稼働率は「利用できた時間の割合」です。MTBFとMTTRから求める式、直列は掛け算・並列は「1−全部が止まる確率」という公式、台数を求める問題と停止時間を求める問題の手順を、ITパスポート令和6・7年度の公表問題で確認します。
目次
結論:稼働率は「利用できるはずの時間のうち、実際に利用できた時間の割合」です。MTBFとMTTRが与えられたら MTBF÷(MTBF+MTTR)、装置を組み合わせたシステムでは、直列は稼働率の掛け算、並列は「1−(全部が止まる確率)」で求めます。ITパスポートの公表問題では、直列と並列の組合せ、並列の台数、SLAの停止時間の3つの形で出ています。
稼働率とは:利用できた時間の割合
稼働率は、システムや装置が必要なときに利用できる割合を表す数字です。0.9なら「利用できるはずの時間の90%は動いている」という意味で、99.9%のように百分率で書くこともあります。
試験でいう稼働率は、ITサービスの「利用できた時間の割合」です。ITパスポート令和7年度の問36は、次のように問われています。
合意したサービス提供時間帯のうち、実際に顧客がITサービスを利用できた時間の割合で表されるものはどれか(令和7年度 問36)
答えは「可用性」です。稼働率は可用性を数字にしたものと整理できます(当サイトの説明)。工場の設備が実際に動いた時間の割合(設備の稼働率)など、同じ言葉でも別の意味で使う場面がありますが、この記事で扱うのはシステムの稼働率です。
ITパスポートのシラバス版:IPAのシラバス Ver.6.5(令和8年1月掲載)の項番44「システムの評価指標」に、稼働率・故障率・MTBF・MTTR が用語例として載っています。最終確認日:2026-10-28。出典:IPA ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5。
MTBFとMTTRから稼働率を求める
MTBF(平均故障間動作時間)は、修理が終わってから次に壊れるまでの平均時間、MTTR(平均修復時間)は、壊れてから直るまでの平均時間です。1回の「動く→壊れる→直る」のサイクルは MTBF+MTTR の長さで、そのうち動いている部分が MTBF です。したがって次の式になります(当サイトの説明)。
| 用語 | 意味 | 稼働率の式での位置 |
|---|---|---|
| MTBF | 動いている時間の平均 | 分子と分母の両方 |
| MTTR | 止まっている時間の平均 | 分母だけ |
| 稼働率 | サイクルのうち動いている割合 | MTBF÷(MTBF+MTTR) |
作例(当サイトの計算):MTBFが540時間、MTTRが60時間の装置の稼働率は、540÷(540+60)=540÷600=0.9 です。
- 止まっている割合を先に求めると、60÷600=0.1、1−0.1=0.9 で、同じ結果になります。
- MTBFが長くなるか、MTTRが短くなると、稼働率は上がります。
MTBFとMTTRを改善する計算は、基本情報技術者試験の科目Aで出ています。ITパスポートの公表問題(令和3〜8年度の600問)には、この式を直接計算させる問題は収録していません。
MTBFとMTTRを改善した翌年度の稼働率(基本情報 令和6年度 科目A 問4)
直列と並列:公式と使い分け
装置の稼働率をAとBとして、2台をつなぐ場合の公式は次のとおりです。
| 構成 | システムが動く条件 | 稼働率 | 作例(A=0.98、B=0.9) |
|---|---|---|---|
| 直列 | 2台とも動いている | A×B | 0.98×0.9=0.882 |
| 並列 | 少なくとも1台が動いている | 1−(1−A)×(1−B) | 1−0.02×0.1=0.998 |
直列は「1台でも止まると全体が止まる」ので、掛け算の結果は最も低い装置(0.9)より小さくなります。並列は「全部が止まったときだけ全体が止まる」ので、全部が止まる確率(0.02×0.1=0.002)を1から引きます。結果は最も高い装置(0.98)より大きくなります。
並列の検算(当サイトの計算):「2台とも動く」0.98×0.9=0.882、「Aだけ動く」0.98×0.1=0.098、「Bだけ動く」0.02×0.9=0.018 を足すと 0.998 で、公式と一致します。
並列に何台必要か:令和7年度 問94
同じ稼働率の装置をn台並列にすると、全部が止まる確率は(1−稼働率)のn乗なので、システムの稼働率は 1−(1−稼働率)のn乗 です。
稼働率0.9の装置で並列システムを構成したい。このシステムの稼働率を0.999とするためには、最低何台の装置で並列システムを構成する必要があるか。ここで、並列システムを構成したときに、少なくとも1台の装置が稼働していればシステムは正常に稼働しているものとする。(ア 2 イ 3 ウ 4 エ 5)
出典:令和7年度 ITパスポート試験 公開問題 問94(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)
- 2台:1−0.1×0.1=1−0.01=0.99(0.999に届きません)
- 3台:1−0.1×0.1×0.1=1−0.001=0.999(届きます)
- 最低3台で、答えはイです。
稼働率0.9の装置を並列にして0.999にするのに必要な台数(令和7年度 問94)
作例(当サイトの計算):稼働率0.7の装置を並列にして0.99以上にするには、1−0.3のn乗が0.99以上になる最小のnを探します。n=3で 1−0.027=0.973、n=4で 1−0.0081=0.9919 なので、4台です。「全部が止まる確率を0.01以下にする」と言い換えると、0.3を何回掛ければ0.01以下になるかを数える問題になります。
直列と並列の組合せ:令和6年度 問67
実際の問題は、並列の部分と直列の部分が混ざった形で出ます。手順は「並列の部分を1つの装置と見なして稼働率を出し、残りと直列で掛ける」です。
図に示す2台のWebサーバと1台のデータベースサーバから成るWebシステムがある。Webサーバの稼働率はともに0.8とし、データベースサーバの稼働率は0.9とすると、このシステムの小数第3位を四捨五入した稼働率は幾らか。ここで、2台のWebサーバのうち少なくとも1台が稼働していて、かつ、データベースサーバが稼働していれば、システムとしては稼働しているとみなす。また、それぞれのサーバはランダムに故障が起こるものとする。(ア 0.04 イ 0.58 ウ 0.86 エ 0.96)
