ITパスポート

事務職・経理職がITパスポートを取るべき理由【DX推進・業務効率化への活用法】

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

事務職・経理職がITパスポートを取得して得られる価値を解説。RPA/Excel自動化/会計システム/データ分析への業務適用と、配置転換・人事評価への活かし方を実務目線で紹介。

目次
  1. この記事でわかること(30秒サマリ)
  2. 事務職・経理職を取り巻くDX環境の変化
  3. ITパスポートで学べる業務直結の4分野
  4. 取得後の業務効率化シナリオ(具体例3つ)
  5. 配置転換・昇給・人事評価への活かし方
  6. 業務と両立する学習プランの例
  7. まとめ:IT知識は「仕事を守る」より「仕事を広げる」武器になる
  8. 関連記事
結論:事務職・経理職がITパスポートで学ぶ情報セキュリティ・データベース・プロジェクト管理の知識は、日常的に使うシステムの選定・運用・改善を考える土台になります。ただし資格の取得が昇給や配置転換を保証するわけではなく、業務での活用実績とセットで伝えることが重要です。

この記事でわかること(30秒サマリ)

  • 事務・経理職が直面しているDX環境の変化と、IT知識が必要になった背景
  • ITパスポートで学べる4分野が「実務にどう効く」か(経理・総務・営業事務別)
  • 取得後に実現できる業務効率化の具体的シナリオ3つ
  • 人事評価・配置転換への活かし方(会社ごとに扱いが異なります)
  • 業務と両立する学習プランの例
合格率:令和7年度 48.6%(全体)。令和8年度(4〜9月累計)の社会人 52.1%。最終確認日:2026-10-29。出典:IPA 応募者数・受験者数・合格者数の推移。

事務職・経理職を取り巻くDX環境の変化

単純事務はAI・RPAに代替される時代へ

データ入力・請求書照合・勤怠集計など、ルーティン業務は自動化の対象になりやすい分野です。RPAツール(UiPath・Power Automate)などを使った自動化に取り組む会社もあります。「自分の仕事がなくなるかも」という不安を抱えている事務職の方もいるでしょう。

一方で、自動化を設計・管理・改善できる知識は役に立ちます。RPAを動かすだけでなく、「どの業務を自動化すべきか」「フロー設計で何を考慮すべきか」「エラー時にどう対処するか」を考えられると、業務の主導権を持ちやすくなります。

クラウドSaaSが事務・経理の標準環境になった

freee・マネーフォワードクラウド会計(会計)、KING OF TIME・ジョブカン(勤怠)、kintone・NotionDB(業務管理)、Salesforce・HubSpot(CRM)——これらのSaaSを使う事務・経理部門は多くあります。

ツールの「使い方」はマニュアルがあれば覚えられます。問題は、なぜそのSaaSを選ぶのか・どう評価基準を設けるのか・セキュリティリスクをどう管理するのかという判断です。この判断力こそ、ITパスポートで身につく知識の核心です。

公務員・文系職との違い:「業務直結度」が段違い

同じ職種特化記事として公務員向け・文系・営業職向けを別途掲載していますが、事務・経理職のITパスポート活用は性質が異なります。

公務員はDX推進の「政策側」での活用、文系・営業職は顧客提案での活用が中心です。一方、事務・経理職はシステムの「日常運用者」として業務プロセスに直接触れるため、IT知識が即日の業務改善に直結するという特徴があります。毎日触れているシステムの仕組みを理解することで、「なぜこのエラーが出るのか」「どう相談すればベンダーが動くか」が分かるようになるのです。


ITパスポートで学べる業務直結の4分野

ITパスポートは3分野(ストラテジ・マネジメント・テクノロジ)から100問(評価対象は92問)が出題されますが、事務・経理職に特に効く知識を4つのテーマに絞って解説します。

1. 情報セキュリティ(テクノロジ系)

会計データ・人事情報・取引先情報は企業の最重要資産です。事務・経理職はこれらを日常的に扱うため、情報セキュリティの知識は職務上の必須スキルといえます。

ITパスポートでは「マルウェアの種類と対策」「パスワード管理・多要素認証」「クラウドの利用とセキュリティ」などを学びます(シラバス Ver.6.5 に用語あり)。これはSaaS導入時の「セキュリティチェックリスト」作成や、取引先からのセキュリティ調査票への回答を考えるときの基礎になります。

情報セキュリティの演習には、不要になったPCを廃棄するときの情報漏えい対策を選ぶ問題が使えます。

2. データベース基礎(テクノロジ系)

Excelの関数を使いこなす経理担当者は多いですが、「なぜVLOOKUPが使いにくいのか」「なぜピボットテーブルで集計が狂うのか」を根本から理解している人は少数です。ITパスポートで学ぶ「テーブル設計」「正規化」「キー・リレーションの考え方」は、Excel管理の限界を理解し、業務データの構造設計を改善するための土台です。

また、kintoneやSalesforceなどのノーコードDBを社内導入する際に「どのフィールドを持つべきか」「どんな検索条件が必要か」を判断する際にも、この知識が効きます。

