ITパスポートの3分野の違いを、IPA試験要綱の問題数(評価対象92問のうち32・18・42問)と出題範囲の大分類で整理します。令和5〜8年度の公開問題400問を大分類ごとに数え、どの分野で何が多く出たかを、代表の公開問題へのリンクつきで示します。
目次
結論:ITパスポートの評価対象92問は、ストラテジ系32問・マネジメント系18問・テクノロジ系42問に分かれます。合格には総合評価点600点以上と、3分野それぞれ300点以上が要ります。
ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の違い:問題数と出る範囲
3分野の違いは、問題数と、出題範囲の大分類です。ストラテジ系は会社と法律、マネジメント系はシステムづくりと運用の管理、テクノロジ系はITの技術を問います。
| 分野 | 評価対象の問題数 | 出題範囲の大分類 |
|---|---|---|
| ストラテジ系 | 32問 | 企業と法務、経営戦略、システム戦略 |
| マネジメント系 | 18問 | 開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント |
| テクノロジ系 | 42問 | 基礎理論、コンピュータシステム、技術要素 |
問題数と合格基準:出題数は100問で、総合評価は92問で行い、残りの8問は今後出題する問題を評価するために使われます。分野別評価の問題数は、ストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問です。合格基準は、総合評価点600点以上かつ各分野別評価点300点以上(いずれも1,000点満点)です。最終確認日:2026-10-29。出典:IPA 試験要綱 Ver.5.6。
3分野は、3教科それぞれに赤点がある試験のようなものです。どれか1つでも300点に届かないと、総合点が高くても合格になりません。
開発技術は、システム開発の話なのにマネジメント系です。試験要綱は、ITパスポート試験では「ソフトウェア開発プロセスのマネジメント面を中心に出題する」ため、と説明しています(IPA)。
問題冊子では、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の順に並んでいます。年度ごとの区切りはITパスポートはどんな問題が出るかで確かめられます。
参考:IPA『試験要綱 Ver.5.6』3. 試験時間・出題形式・出題数・解答数、7. 出題範囲。IPA 試験要綱・シラバス
ストラテジ系で多く出る中身:システム戦略が58問
ストラテジ系では、システム戦略が最も多く出ています。令和5〜8年度の公開問題のストラテジ系139問のうち、58問がシステム戦略でした。
集計:合格ナビの問題データ(IPAの公開問題 令和5〜8年度の400問、集計日 2026-10-29)。大分類は、合格ナビが問題ごとに付けた分類で数えました。
シラバス Ver.6.5 では、ERP・SCM は経営戦略(経営管理システム)、DX は企業と法務に載っていますが、合格ナビの分類ではシステム戦略に数えています。表の数は、シラバスの大分類ごとの数とは一致しません。
| 大分類 | 問題数(139問中) | 公開問題に出た話題の例 |
|---|---|---|
| システム戦略 | 58 | 生成AI・AIの利活用、RPA、DX、ERP、SCM、RFP |
| 経営戦略 | 41 | マーケティング、ニッチ戦略、事業部制、イノベーター理論 |
| 企業と法務 | 40 | 著作権・商標、個人情報保護法、労働者派遣、損益・財務の計算 |
システム戦略は、AIやデジタル技術を仕事にどう使うかを問います。試験要綱も、システム戦略で「AI,ビッグデータ,IoT などの活用方法や考え方を問う。」としています。
企業と法務の法律は知的財産権の記事と個人情報保護法の記事、計算は計算問題の記事で整理しています。経営戦略の分析手法は経営・マーケティング戦略の記事です。
- 生成AIのもっともらしい誤りを表す用語(令和7年度 問10)
- RPAに関する記述(令和7年度 問24)
- ニッチ戦略の事例(令和8年度 問32)
- 自社製品の差別化ポイントを明確にするプロセス(令和7年度 問35)
- 本人の同意なしで個人データを提供できる場合(令和6年度 問27)
- 商標法のサービスマーク(令和7年度 問12)
マネジメント系で多く出る中身:サービスマネジメントが43問
マネジメント系では、サービスマネジメントの大分類が最も多く出ています。マネジメント系80問のうち43問で、その中はサービスマネジメント24問とシステム監査19問です。
| 大分類 | 問題数(80問中) | 公開問題に出た話題の例 |
|---|---|---|
| サービスマネジメント | 43 | サービスデスク、SLA、問題管理、システム監査、内部統制、ITガバナンス |
| プロジェクトマネジメント | 23 | WBS、アローダイアグラム、変更管理、プロジェクト憲章 |
