読み方: かようせい
1行定義
システムが必要なときに正常に利用できる能力。稼働率(MTBF÷(MTBF+MTTR))で定量的に表す
詳細解説
可用性(Availability)は、システムやサービスが要求された時点で正常に利用できる能力を表す非機能要件のひとつです。定量的には稼働率(アベイラビリティ)として「MTBF ÷ (MTBF + MTTR)」で算出され、「99.9%(スリーナイン)」「99.99%(フォーナイン)」のように表現されます。99.9% は、1年(365日×24時間=8,760時間)のうち約8.76時間の停止に相当します。情報セキュリティの観点では CIA(機密性・完全性・可用性)の "A" に該当し、DoS攻撃や自然災害への耐性もここに含まれます。ITパスポートでは稼働率計算・SLA との関係・システムの冗長化(RAID・クラスタリング)との関連で出題されます。高可用性を実現する手段としてはフェイルオーバー、ロードバランシング、データバックアップ、BCP 整備などが挙げられます。
稼働率の計算手順(MTBF・MTTR)
結論:稼働率は「動いていた時間 ÷ 全体の時間」です。故障の記録から求めるときは「MTBF ÷(MTBF+MTTR)」、装置を組み合わせたシステムでは、直列は稼働率の掛け算、並列は「1 −(全部が止まる確率)」で計算します。
合格ナビに収録しているITパスポートの公開問題600問(令和3〜8年度・各100問)のうち、稼働率を計算させる問題は3問、基本情報技術者試験の収録問題520問では6問です(2026-10-02 集計)。
| 用語 | 意味 | 式での使い方 |
|---|---|---|
| MTBF(平均故障間隔) | 修理が終わってから次に故障するまでの平均時間(動いている時間) | 分子と分母の両方に入る |
| MTTR(平均修復時間) | 故障してから修理が終わるまでの平均時間(止まっている時間) | 分母だけに入る |
| 稼働率 | 全体の時間のうち動いていた割合 | MTBF ÷(MTBF+MTTR) |
手順(自作の例:MTBF 450時間・MTTR 50時間)
- ① 動いている時間と止まっている時間を足して、1回の「故障→修理」の周期を出します:450+50=500時間
- ② 動いている時間を周期で割ります:450 ÷ 500 = 0.9(90%)
- 検算(逆算):稼働率0.9とMTBF 450時間からMTTRを求めると、450 ×(1 − 0.9)÷ 0.9 = 50時間となり、最初の値に戻ります。
稼働率を1年の停止時間に直す(99.9%は何時間?)
1年=365日×24時間=8,760時間として、停止時間=8,760時間 ×(1 − 稼働率)で求めます。
| 稼働率 | 1年の停止時間 |
|---|---|
| 99% | 87.6時間 |
| 99.9%(スリーナイン) | 8.76時間 |
| 99.99%(フォーナイン) | 0.876時間(約52.6分) |
検算:9が1つ増えるごとに、止まっている割合(1 − 稼働率)は10分の1になるので、停止時間も87.6 → 8.76 → 0.876時間と10分の1ずつ減ります。
例題:MTBFとMTTRを改善したときの稼働率
あるシステムの今年度のMTBF は3,000 時間,MTTR は1,000 時間である。翌年度はMTBF について今年度の20%分の改善,MTTR について今年度の10%分の改善を図ると,翌年度の稼働率は何%になるか。
ア 69 イ 73 ウ 77 エ 80
出典:令和6年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問4(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)
- 「改善」は、MTBFなら長くなる方向、MTTRなら短くなる方向です。MTBF=3,000 × 1.2 = 3,600時間、MTTR=1,000 × 0.9 = 900時間
- 稼働率=3,600 ÷(3,600+900)= 3,600 ÷ 4,500 = 0.8 → 80%(エ)
- 検算:止まっている割合は 900 ÷ 4,500 = 0.2 で、1 − 0.2 = 0.8 と一致します。
この論点の過去問を解く(MTBF・MTTR・停止時間):
直列・並列システムの稼働率
装置を「直列」につなぐと全部が動いているときだけシステムが動き、「並列」につなぐと1台でも動いていればシステムが動きます。装置の稼働率をA・Bとすると、次のとおりです。
| 構成 | システムが動く条件 | 公式 | 自作例(A=0.95、B=0.9) |
|---|---|---|---|
