ITパスポートの計算問題を、令和3〜8年度のIPA公開問題600問で数えると35問でした。損益分岐点・日程と工数・確率と統計など、型ごとの問題数と出た問題、電卓なしで解く式と2通りの検算を、公開問題へのリンクつきで整理します。
目次
結論:ITパスポートの計算問題は、令和3〜8年度の公開問題600問のうち35問でした。多いのは損益、日程と工数、確率と統計の型です。どれも電卓なしで解ける短い式です。
ITパスポートの計算問題は何が出るか:公開問題600問のうち35問
計算問題は、1年度あたり3〜8問でした。100問のうちの数問なので、1問に時間をかけすぎない解き方が合います。
数えたのは、問題文の数字を使い、答えの数を自分で計算する問題です。式を選ぶだけの問題と、擬似言語で値をたどる問題は入れていません。
集計:合格ナビの問題データ(IPAの公開問題 令和3〜8年度の600問、集計日 2026-10-29)。
| 計算の型 | 分野 | 問題数 | 出た問題 |
|---|---|---|---|
| 損益・利益(損益分岐点を含む) | ストラテジ系 | 4 | 令和3年度 問28、令和5年度 問13、令和6年度 問8、令和7年度 問34 |
| 財務指標・取引の残高 | ストラテジ系 | 4 | 令和4年度 問11・問28、令和7年度 問26、令和8年度 問26 |
| 投資の比較・回収期間 | ストラテジ系 | 2 | 令和5年度 問4、令和6年度 問20 |
| 部品を発注する時期 | ストラテジ系 | 1 | 令和5年度 問33 |
| 日程(アローダイアグラム・最短の時間) | マネジメント系 | 5 | 令和3年度 問50、令和4年度 問43、令和5年度 問41、令和6年度 問41、令和8年度 問50 |
| 工数・要員・進み具合とコスト | マネジメント系 | 4 | 令和3年度 問36、令和4年度 問50、令和5年度 問55、令和7年度 問45 |
| 業務時間の削減率・止めてよい時間 | マネジメント系 | 3 | 令和6年度 問38、令和7年度 問54、令和8年度 問44 |
| 割合・確率・統計 | テクノロジ系 | 5 | 令和4年度 問59、令和5年度 問76・問77、令和6年度 問83、令和7年度 問85 |
| 稼働率 | テクノロジ系 | 2 | 令和6年度 問67、令和7年度 問94 |
| 記憶容量(RAID) | テクノロジ系 | 2 | 令和5年度 問63、令和6年度 問69 |
| ビットで表せる数・紙の大きさの比 | テクノロジ系 | 2 | 令和3年度 問66、令和4年度 問93 |
| 表のデータの集計 | テクノロジ系 | 1 | 令和3年度 問95 |
分野ごとでは、ストラテジ系11問、マネジメント系12問、テクノロジ系12問です。計算はテクノロジ系だけのものではありません。
分野は、IPAの問題冊子の区切りで分けました。たとえば令和8年度の冊子には「問1から問34までは,ストラテジ系の問題です。」とあります。
| 年度 | 計算問題の数(100問中) |
|---|---|
| 令和3年度 | 5 |
| 令和4年度 | 6 |
| 令和5年度 | 8 |
| 令和6年度 | 7 |
| 令和7年度 | 6 |
| 令和8年度 | 3 |
参考:IPA『ITパスポート試験 過去問題(問題冊子・解答例)』令和3〜8年度。IPAの過去問題のページ
損益分岐点と利益:ストラテジ系の計算は11問
ストラテジ系の計算は、損益と財務の8問が中心です。シラバス Ver.6.5 も、活用例に「損益分岐点や利益率などの簡単な計算」を挙げています(IPA)。
損益分岐点は、利益がちょうど0円になる売上のことです。シーソーが水平になる点のようなもので、そこより多く売れれば黒字、少なければ赤字です。
- 損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)
- 変動費率=変動費÷売上高
- 損益分岐点の販売数量=固定費÷(販売単価-1個あたりの変動費)
例として、販売単価5,000円、1個あたりの変動費3,000円、固定費100万円とします。損益分岐点の販売数量は、100万円÷2,000円=500個です。