| 開発技術 | 14 | アジャイル、プロトタイピング、要件定義、ソフトウェアの導入 |
マネジメント系は評価対象が18問と最も少ない分野です。それでも、ほかの2分野と同じく300点以上が要ります。
日程と工数の計算は、計算問題の記事で公開問題ごとに解いています。
テクノロジ系で多く出る中身:セキュリティだけで72問
テクノロジ系では、セキュリティが特に多く出ています。テクノロジ系181問のうち72問で、約4割です。
| 大分類 | 問題数(181問中) | 内訳 |
|---|---|---|
| 技術要素 | 121 | セキュリティ72、ネットワーク24、データベース17、情報デザインなど8 |
| コンピュータシステム | 33 | 装置・記憶媒体・稼働率など19、ソフトウェア・OSS14 |
| 基礎理論 | 27 | AI(機械学習など)12、アルゴリズムとプログラミング12、確率・統計3 |
セキュリティの72問は、400問全体で見ても18%にあたります。用語と攻撃の手口はセキュリティ分野の記事で整理しています。
アルゴリズムとプログラミングは、プログラミング問題の記事で問題の型を数えています。稼働率は稼働率の計算の記事です。
- ランサムウェアの被害を減らす対策(令和8年度 問63)
- ゼロトラストの考え方に基づく対策(令和8年度 問92)
- DNSサーバの役割(令和8年度 問65)
- 関係データベースの正規化(令和8年度 問69)
- 稼働率0.9の装置で組む並列システム(令和7年度 問94)
- サイコロで1の目が出ない確率(令和6年度 問83)
学習の順番:大きい3つの大分類から始める
迷ったら、公開問題で問題数の多い3つから始めます。セキュリティ72問、システム戦略58問、サービスマネジメント43問で、合わせて400問のうち173問です。
3つは、それぞれ別の分野にあります。3つを先に固めると、3分野すべてで300点に近づく土台ができます。分野別評価点のしくみは、600点以上でも不合格になる理由でくわしく説明しています。
そのあとは、背景に合わせて残りを埋めます。次の表は進め方の例です。
| 背景 | 先に固めたい所 | 理由 |
|---|---|---|
| ITの仕事をしている | ストラテジ系の企業と法務・経営戦略 | 2つで81問あり、技術の知識だけでは解けないため |
| 事務・営業などの仕事をしている | テクノロジ系の技術要素 | セキュリティ・ネットワーク・データベースなどで121問あるため |
| 学生・初めて学ぶ | マネジメント系 | 評価対象が18問と3分野で最も少ないため |
文系の人の進め方は、文系・非IT職の合格戦略にまとめています。
分野の境目で迷う話題:AI・セキュリティ・開発
同じ話題でも、問われ方で分野が変わります。AIとセキュリティは、3分野のうち2つ以上にまたがって出ています。
| 話題 | ストラテジ系 | マネジメント系 | テクノロジ系 |
|---|---|---|---|
| AI | 活用の目的・留意事項(ビジネスインダストリ、システム戦略) | — | 機械学習・ディープラーニングのしくみ(基礎理論) |
| セキュリティ | サイバーセキュリティ基本法・不正アクセス禁止法(法務) | 情報セキュリティ監査(システム監査) | 攻撃の手口と対策・暗号・認証(セキュリティ) |
| 開発 | システム化計画・RFP(システム企画) | 開発モデル・テスト(開発技術) | アルゴリズムとプログラミング(基礎理論) |
試験要綱は、AIについて、経営戦略の大分類で「AI の活用領域及び活用目的,AI を利活用する上での留意事項を問う。」としています。一方、基礎理論では「AI の技術(機械学習,ディープラーニングなど)について基本的な考え方を問う。」としています。
「何に使うか」はストラテジ系、「どう動くか」はテクノロジ系、と覚えると迷いにくくなります。マネジメント系の欄の「—」は、試験要綱のマネジメント系の出題範囲の説明に「AI」の語が無いことを示します。
- AIを利活用する上で留意すべき事項(令和8年度 問17)
- バックプロパゲーションで行われていること(令和8年度 問82)
- サイバーセキュリティ基本法の立法趣旨(令和8年度 問21)
- 監査の種類とシステム監査の範囲(令和8年度 問47)
参考:IPA『試験要綱 Ver.5.6』7. 出題範囲(1)ITパスポート試験。試験要綱(PDF)
分野別に問題を解いて、300点に届かない分野を見つけよう
ITパスポートは、ストラテジ系32問・マネジメント系18問・テクノロジ系42問のどれも、300点以上が要る試験です。公開問題では、セキュリティ・システム戦略・サービスマネジメントが特に多く出ています。分野別に問題を解いて、正解の少ない分野から手を入れましょう。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月29日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。