データベースの正規化は、受注データを正規化した表の組合せを選ぶ問題で確認できます。

3. プロジェクト管理(マネジメント系)

システム導入・業務改善プロジェクトに参加する機会が増えた事務・経理職に必要なのが、プロジェクト管理の基礎知識です。「WBS(作業分解構造)」「スコープ管理」「リスクマネジメント」「品質管理」の概念を知ることで、ベンダーとのやり取りで「何を決めなければいけないか」が分かるようになります。

「いわれた通りにやったのにシステムが使いにくい」という経験は、要件定義とスコープ合意の不備から生まれます。発注側の担当者としてプロジェクトに関われる人材は、バックオフィス部門で重宝されます。

4. 会計・財務とITシステム(ストラテジ系)

ストラテジ系には「経営戦略」「会計・財務」「業務プロセス」などの分野があり、経理職が業務で扱う内容と重なります。特に「ERP」「内部統制」などの用語は、freeeやマネーフォワードを使った実務と照らし合わせながら学べるため、理解が深まりやすいのが特徴です。

ERPについては、ERPシステムの説明を選ぶ問題で確認できます。


取得後の業務効率化シナリオ(具体例3つ)

「資格を取った後、実際に何が変わるのか」を3つの具体的なシナリオで説明します。

シナリオ1:Excel管理からPower Queryへの移行

月次の売上集計を複数のExcelファイルから手作業でコピーペーストしている場合、Power Query(Excelに標準搭載)を使えば自動化できます。ただし「Power Queryを使え」と言われても、テーブル結合・データ変換・クエリの概念を知らないと設定できません。

ITパスポートのデータベース分野で「結合」「主キー・外部キー」を学ぶと、Power Queryの設定画面が「何をしているか」を理解しやすくなります。

シナリオ2:紙伝票・押印フローのクラウド化

稟議書・経費精算書・契約書を紙で回覧している会社では、ワークフローシステム(kintone・SmartHR・楽々WorkFlow)の導入検討が進んでいます。事務担当者がIT知識を持っていれば、「どのシステムが自社フローに合うか」「どんな承認フローを設定すべきか」を主体的に検討できます。

ITパスポートで学ぶ「業務プロセス」「サービスマネジメント」の知識は、このシステム選定時の評価基準作りの参考になります。「なんとなく使いやすそう」ではなく「フロー設計の自由度・監査ログの出力形式・他システムとのAPI連携」といった観点で比べられます。

シナリオ3:属人化業務の標準化とナレッジ共有

「〇〇さんしか分からない」業務が存在する組織は多く、担当者の退職・異動で業務が止まるリスクを抱えています。業務フローの文書化・標準化・ナレッジ管理システム(Notion・Confluence等)への集約は、事務部門のDX課題として上位に入ります。

ITパスポートの「業務プロセス」「情報システムの活用」の知識は、ナレッジ化の設計を考える助けになります。「どの情報をどの粒度で残すか」「検索性をどう確保するか」という判断には、IT基礎知識が役立ちます。


配置転換・昇給・人事評価への活かし方

ITパスポートの取得は「合格証書」の話ではなく、「業務にどう活かすか」が重要です。人事評価で評価される活かし方を具体的に示します。

社内DX推進メンバーへの参加

DX推進プロジェクトを進めている会社もあります。「ITが分かる事務・経理担当者」は現場の業務フローを知りながらITシステムの選定に参加できる可能性があります。

重要なのは、取得後すぐに「DX推進に参加したい」と上司に伝えることです。資格を持っているだけでは評価されません。「経理業務のどの部分を自動化できるか提案したい」「freeeのAPI連携で月次レポート自動化を検討したい」という具体的な提案がセットで初めて評価されます。

IT資格手当・評価項目への適用

資格手当を設けている会社では、ITパスポートが対象になっている場合があります。対象かどうか・金額は会社ごとに異なるため、自社の資格手当規程を事前に確認し、申請漏れがないようにしてください。

人事評価での活かし方は、「資格を持っている」ではなく「資格で学んだXXを業務でYYに活かした結果ZZが改善した」という実績ベースの記述です。評価面談では「ITパスポートの情報セキュリティ知識を活かしてSaaS導入時のセキュリティチェックリストを作成し、ベンダー選定を主導した」という形で説明できると、評価者に伝わりやすくなります。

配置転換・キャリアチェンジの足がかり

「営業事務から営業企画へ」「一般事務からシステム管理担当へ」「経理からDX推進部門へ」という社内異動を希望する場合、ITパスポートは「IT知識があることの証明」として有効です。

ただし、合格後のキャリア活用の記事でも詳しく解説していますが、資格取得は入場券に過ぎません。「この配置でこれをやりたい」という具体的な志望理由と「現職でITを活かした実績」がセットで初めて、配置転換の根拠として機能します。


