細管から分泌されるためGFRをわずかに過大評価する

eGFR(日本腎臓学会式):

  • eGFR = 194 × Cr⁻¹·⁰⁹⁴ × Age⁻⁰·²⁸⁷ × 0.739(女性)
  • 外来・職場健診でも採血1回で算出可能(侵襲性なし)
  • GFR 60mL/分/1.73m²未満が3ヶ月以上→CKD(慢性腎臓病)と診断

#### 2. 腎機能評価指標の比較とBUNの特性

指標主要産生部位腎における処理日常的変動要因
クレアチニン(Cr)骨格筋(クレアチン→Cr)GFにより全量ろ過・尿細管での再吸収ほぼなし・わずかに分泌筋肉量・激しい運動後
尿素窒素(BUN)肝臓(アミノ酸→尿素回路)GFにより全量ろ過・集合管で40〜50%再吸収タンパク摂取量・脱水・消化管出血・発熱
シスタチンC有核細胞全体(一定産生)GFにより全量ろ過・尿細管で完全再吸収・排泄なし→尿細管で代謝甲状腺機能・炎症・ステロイド使用

BUN/Cr比(正常: 約10〜20)の臨床的意義:

  • BUN/Cr比 >20: 腎前性アゾーテミア(脱水・心不全・消化管出血)→尿素の再吸収増加・Crは変化少
  • BUN/Cr比 <10: 肝不全(尿素合成低下)・低タンパク摂取・筋肉量増加(Cr産生増加)
  • 職場での脱水管理(暑熱環境・発汗)の評価指標として有用

#### 3. 慢性腎臓病(CKD)の病期分類と職場管理

CKD病期分類(GFRとアルブミン尿で層別化):

  • G1(GFR ≧90): 腎機能正常でもアルブミン尿あれば CKD
  • G2(GFR 60〜89): 軽度低下
  • G3a(GFR 45〜59): 軽度〜中等度低下
  • G3b(GFR 30〜44): 中等度〜高度低下
  • G4(GFR 15〜29): 高度低下
  • G5(GFR <15): 腎不全(透析の準備開始)

職場でのCKD管理(衛生管理者の実務):

  • 年次健康診断での腎機能評価(eGFR・尿タンパク)を活用
  • 軽〜中等度のCKD(G3以上)は透析前の保存期管理(高血圧・糖尿病コントロール・タンパク制限)が重要
  • 腎毒性物質(鉛・水銀・カドミウム・有機溶剤等)暴露職場では特定業務健診での腎機能検査が必須
  • カドミウム暴露: 近位尿細管障害→β₂-ミクログロブリン尿・尿中カドミウム増加→イタイイタイ病類似病態

#### 4. 衛生管理者試験での頻出論点と職場への応用

試験では「GFR正常値=約100〜120mL/分(1日約150L・99%再吸収)」「クレアチニン=骨格筋産生・GFにより全量ろ過・再吸収ほぼなし→GFR指標」「筋肉量少ない高齢者・女性では血清Crが正常でもeGFR低下の可能性→eGFRが有用」「尿素は40〜50%が尿細管で再吸収される(全量排泄ではない)」「ネフローゼ症候群=大量タンパク尿+低アルブミン+浮腫+高脂血症」が頻出です。エの誤りは「尿素が全量排泄される(再吸収がない)」という尿細管機能の誤認です。

【根拠】医学的事実(確立した腎臓生理学)。GFRの正常値・クレアチニンとBUNの腎での処理の違い・ネフローゼ症候群の病態は確立した知識。

【補足】エが誤り:尿素(BUN)は糸球体でろ過された後、集合管で約40〜50%が再吸収される(全量排泄ではない)。クレアチニンとの違い(Crはほぼ再吸収なし)が重要。

この問題の根拠根拠: 医学的事実(確立した腎臓生理学)。尿素は糸球体でろ過された後、尿細管で40〜50%が再吸収される(全量が再吸収なく排泄されるのではない)。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した腎臓生理学)。尿素は糸球体でろ過された後、尿細管で40〜50%が再吸収される(全量が再吸収なく排泄されるのではない)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 腎臓・クレアチニンと糸球体ろ過率(GFR
  • 頻出度B

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