衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働生理 問81|感覚器・深部感覚

問題

衛生管理者 | 労働生理

深部感覚(固有感覚)と運動の協調に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはウです。筋紡錘からのIa線維は筋の伸張(長さの変化)と伸張速度の両方を感知し、脊髄のα運動ニューロンに直接シナプスして伸張反射(単シナプス反射)を起こします。膝蓋腱反射はその典型例で、腱を叩く→筋紡錘が伸張を感知→Ia線維→α運動ニューロン→大腿四頭筋収縮(膝が蹴り上がる)という経路です。

各誤りの要点: ア→筋紡錘は筋腹(筋の中腹部)に存在し、筋の伸張(長さ)を感知する(腱・張力ではない)(誤り)。イ→ゴルジ腱器官(GTO)は腱に存在し、筋の張力(収縮力)を感知する(誤り)。エ→深部感覚(固有感覚)の上行路は後索であり、「前索・側索を通じて上行する」という前半の記述が誤り(前索・側索を通るのは痛覚・温度覚の脊髄視床路であって深部感覚ではない)。オ→前庭器官(耳石器・半規管)は平衡感覚を担当・コルチ器は聴覚(逆)(誤り)。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 筋紡錘(muscle spindle)は筋腹内の錘内筋線維に存在します(腱ではない)。感知するのは筋の長さ(伸張)と伸張速度(張力ではない)。腱を叩いて筋が伸張→筋紡錘の錘内筋線維が引き伸ばされる→Ia線維が興奮→脊髄のα運動ニューロンに直接シナプス(単シナプス)→筋が収縮(腱反射)。「腱に存在・張力を感知」はゴルジ腱器官の記述であり、筋紡錘に当てはめると誤りです。
  • イ(誤): ゴルジ腱器官(Golgi tendon organ: GTO)は腱(筋腱移行部)に存在します(筋の中腹部ではない)。感知するのは筋の張力(収縮によって生じる腱の緊張)です。過剰な筋収縮→GTO活性化→Ib線維(二次求心性線維)→脊髄の介在ニューロン→α運動ニューロン抑制→筋弛緩(自原抑制: autogenic inhibition)。これは過剰な筋緊張による腱・筋の損傷を防ぐ保護的反射です。「筋の中腹部・長さを感知」は筋紡錘の記述であり、GTOの説明として誤りです。
  • ウ(正): Ia線維(群I・最大径・最速伝導)は筋紡錘の主要求心性線維で、筋の伸張(静的な長さ)と伸張速度(動的な変化率)の両方を感知します。II線維(二次求心性線維)は伸張のみ(速度感知なし)。Ia線維→脊髄前角のαモトニューロンへの直接単シナプス→伸張反射(stretch reflex)の反射弓を構成します。これが「単シナプス反射」(Ia→αモトニューロン間にシナプスが1つだけ)の意味です。
  • エ(誤): 深部感覚(固有感覚・振動覚・識別触覚)の上行路は脊髄の後索(後柱)です(前索・側索ではない)。後索の薄束(T6以下・下肢)と楔状束(T6以上・上肢)を通り、延髄の後索核でシナプス→対側に交叉(延髄交叉)→内側毛帯→視床→大脳皮質(一次体性感覚野)。前索・側索は主に脊髄視床路(痛覚・温度覚・粗い触覚)の上行路と錐体路(随意運動の下行路)が通ります。
  • オ(誤): 前庭器官(vestibular organ)は平衡感覚を担当します。①耳石器(卵形嚢・球形嚢):重力方向・直線加速度を感知(有毛細胞の上の耳石膜と耳石の相対移動)②半規管(三半規管):回転角加速度を感知(内リンパ液の流動による有毛細胞の偏位)。コルチ器(蝸牛)は聴覚を担当します。「前庭器官が聴覚・コルチ器が平衡感覚」は完全に逆の記述です。

#### 1. 筋紡錘とGTOの構造・機能の詳細比較

受容器部位感知する量求心性線維脊髄反射
筋紡錘(錘内筋線維)筋腹内(筋線維と並列)筋長・伸張速度Ia(速度+長さ)・II(長さのみ)伸張反射(単シナプス: Ia→αMN)
ゴルジ腱器官(GTO)腱・筋腱移行部(直列)筋張力Ib自原抑制(Ib→IN→αMN抑制)・多シナプス反射

筋紡錘の構造の詳細:

