ITパスポート

損益分岐点とは?ストラテジ系 ・ 財務会計

読み方: そんえきぶんきてん

1行定義
売上高が総費用(固定費+変動費)と等しくなる、利益も損失もゼロになる売上高・販売数量の水準。

詳細解説

損益分岐点(BEP: Break-Even Point)は、売上高が総費用に等しくなり利益がちょうどゼロになる売上高(または販売数量)の点です。損益分岐点を下回れば赤字、上回れば黒字となります。計算式は「損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)」または「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」で求められます。ここで変動費率は「変動費÷売上高」、限界利益率は「(売上高-変動費)÷売上高=1-変動費率」です。たとえば固定費が100万円、変動費率が40%の場合、損益分岐点売上高は100万円÷(1-0.4)=約167万円となります。売上高がこの損益分岐点売上高を上回れば黒字、下回れば赤字です。損益分岐点比率(損益分岐点売上高÷実際売上高)は低いほど経営安全性が高いことを示します。ITパスポート試験のシラバス(Ver.6.5)は「損益分岐点や利益率などの簡単な計算」を活用例に挙げており、令和5年度 問13・令和7年度 問34のように、固定費・変動費・販売単価の数値から損益分岐点や必要な販売数量を求める問題が出ています。固定費削減または限界利益率改善によって損益分岐点を下げられることも押さえておく必要があります。

損益分岐点の計算方法(売上高・販売数量の公式)

結論:損益分岐点売上高は「固定費 ÷(1 − 変動費率)」、損益分岐点の販売数量は「固定費 ÷(販売単価 − 1個当たりの変動費)」で求めます。どちらも「売上から変動費を引いた残り(限界利益)で、固定費をちょうど回収できる点」を計算しています。

合格ナビに収録しているITパスポートの公開問題600問(令和3〜8年度・各100問)のうち、損益分岐点や必要な販売数量を計算させる問題は2問、基本情報技術者試験の収録問題520問(平成21年度〜令和7年度の公開問題と2022年のサンプル問題)では、損益分岐点・利益の計算を扱う問題が4問です(2026-10-02 集計)。ITパスポート試験のシラバス Ver.6.5 は、損益分岐点・固定費・変動費・変動費率を用語例に、「損益分岐点や利益率などの簡単な計算」を活用例に挙げています(IPA ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5)。

求めるもの公式自作の例
損益分岐点売上高固定費 ÷(1 − 変動費率)固定費300万円・変動費率0.6 → 300 ÷ 0.4 = 750万円
損益分岐点の販売数量固定費 ÷(販売単価 − 1個当たりの変動費)固定費40万円・単価2,000円・変動費1,200円 → 400,000 ÷ 800 = 500個
目標利益を出す売上高(固定費 + 目標利益)÷(1 − 変動費率)目標利益60万円 → 360 ÷ 0.4 = 900万円
損益分岐点比率損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高実際の売上高1,000万円 → 750 ÷ 1,000 = 75%

手順(自作の例:固定費300万円・変動費率0.6)

  • ① 変動費率を確かめます。書かれていなければ「変動費 ÷ 売上高」、1個単位なら「1個当たりの変動費 ÷ 販売単価」で出します。
  • ② 1 − 0.6 = 0.4 が、売上1円当たりに残る限界利益(限界利益率)です。
  • ③ 固定費をこれで割ります:300 ÷ 0.4 = 750万円が損益分岐点売上高です。
  • 検算:売上高750万円のとき、変動費は 750 × 0.6 = 450万円、利益は 750 − 450 − 300 = 0 になります。
  • 販売数量の例も売上高の式で確かめられます。変動費率は 1,200 ÷ 2,000 = 0.6 なので、400,000 ÷ 0.4 = 1,000,000円 = 500個 × 2,000円 と一致します。

損益分岐点を下げるには

損益分岐点売上高は「固定費 ÷ 限界利益率」なので、分子の固定費を減らすか、分母の限界利益率(1 − 変動費率)を上げると下がります。上の例で固定費を300万円から240万円に減らすと 240 ÷ 0.4 = 600万円、変動費率を0.6から0.5に下げると 300 ÷ 0.5 = 600万円です。固定費と変動費の分け方は固定費・変動費、限界利益の考え方は限界利益で確認できます。

この論点の過去問を解く(公式の使い方):

例題:ITパスポートの過去問で損益分岐点を求める

令和5年度 問13(販売単価を下げたときの損益分岐点)

ある製品の今月の売上高と費用は表のとおりであった。販売単価を1,000円から800円に変更するとき,赤字にならないためには少なくとも毎月何個を販売する必要があるか。ここで,固定費及び製品1個当たりの変動費は変化しないものとする。
表:売上高 2,000,000円(販売単価 1,000円、販売個数 2,000個)/固定費 600,000円/1個当たりの変動費 700円
ア 2,400 イ 2,500 ウ 4,800 エ 6,000

出典:令和5年度 ITパスポート試験 公開問題 問13(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)

  • 表の売上高2,000,000円と販売個数2,000個は単価を変える前の実績なので、答えには使いません。使うのは新しい販売単価800円・1個当たりの変動費700円・固定費600,000円の3つです。
  • 1個売るごとに残る金額(限界利益)= 800 − 700 = 100円
  • 必要な販売個数= 600,000 ÷ 100 = 6,000個(エ)
  • 検算:6,000個のとき、売上高 6,000 × 800 = 4,800,000円、変動費 6,000 × 700 = 4,200,000円で、利益は 4,800,000 − 4,200,000 − 600,000 = 0円です。5,999個では100円の赤字になるので、6,000個が「少なくとも」の答えです。

令和7年度 問34(目標利益に必要な追加の販売数)

ある商品を5,000個販売したところ,売上げが6,000万円,利益が400万円となった。商品1個当たりの変動費が7,000円であるとき,利益を1,000万円以上にするためには,少なくともあと何個販売すればよいか。
ア 500 イ 1,200 ウ 6,200 エ 7,500

出典:令和7年度 ITパスポート試験 公開問題 問34(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)

  • 販売単価= 6,000万円 ÷ 5,000個 = 12,000円
  • 1個当たりの限界利益= 12,000 − 7,000 = 5,000円。固定費は変わらないので、1個多く売るごとに利益が5,000円増えます。
  • 増やしたい利益= 1,000万円 − 400万円 = 600万円 → 600万円 ÷ 5,000円 = 1,200個(イ)
  • 検算(固定費から求める):固定費= 5,000円 × 5,000個 − 400万円 = 2,100万円。利益1,000万円に必要な数量は(2,100万円 + 1,000万円)÷ 5,000円 = 6,200個で、6,200 − 5,000 = 1,200個と一致します。選択肢ウの6,200は合計の販売数で、問われているのは「あと何個」です。

この論点の過去問を解く(例題):

計算問題をまとめて確認したいときは、ITパスポートの計算問題の解き方も参考にしてください。

ITパスポートでの出題ポイント

  1. 損益分岐点売上高の計算式(固定費÷限界利益率)
  2. 損益分岐点比率と経営安全性の関係
  3. 固定費削減・限界利益率改善が損益分岐点に与える影響
  4. 変動費率・限界利益率の相互関係

関連用語

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シラバス 6.5 準拠 / 最終更新: 2026-10-02