RAIDは複数のディスクを組み合わせて、速度や耐障害性を高める技術です。RAID0・1・5・6・10の仕組み、使える容量の計算、耐えられる故障の数を表で整理し、ITパスポート令和5年度 問63・令和6年度 問69の容量計算を確認します。
目次
結論:RAIDは、複数のディスクを組み合わせて速度や耐障害性を高める技術です。データを分けて書く「ストライピング」(RAID0)、同じデータを重ねて書く「ミラーリング」(RAID1)、誤りを復元するための「パリティ」を使う方式(RAID5・RAID6)、ミラーとストライピングの組合せ(RAID10)が代表的で、使える容量は、1台の容量をC、台数をnとして RAID0=n×C、RAID1=C、RAID5=(n−1)×C、RAID6=(n−2)×C、RAID10(2台ずつのミラー)=n÷2×C です。ITパスポートでは、RAID0・RAID1・RAID5の容量を求める問題が公表されています。
RAIDとは:複数のディスクを1台のように使う技術
IPAの基本情報技術者試験のシラバスは、RAIDを「複数の記憶装置をまとめて一つの装置として扱い、信頼性や速度を向上させる技術である」と説明しています。
シラバスの記載:ITパスポートのシラバス Ver.6.5(令和8年1月掲載)は、項番43「システムの構成」の(2)システム構成の用語例にRAIDを挙げています。基本情報技術者試験のシラバス Ver.9.2(令和8年1月掲載)は、大分類2「コンピュータシステム」の「システムの構成」にストレージの項目を置き、用語例にRAID0・RAID1・RAID10・RAID2〜RAID6・ストライピング・ミラーリング・パリティを挙げています。最終確認日:2026-10-28。出典:IPA ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5、IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2。
当サイト収録の令和3〜8年度(600問)で、容量の計算が問われているのは、RAID0・RAID1・RAID5です。RAID6やRAID10を計算させる問題は、この600問にはありません(2026-10-21 時点)。ただし用語としては基本情報技術者試験のシラバスが挙げているので、先に進む人は押さえておくと安心です。
ストライピング・ミラーリング・パリティ
RAIDの方式は、次の3つの考え方の組合せで説明できます(当サイトの説明)。
| 考え方 | やること | 得られるもの |
|---|---|---|
| ストライピング | データを細かく分けて、複数のディスクに順番に書く | 速度(複数のディスクで同時に読み書きできる) |
| ミラーリング | 同じデータを別のディスクにも書く | 耐障害性(1台が壊れても残りで読める) |
| パリティ | データから計算した誤り訂正用の情報を書く | 耐障害性(壊れたディスクの内容を残りから復元できる) |
Linuxのソフトウェア RAID を管理する mdadm のマニュアルは、RAID0を「striping」、RAID1を「mirroring」と呼んでおり、RAID4・RAID5・RAID6・RAID10もサポートしていると書いています。RAID4とRAID5では欠けてよいディスクは最大1台、RAID6では最大2台とされています。
出典:mdadm(8) — Linux manual page(2026-10-28 に確認)。
RAID0・1・5・6・10の比較表
台数をn、1台の容量をCとします。表の値は、同じ容量のディスクを使う場合の当サイトの整理です。製品によって台数の条件や呼び方が異なることがあります。
| レベル | 仕組み | 使える容量 | 耐えられる故障 | 最低台数の目安 |
|---|---|---|---|---|
| RAID0 | ストライピング | n×C | なし(1台壊れると全体が使えない) | 2台 |
| RAID1 | ミラーリング | C(2台でミラーする場合) | 2台構成で1台 | 2台 |
| RAID5 | ストライピング+パリティ(全台に分散) | (n−1)×C | 1台 | 3台 |
| RAID6 | パリティを2種類にしたRAID5の発展形 | (n−2)×C | 2台 | 4台 |
| RAID10 | ミラーした組をストライピング | n÷2×C(2台ずつのミラー) | 同じ組の両方が壊れなければ複数台 | 4台 |
作例(当サイトの計算):2TバイトのHDDを4台使うと、使える容量は RAID0 が 4×2=8T、RAID5 が(4−1)×2=6T、RAID6 が(4−2)×2=4T、RAID10 が 4÷2×2=4T です。2台でRAID1を組むと2Tです。
冗長性(壊れても使える余裕)に使う分だけ、使える容量が減ります。速度だけを求めるならRAID0、耐障害性を重く見るならRAID1、容量と耐障害性のバランスを取るならRAID5、というのが基本の整理です(当サイトの整理)。
令和5年度 問63:RAID0とRAID1の容量
容量が500GバイトのHDDを2台使用して、RAID0、RAID1を構成したとき、実際に利用可能な記憶容量の組合せとして、適切なものはどれか。(RAID0/RAID1の組合せ:ア 1Tバイト/1Tバイト イ 1Tバイト/500Gバイト ウ 500Gバイト/1Tバイト エ 500Gバイト/500Gバイト)