業務と両立する学習プランの例

IPAは学習時間の目安を示していません(試験の概要はIPAの試験要綱で確認できます)。以下は進め方の例で、必要な期間には個人差があります。

事務・経理職に有利な「得意分野」の見極め

公務員向け記事では「法律・行政手続き」、文系・営業職向け記事では「マーケティング・営業実務」が得意分野として挙げていますが、事務・経理職の場合は次の分野がすでに強みになっています。

  • ストラテジ系:会計・財務(経理職は特に強い)、法務・コンプライアンス、業務プロセス管理
  • マネジメント系:進捗管理・スケジュール管理の実務経験、サービス品質管理の感覚

これらは試験範囲の中でも日頃の業務に近い分野なので、取り組みやすいでしょう。

スケジュール案(例)

約8週の例(ビジネス知識が豊富な経理・総務担当向け)

  • 第1〜2週:過去問を数十問解いて現状を測定。得意分野と苦手分野を把握
  • 第3〜5週:テクノロジ系の用語補強(解説を読んで「仕組みの理解」に集中)
  • 第6〜8週:過去問を本番と同じ100問・120分で通して解く練習を数回。弱点分野を重点的に再演習

約12週の例(ITにほぼ触れたことがない一般事務・営業事務向け)

  • 第1〜3週:ITパスポートの全体構造を解説サイト・動画で把握。用語に慣れる
  • 第4〜6週:ストラテジ系・マネジメント系の過去問演習で得点基盤を作る
  • 第7〜10週:テクノロジ系を集中攻略(解説で「なぜ」を理解しながら進める)
  • 第11〜12週:本番形式の演習で仕上げ

繁忙期を避けたスケジュール設計

経理職は、決算期や年末調整など繁忙期(時期は会社により異なります)との衝突が課題になりがちです。ITパスポートはCBT方式で随時受験できるため(ただし2026年12月28日以降は休止の予定で、再開時期はIPAの案内を待つ必要があります)、繁忙期後の「閑散期」に受験日を設定する方法があります。逆算して「繁忙期前にインプットを進め、繁忙期後に仕上げる」という二段構えのスケジュールが考えられます。

隙間時間を活用する過去問習慣

通勤・昼休みのスマホ過去問は、事務職・経理職が取り組みやすい方法です。1回5〜10問ずつ解くだけでも演習量を積み上げられます。問題を解くだけでなく「解説を読む」時間を必ずセットにしましょう。


まとめ:IT知識は「仕事を守る」より「仕事を広げる」武器になる

事務・経理職にとってITパスポートは、AI・RPA代替への防衛策ではなく、業務の主導権を持つための積極的な武器です。

自動化を考えられる・システム選定に参加できる・ベンダーとの話の前提を共有できる——こうした知識の入口として、ITパスポートの学習を使えます。

まずは過去問を解いて、自分の現在地を確かめてください。


関連記事

最終確認 2026-10-29出典: IPA 情報処理推進機構 — iパス試験情報。受験料・合格率・試験日程・申込締切などの変動する値は、IPAの公式発表で最新情報を必ずご確認ください。

よくある質問

Q事務職・経理職がITパスポートを取得するメリットはありますか?

メリットはあります。事務・経理職はfreee・マネーフォワード・KING OF TIMEなどのクラウドSaaSを日常的に扱うことが多く、ITパスポートで学ぶ「データベース」「情報セキュリティ」「プロジェクト管理」の知識は、こうしたシステムの選定・運用・改善を考えるときの土台になります。ただし、資格の取得が昇給や配置転換を保証するわけではありません。

QITパスポートの勉強は経理・事務の業務に直接役立ちますか?

ITパスポートのシラバス(Ver.6.5)には、会計・財務、業務プロセス、ERP、内部統制、RPAなどの用語例があり、経理・事務の業務と重なる分野があります。特にストラテジ系の経営管理・法務、テクノロジ系のデータベースは、日常業務の理解を深める知識になります。

Q事務職・経理職のITパスポート合格率はどのくらいですか?

IPAが公表している職種別の合格率はありません。全体の合格率は令和7年度で48.6%、令和8年度(4〜9月累計)の社会人は52.1%です(IPA統計)。弱点になりやすいのはテクノロジ系の技術用語です。必要な学習時間はIPAが示していないため、下の学習プランは当サイトの試算例です。

QITパスポートの取得で昇給・昇格につながりますか?

資格手当や人事評価への反映は会社ごとに異なります。IPAが示す制度ではないため、自社の資格手当規程や評価項目を確認してください。「配置転換希望時のアピール材料」として使える場合もありますが、実際の業務での活用実績とセットで伝えることが重要です。

Q事務・経理の仕事をしながらITパスポートの勉強を続けられますか?

平日30分・休日(週2日)に2時間ずつのペースなら、週あたり約6.5時間です。必要な学習時間はIPAが目安を示しておらず、個人差があります。経理職は繁忙期を避けてスケジュールを組むのがポイントです。通勤時間にスマホで過去問を解く習慣をつけると、机に向かう時間が少なくても学習量を積み上げられます。

この資格の問題を解くITパスポート 過去問(回ごと・分野別)
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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月29日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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