検算は2通りです。1つ目は売上高の式で、変動費率は0.6なので100万円÷0.4=250万円です。250万円÷5,000円=500個で一致します。2つ目は、500個のときの利益が、売上250万円-変動費150万円-固定費100万円=0円になることです。
令和5年度 問13は、販売単価を1,000円から800円に下げたとき、赤字にならない販売個数を問う問題です。1個あたりの変動費は700円なので、1個で残るのは100円です。固定費60万円÷100円=6,000個で、正解はエです。
令和7年度 問34は、まず販売単価を逆算します。売上げ6,000万円÷5,000個=1個12,000円です。変動費7,000円を引くと1個5,000円が残ります。利益を400万円から1,000万円にするには、600万円÷5,000円=1,200個で、正解はイです。
売掛金と与信の余力は、表の取引のうち「まだ回収していない額」を足す問題です。令和4年度 問11は、受注分も与信に含め、満期日前の手形は回収と見なさない、という条件を読み落とさないことが鍵です。
投資の問題は、1年あたりの効果で割ります。令和6年度 問20は、運用費が年1百万円減り、利益が年2百万円増えるので、効果は年3百万円です。1千万円÷3百万円=3.33…で、正解はイ(3.3年)です。
利益の段階(営業利益・経常利益)と流動比率・自己資本比率は、貸借対照表と損益計算書の違いで公開問題といっしょに整理しています。投資の比較は令和5年度 問4、発注の時期は令和5年度 問33です。
- 損益分岐点の販売個数(令和5年度 問13)
- 目標の利益に必要な販売個数(令和7年度 問34)
- 損益計算の資料から経常利益を求める(令和3年度 問28)
- 当期純利益から販売費及び一般管理費を求める(令和6年度 問8)
- 流動比率を求める(令和4年度 問28)
- 自己資本比率を求める(令和8年度 問26)
- 5月31日時点の売掛金(令和7年度 問26)
- 投資の回収期間(令和6年度 問20)
参考:IPA『ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5』シラバス(PDF)
日程と工数:マネジメント系の計算は12問
マネジメント系の計算は、日程の5問と、工数・進み具合の4問が中心です。どちらも、表や図の数字を足し引きするだけで解けます。
アローダイアグラムでは、いちばん時間のかかる経路(クリティカルパス)が全体の日数を決めます。遠足で、いちばん遅い人がそろうまで出発できないのと同じです。
例として、作業A(3日)→作業B(4日)の経路と、作業C(5日)→作業D(1日)の経路が、最後に合流するとします。全体は長いほうの7日です。作業Cが2日遅れると、Cの経路は8日になり、全体は1日遅れます。
検算として、Cの経路の余裕を見ます。7日-6日=1日の余裕があるので、2日の遅れのうち1日だけが全体に響きます。
工数は「人数×日数」で数えます。令和5年度 問55は、10名×15日=150人日の仕事です。最初の5日は8名なので40人日が終わり、残り110人日を10日で終えるには11名が要ります。正解はイです。
令和7年度 問45は、20日たった時点で50本の見込みに対し40本なので、スケジュールは80%です。完成した40本の予定のコストは800万円で、実際は1,000万円なので、コストは125%です。正解はアです。
業務時間の削減率は、全体を100%として計算します。令和7年度 問54は、全体の60%の時間が半分になるので、30%の短縮で、正解はアです(令和7年度 問54)。止めてよい時間の問題(令和6年度 問38)は、稼働率の計算の記事で解いています。
確率と統計:テクノロジ系の計算は12問
テクノロジ系の計算で多いのは、割合・確率・統計の5問です。稼働率と記憶容量は2問ずつで、それぞれ別の記事でくわしく解いています。
令和6年度 問83は、サイコロを3回投げて1回も1の目が出ない確率です。1回で1以外が出る確率は5/6なので、(5/6)×(5/6)×(5/6)=125/216で、正解はエです。
検算は逆から数えます。1の目が少なくとも1回出る確率は91/216です(216通りのうち、1が出ない125通りを引いた残り)。1から引くと、125/216で一致します。
令和4年度 問59は、平均値と中央値の違いの問題です。9個の合計2,700÷9=300が平均値、小さい順の5番目の40が中央値で、正解はエです。