  • 錘内筋線維: 核袋線維(nuclear bag fiber)・核鎖線維(nuclear chain fiber)の2種類
  • 核袋線維: Ia線維(伸張速度に特に感受性)・II線維(伸張の絶対量)
  • γ運動ニューロン: 錘内筋線維の収縮力を調整→筋紡錘の感受性を中枢がコントロール(γループ)
  • 重要: γ運動ニューロンの活動が増えると筋紡錘の感受性が高まる→脳の「注意状態」で筋紡錘感度が高まる

GTO(ゴルジ腱器官)の自原抑制の意義:

  • 過大な筋張力(例: 突然の重量負荷)→GTO活性化→同筋のαMN抑制→筋弛緩→腱断裂防止
  • ストレッチング(静的筋伸長)後に感じる「筋がほぐれる感覚」はGTOによる自原抑制が一因

#### 2. 固有感覚の中枢処理と運動の協調

固有感覚情報の中枢処理:

1. 脊髄後索(Ⅱ→延髄後索核で第一次シナプス)

2. 延髄→対側(交叉)→内側毛帯→視床腹側後外側核(VPLc)

3. 大脳皮質一次体性感覚野(SI: ブロードマン3a・3b・1・2野)

4. 固有感覚特異的: 3a野(筋紡錘Ia線維由来・関節位置覚)・3b/1野(皮膚触覚)

小脳との統合(運動の協調・精度調節):

  • 固有感覚情報は脊髄小脳路(前・後脊髄小脳路)でも小脳に送られる
  • 小脳は固有感覚を使って「予測した動き」と「実際の動き」を比較→誤差信号→運動指令の修正
  • 小脳障害(アタキシア): 固有感覚情報の統合障害→測定過誤(dysmetria)・運動失調

#### 3. 深部感覚障害と職業性健康(脊髄・末梢神経障害)

固有感覚障害の職業的原因:

  • 脊髄後索障害: ①ビタミンB₁₂欠乏(亜酸化窒素N₂O暴露: 麻酔器・不正使用で報告あり→B₁₂不活性化→脊髄後索変性)②梅毒性脊髄炎(脊髄癆: 主に過去の疾患)
  • 末梢神経障害: 鉛中毒・有機溶剤(ノルマルヘキサン・ガリウム)・振動工具使用(白蝋病・振動障害: 末梢神経障害)

固有感覚障害の症状と転倒リスク:

  • 振動覚・位置覚の低下→ロンベルグ試験陽性(閉眼で立位保持困難)→転倒リスク増大
  • 高齢労働者・振動工具使用者の足元不安定→高所作業での転落事故リスク
  • 末梢神経障害の早期発見(音叉試験・モノフィラメント試験)が産業保健での実務

振動障害(vibration-induced white finger・HAVS):

  • 振動工具(チェーンソー・削岩機等)の長期使用→末梢神経・血管障害
  • 特定業務健康診断(振動工具取扱い作業)での神経学的検査(感覚閾値測定)が重要

#### 4. 衛生管理者試験での頻出論点と職場への応用

試験では「筋紡錘=筋腹に存在・筋の伸張(長さ)を感知・Ia線維で伸張反射の求心路」「ゴルジ腱器官=腱に存在・筋の張力を感知・Ib線維で自原抑制」「深部感覚の上行路=後索(後柱)」「前庭器官(耳石器・半規管)=平衡感覚を担当(聴覚ではない)」「コルチ器=聴覚を担当(平衡感覚ではない)」が頻出です。アとイは筋紡錘とGTOの部位・感知する量を入れ替えた典型的な引っかけです。

職場への応用として、振動工具使用作業者の末梢神経障害(感覚障害・固有感覚障害)は転倒・作業ミスのリスク因子であり、定期的な特定業務健康診断と適切な休憩・工具使用制限が衛生管理者の実務です。

【根拠】医学的事実(確立した感覚生理学・神経解剖学)。筋紡錘とGTOの構造・感知する量・反射弓の違い・深部感覚の後索上行路・前庭器官の機能は確立した知識。

【補足】ウが正答:筋紡錘Ia線維=筋伸張と伸張速度を感知・伸張反射の求心路(単シナプス)。ア(筋紡錘が腱・張力感知)とイ(GTOが筋腹・長さ感知)は互いの特徴を入れ替えた誤り。前庭器官=平衡感覚・コルチ器=聴覚(オは逆で誤り)。

この問題の根拠根拠: 医学的事実(確立した感覚生理学・神経生理学)。筋紡錘のIa線維は筋の伸張と伸張速度を感知し、伸張反射(単シナプス反射)の求心路を構成する。
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出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した感覚生理学・神経生理学)。筋紡錘のIa線維は筋の伸張と伸張速度を感知し、伸張反射(単シナプス反射)の求心路を構成する。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 感覚器・深部感覚(固有感覚
  • 頻出度B

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