行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 民法 問111|請負・仕事の完成前の解除・報酬

問題

行政書士 | 民法

請負に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか(現行民法に基づいて答えること)。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

エが誤りです。請負契約は原則として請負人の死亡によって当然に消滅するものではなく、相続人が請負人の地位を承継します(民896条)。請負は労務の給付を目的とする点で雇用に類似しますが、「仕事の完成」という成果を約束する請負では、必ずしも請負人本人が行う必要がないため(再下請けも可能)、一身専属的ではなく相続される場合があります(ただし特約によって異なる)。アは正しく(報酬未払いに対する留置権行使可)、イは正しく(民641条・仕事完成前の損害賠償解除可)、ウは正しく(民636条・注文者の材料・指図による場合は担保責任不追及が原則)、オは正しく(民536条2項の危険負担・注文者帰責の不能なら報酬全額請求可)。

エが誤りです。請負契約は、原則として請負人の死亡によって当然に消滅するものではありません。民法896条により、相続人は原則として被相続人(請負人)の契約上の地位を相続します。請負は「仕事の完成」を約束する契約であり、作業員・労働者(雇用)と異なり、請負人の個性よりも成果物の完成が主眼であるため、相続人による完成履行が可能な場合は相続されます(例外として、特定の芸術家・設計士への依頼など人的信頼が本質的な場合は、特約または契約の解釈で一身専属性が認められることがある)。

アは正しいです。請負人は仕事の完成後に目的物の引渡しと同時に報酬を受けます(民633条)。報酬未払いの場合、留置権(民295条)が成立しえます(牽連性:報酬請求権は目的物に関して生じた債権)。

イは正しいです。民641条は「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」と規定しています。

ウは正しいです。民636条本文は、注文者は「注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」と規定しており、注文者自身の原因による不適合には担保責任を追及できません(ただし請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは別)。

オは正しいです。注文者の帰責事由による履行不能の場合は危険負担の規律(民536条2項)により、請負人は報酬の全額を請求できます。

【理論的背景】

請負(民632条〜642条)は、当事者の一方(請負人)が仕事を完成させることを約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払う契約です。請負の特徴として、①成果主義(仕事の完成が条件)、②再下請けの許容(雇用と異なり人的信頼より成果が優先)、③担保責任(契約不適合責任)の特則(民636条)があります。2020年施行の改正民法では、旧法の「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」(民559条・562条等を準用)に変更されたため、請負においても「種類・品質に関する不適合」という概念に統一されました。

【条文構造】

請負の核心条文を整理します。

民632条:請負の成立(諾成契約・書面不要・仕事完成+報酬)。

民633条:報酬の後払い原則(仕事完成・引渡しと同時が原則)。

民634条:注文者が受ける利益の割合に応じた報酬(仕事が完成前に終了した場合・注文者の利益がある部分は割合報酬)。

民636条:担保責任の制限(注文者の材料・指図による不適合→請負人の担保責任なし。ただし請負人が材料又は指図の不適当を知りながら告げなかったときは別)。

民641条:注文者による任意解除(仕事完成前にいつでも損害賠償して解除可)。

民642条:注文者の破産等による解除。

民536条2項(危険負担・注文者帰責):注文者の責めに帰すべき事由による履行不能→請負人の報酬全額請求可。

【試験での位置づけ】

行政書士試験における請負の典型論点は、①注文者の任意解除権(民641条・損害賠償して解除可)、②担保責任の制限(注文者材料・指図による不適合→担保責任なし・民636条)、③危険負担・注文者帰責の場合の報酬全額請求(民536条2項)、④請負人死亡と契約の承継(一身専属性の原則の例外・相続可)の4点です。特に「請負人が死亡すると請負契約が消滅する」という誤りパターンは、雇用(一身専属的)との混同から生じるため注意が必要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。報酬請求権と目的物の牽連性により留置権成立(民295条1項)。請負人が建物を建設し注文者が代金を支払わない場合に建物を留置できる。ただし注文者の土地に建設した場合の留置権の効力(建物に留置権を設定できるが土地には及ばない等)は実務上問題となる。
  • イ: 正しい(民641条)。注文者の任意解除権は損害賠償が要件。「損害」は請負人が仕事のために既に投じたコスト・逸失利益が含まれる。任意解除の場合、原状回復義務はなく(仕事完成前の解除)、損害賠償で決済する。
  • ウ: 正しい(民636条)。注文者帰責の不適合に担保責任を負わないという規律は、請負人への不当な責任追及を防ぐ衡平的規律。ただし「請負人がその材料又は指図の不適当であることを知りながら告げなかったとき」は例外(民636条ただし書)。
  • エ: 誤り(正答)。請負は成果物の完成が本質であり、一身専属的ではないため相続される(民896条)。例:建設会社(法人)が請負人の場合は会社の継続で問題ないが、個人の大工が死亡した場合も、相続人が技術を持っていれば原則として契約は承継される。特約で「本人死亡による解除」を定めることは可能(民641条・任意解除として処理)。
  • オ: 正しい(民536条2項)。注文者帰責の場合の危険負担規律。請負人が完成義務を免れるとともに、対価(報酬)は全額請求できる(反対給付の請求権は失わない)。ただし請負人は、自己の債務を免れたことによって得た利益(節約できた費用等)を注文者に償還しなければならない(536条2項後段)。

【根拠条文】

民法 第632条(請負の成立)、第636条(担保責任の制限)、第641条(注文者による任意解除)、第896条(相続の一般的効力)、第536条第2項(注文者帰責の履行不能における報酬請求権)

【補足】

請負人の死亡による当然消滅はない(民896条で相続・雇用との違い)。注文者の任意解除は損害賠償して可(民641条)。注文者帰責の不適合には担保責任なし(民636条)が頻出論点。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第634条(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)、第636条(請負人の担保責任の制限)、第641条(注文者による契約の解除) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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  • 請負・仕事の完成前の解除・報酬
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