令和5年度 問77は、偏差値の比べ方です。偏差値=50+10×(得点-平均点)÷標準偏差なので、(得点-平均点)÷標準偏差がいちばん大きい教科を探します。数学は13÷6で約2.17となり、正解はウです。
令和7年度 問85は、誤り率が1回ごとに95%になる問題です。誤り率70%は、1回で66.5%、2回で63.175%になります。正解率は36.825%で35%を超えるので、正解はイ(2回)です。
稼働率は稼働率の計算の記事、RAIDの容量はRAIDの記事で、公開問題ごとに解いています。
- サイコロで1の目が出ない確率(令和6年度 問83)
- 平均値と中央値(令和4年度 問59)
- 偏差値が最も高い教科(令和5年度 問77)
- 機械学習モデルの再現率(令和5年度 問76)
- 正解率が35%を超える学習の回数(令和7年度 問85)
- RGBを3桁の2進数で表したときの色の数(令和3年度 問66)
- A3判とA4判の長辺の比(令和4年度 問93)
- 5月の合計額が20,000円以上の商品(令和3年度 問95)
電卓なしで解く:メモ用紙と後回し
ITパスポートのCBT試験では、電卓は使えません。IPAは「試験中のメモは会場で用意してあるメモ用紙とシャープペンシルを使用してください。」としています。
電卓を含む電子機器をカバンにしまっていない人は、不正行為として答案が採点されません(IPA「試験当日(CBT試験)」)。
手で計算するときは、次の3つで計算を短くします。
- 割り算は、先に約分してから計算する(600万円÷5,000円=6,000÷5)
- 単位をそろえてから計算する(万円と円、バイトとビット)
- 答えが出たら、選択肢の値を式に戻して検算する
時間がかかりそうな問題は、受験画面の「後で見直すためにチェックする」で印を付けて後回しにできます(IPA CBT操作説明)。試験全体の時間の使い方は、600点を超える3つの戦略で扱っています。
参考:IPA『試験当日(CBT試験)』試験当日のページ、IPA『CBT操作説明』CBT操作説明のページ
シラバスにあって公開問題に少ない計算:転送時間と2進数
令和3〜8年度の公開問題600問に、データの転送時間を計算する問題はありませんでした。それでもシラバス Ver.6.5 には、用語例に伝送速度(bps)が載っています。
転送時間は、データ量をビットにそろえてから、伝送速度で割ります。
- 転送時間(秒)=データ量(ビット)÷伝送速度(bps)
- 1バイト=8ビット
例として、100Mバイトを10Mbpsで送ると、800Mビット÷10Mbps=80秒です。検算は逆向きで、10Mbps×80秒=800Mビット=100Mバイトになります。
2進数の加算や減算も、シラバスの基礎理論に入っています。2進数の1101は、8+4+0+1=13です。検算として、13を2で割り続けると、余りを下から読んで1101に戻ります。
公開問題では、令和8年度 問74が、2進数の和を表計算の式で求める問題でした。ファンクションポイント法は、令和6年度 問49で見積手法の特徴として問われ、計算はありませんでした。
シラバスの版:ITパスポート試験のシラバスは Ver.6.5(2026年1月8日掲載)です。損益分岐点や利益率などの簡単な計算、2進数の加算や減算、確率と統計、稼働率、伝送速度(bps)が含まれます。最終確認日:2026-10-29。出典:IPA 試験要綱・シラバス。
計算問題は、型を見分けてから公開問題で解こう
ITパスポートの計算問題は、公開問題600問のうち35問で、損益・日程と工数・確率と統計の型がくり返し出ています。問題文を読んだら、まずどの型かを見分け、その型の式に数字を入れましょう。答えが出たら、選択肢の値を式に戻して検算すると、手計算のミスに気づけます。
よくある質問
Q擬似言語や流れ図で、変数の値をたどる問題は計算問題に入りますか?
この記事の35問には入れていません。値を順番にたどる問題は、式を立てて数を出す問題と解き方が違うためです。擬似言語の問題の数と型は、ITパスポートのプログラミング問題の記事で、令和3〜8年度の公開問題から数えて整理しています。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月29日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。