出典:令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問67(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)
問題の図は、Webサーバ2台が並列に並び、その後ろにデータベースサーバが直列につながる構成です。
- ① Webサーバ2台(並列):1−(1−0.8)×(1−0.8)=1−0.04=0.96
- ② データベースサーバと直列:0.96×0.9=0.864 → 小数第3位を四捨五入して 0.86
- 答えはウです。
選択肢のアの0.04は、①で出てくる「Webサーバが2台とも止まる確率」と同じ値です。エの0.96は、①の並列部分だけの稼働率と同じ値です(当サイトの計算)。途中の値で止めずに、最後に直列を掛けるところまで進めます。
Webサーバ2台の並列とデータベースサーバの直列(令和6年度 問67)
作例(当サイトの計算):稼働率0.7の装置2台の並列に、稼働率0.95の装置を直列につなぐと、並列部分は 1−0.3×0.3=0.91、全体は 0.91×0.95=0.8645 です。
停止してよい時間を求める:令和6年度 問38
SLA(サービスレベルアグリーメント)で稼働率が決まっている場合は、「利用時間×(1−稼働率)」が停止を許容できる時間の上限です。
あるシステムの運用において、利用者との間でSLAを交わし、利用可能日を月曜日から金曜日、1日の利用可能時間を7時から22時まで、稼働率を98%以上で合意した。1週間の運用において、障害などでシステムの停止を許容できる時間は最大何時間か。(ア 0.3 イ 1.5 ウ 1.8 エ 2.1)
出典:令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問38(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)
- 1日の利用可能時間:7時から22時までの15時間
- 1週間の利用可能時間:15時間×5日=75時間
- 停止してよい時間:75×(1−0.98)=75×0.02=1.5時間 → イ
SLAの稼働率98%から停止を許容できる時間を求める(令和6年度 問38)
作例(当サイトの計算):月曜日から金曜日の9時から18時(1日9時間)で稼働率99%なら、1週間の利用時間は9×5=45時間、停止してよい上限は 45×0.01=0.45時間(27分)です。
間違えやすい点
- 直列と並列を逆にしない:「全部動く」条件なら掛け算、「1台でも動けばよい」条件なら「1−全部が止まる確率」です。問題文の「少なくとも1台が稼働していれば」は並列のサインです。
- 並列は「1−」を忘れない:0.8の2台並列を 0.8×0.8=0.64 と計算すると、直列の答えになります。
- 途中で止めない:組合せの問題では、並列部分の答えを出したあとに残りの装置と掛け算します。
- 丸めの指定を最後に守る:「小数第3位を四捨五入」なら、計算の途中ではなく、最後に丸めます。
- 範囲で検算する:直列の答えは最も低い装置より小さく、並列の答えは最も高い装置より大きくなります。
- 停止時間は「利用時間」に掛ける:24時間365日でない運用なら、1日の利用可能時間と曜日の数を先に掛けます。
計算問題をまとめて確認したいときは、ITパスポートの計算問題の解き方も参考にしてください。用語の意味は、用語集の可用性(稼働率)とMTBFで確かめられます。
まとめ
- 稼働率は、利用できるはずの時間のうち実際に利用できた時間の割合です。
- MTBFとMTTRが与えられたら、MTBF÷(MTBF+MTTR)で求めます。
- 直列は掛け算、並列は「1−(1−各稼働率)の掛け算」です。
- 台数を求める問題は、「全部が止まる確率」が目標以下になる最小のnを数えます。
- 停止時間の問題は、利用時間×(1−稼働率)で求めます。
- 当サイトに収録しているITパスポートの公表問題(令和3〜8年度)で稼働率を計算させる問題は、令和6年度の問38・問67と令和7年度の問94の3問です(2026-10-21 時点)。
よくある質問
Q稼働率の計算式は何ですか?
故障と修理の平均から求めるときは「稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)」です。MTBFは平均故障間動作時間、MTTRは平均修復時間で、どちらもIPAのシラバスに用語例として載っています。装置を組み合わせたシステムでは、直列は各装置の稼働率の掛け算、並列は「1−(1−各稼働率)の掛け算」で求めます。
Q直列と並列は、何が違うのですか?
直列は全部の装置が動いているときだけシステムが動く構成、並列は1台でも動いていればシステムが動く構成です。直列にすると全体の稼働率は最も低い装置より下がり、並列にすると最も高い装置より上がります。答えがこの範囲から外れたら、式を取り違えています。
Q稼働率の問題は、ITパスポートで何問くらい出ていますか?
当サイトに収録しているITパスポートの公表問題600問(令和3〜8年度・各100問)のうち、稼働率を計算させる問題は3問です(令和6年度の問38と問67、令和7年度の問94。2026-10-21 時点)。MTBFとMTTRの式そのものを計算させる問題は、当サイト収録の令和3〜8年度にはありません。基本情報技術者試験の科目Aでは、MTBFとMTTRを使う問題も出ています。
Q稼働率99%だと、どれくらい止まってよいことになりますか?
利用時間に(1−稼働率)を掛けます。たとえば利用時間が週に45時間なら、45×(1−0.99)=0.45時間(27分)が停止してよい上限です。ITパスポート令和6年度の問38は、この形の問題です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月28日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