| 直列 | AとBの両方が動いている | A × B | 0.95 × 0.9 = 0.855 |
| 並列 | AとBの少なくとも一方が動いている | 1 −(1 − A)×(1 − B) | 1 − 0.05 × 0.1 = 0.995 |
- 直列にすると全体はいちばん低い装置より下がり、並列にするといちばん高い装置より上がります(0.855 < 0.9、0.995 > 0.95)。答えがこの範囲から外れたら、式を取り違えています。
- 並列の検算:「両方動く 0.95 × 0.9 = 0.855」「Aだけ動く 0.95 × 0.1 = 0.095」「Bだけ動く 0.05 × 0.9 = 0.045」を足すと 0.995 で、公式の値と一致します。
- 同じ稼働率Aの装置をn台並列にした場合は「1 −(1 − A)のn乗」です。
例題:並列に何台必要か
稼働率0.9の装置で並列システムを構成したい。このシステムの稼働率を0.999とするためには,最低何台の装置で並列システムを構成する必要があるか。ここで,並列システムを構成したときに,少なくとも1台の装置が稼働していればシステムは正常に稼働しているものとする。
ア 2 イ 3 ウ 4 エ 5
出典:令和7年度 ITパスポート試験 公開問題 問94(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)
- n台がすべて止まる確率は 0.1 のn乗なので、稼働率=1 − 0.1のn乗
- 2台:1 − 0.01 = 0.99(0.999に届かない)、3台:1 − 0.001 = 0.999(届く)→ 3台(イ)
- 検算:稼働率0.999にするには「全部が止まる確率」を0.001以下にすればよく、0.1を何回掛けると0.001になるかを数えると3回です。
この論点の過去問を解く(直列・並列):
例題:直列と並列の組合せ(IPA 過去問)
図に示す2台の Web サーバと1台のデータベースサーバから成る Web システムがある。Web サーバの稼働率はともに0.8とし,データベースサーバの稼働率は0.9とすると,このシステムの小数第3位を四捨五入した稼働率は幾らか。ここで,2台の Web サーバのうち少なくとも1台が稼働していて,かつ,データベースサーバが稼働していれば,システムとしては稼働しているとみなす。また,それぞれのサーバはランダムに故障が起こるものとする。
ア 0.04 イ 0.58 ウ 0.86 エ 0.96
出典:令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問67(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)
問題の図は、2台のWebサーバを並列につなぎ、その後ろにデータベースサーバを直列につないだ構成です(図は問題ページで確認できます)。
- ① 並列部分(Webサーバ2台):1 −(1 − 0.8)×(1 − 0.8)= 1 − 0.04 = 0.96
- ② 直列部分(データベースサーバ):0.96 × 0.9 = 0.864 → 小数第3位を四捨五入して 0.86(ウ)
- 検算:3台それぞれの「動く/止まる」の8通りのうち、「Webサーバが1台以上動き、かつデータベースサーバが動く」組合せの確率を足しても 0.864 になります。
- 選択肢アの0.04は「Webサーバが2台とも止まる確率」、エの0.96は「並列部分だけの稼働率」と同じ値です。途中の値で止めずに、最後の直列まで計算します。
この論点の過去問を解く(組合せ):
計算問題をまとめて確認したいときは、ITパスポートの計算問題の解き方も参考にしてください。
ITパスポートでの出題ポイント
- CIA の "A"(機密性・完全性・可用性)
- 稼働率計算(99.9% = 年間8.76時間停止)
- フォーナイン(99.99%)等の表現
- 冗長化・フェイルオーバーとの関係
関連用語
- MTBF(平均故障間隔) サービスマネジメント
- MTTR(平均修復時間) サービスマネジメント
- SLA サービスマネジメント
- SPOF(単一障害点) サービスマネジメント
- SLO(サービスレベル目標) サービスマネジメント
- SLI(サービスレベル指標) サービスマネジメント
- キャパシティ管理 サービスマネジメント
- ファシリティマネジメント システム監査
「可用性」の過去問を解いて理解を定着
合格ナビでは IPA 公式 600問 + 3段階の解説(初級・標準・上級) で「○○とは?」をその場で深掘りできます。
シラバス 6.5 準拠 / 最終更新: 2026-10-02