出典:令和5年度 ITパスポート試験 公開問題 問63(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)
- RAID0(ストライピング):2台の容量がそのまま使えるので 500G×2=1Tバイト
- RAID1(ミラーリング):同じ内容を2台に書くので、使える容量は1台分の500Gバイト
- RAID0が1Tバイト、RAID1が500Gバイトの組合せで、答えはイです。
令和6年度 問69:RAID5の実効容量
障害に備えるために、4台のHDDを使い、1台分の容量をパリティ情報の記録に使用するRAID5を構成する。1台のHDDの容量が1Tバイトのとき、実効データ容量はおよそ何バイトか。(ア 2T イ 3T ウ 4T エ 5T)
出典:令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問69(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)
- 4台の合計は 1T×4=4Tバイトです。
- 1台分の1Tバイトをパリティの記録に使うので、データに使えるのは 4−1=3Tバイトです。
- 答えはイです。
4台のHDDでRAID5を構成したときの実効容量(令和6年度 問69)
問題文が「1台分の容量をパリティ情報の記録に使用する」と書いているので、計算式を覚えていなくても、合計から1台分を引けば解けます。
RAIDと稼働率の関係
ディスクを冗長にすることは、稼働率の考え方で説明できます(当サイトの計算。ディスクが故障してから復旧するまでの時間などを無視した単純なモデルです)。ディスク1台の稼働率を0.95とします。
- RAID0(2台):2台とも動いていないと使えないので、直列と同じで 0.95×0.95=0.9025
- RAID1(2台):1台でも動いていれば使えるので、並列と同じで 1−0.05×0.05=0.9975
直列と並列の計算は、稼働率の計算方法で詳しく扱っています。
似た用語との区別
ITパスポートの公表問題では、RAIDに関する用語が選択肢に並ぶことがあります。次の2問は、答えがRAIDの用語ではない問題で、用語の意味を区別するのに役立ちます。
令和5年度の問70は、複数のコンピュータを連携させて全体として一つのコンピュータであるかのように動作させる技法を問い、正解は「クラスタリング」です。ミラーリングは、同じデータを別のディスクに書く方式で、コンピュータを連携させる技法とは別のものです。
複数のコンピュータを連携させる技法はどれか(令和5年度 問70)
令和3年度の問83は、複数のファイルを一つにまとめることを問い、正解は「アーカイブ」です。ストライピングはディスクにデータを分けて書く方式で、ファイルをまとめる操作とは別のものです。
複数のファイルを一つにまとめることを何と呼ぶか(令和3年度 問83)
間違えやすい点
- RAID0は「RAID」と付いても冗長性がありません。1台でも壊れると全体が使えなくなります。
- RAID1の容量は台数を増やしても増えません。ミラーを増やすほど、同じデータを持つディスクが増えるだけです。
- RAID5は(n−1)×Cです。n×Cとしないでください。
- 単位をそろえます。問63は500Gバイトの2台で、合計の1000Gバイトを選択肢の表記に合わせて1Tバイトと読み替えます。
- RAIDはディスクの故障への備えです。誤って消したファイルや、全ディスクに書き込まれた内容の誤りは戻せないため、バックアップの代わりにはなりません(当サイトの説明)。
用語の意味は、用語集のRAIDでも確かめられます。
まとめ
- RAIDは、複数の記憶装置をまとめて一つの装置として扱い、信頼性や速度を高める技術です。
- RAID0はストライピング(容量は合計・冗長性なし)、RAID1はミラーリング(容量は1台分)、RAID5はパリティを使う方式(容量は(n−1)×C)です。
- RAID6はパリティを2種類にして2台までの故障に耐える方式、RAID10はミラーとストライピングの組合せです。
- 当サイトに収録しているITパスポートの公表問題(令和3〜8年度)で、RAIDの容量を計算させる問題は、令和5年度の問63と令和6年度の問69の2問です(2026-10-21 時点)。
- 台数と1台の容量だけで計算できるので、問題文の条件(何台か、パリティに何台分使うか)を読み落とさないようにします。
よくある質問
QRAIDとは何ですか?
RAIDは、複数の記憶装置をまとめて一つの装置として扱い、信頼性や速度を高める技術です。IPAの基本情報技術者試験のシラバス Ver.9.2は、これを「複数の記憶装置をまとめて一つの装置として扱い,信頼性や速度を向上させる技術」と説明し、RAIDの種類と代表的な特徴を理解することを求めています。ITパスポートのシラバス Ver.6.5には、システム構成の用語例としてRAIDが載っています。
QRAID0とRAID1は、何が違いますか?
RAID0はストライピングで、データを複数のディスクに分けて書きます。使える容量は全ディスクの合計になりますが、冗長性はありません。RAID1はミラーリングで、同じデータを複数のディスクに書きます。使える容量は1台分で、1台が故障してもデータは残ります。ITパスポート令和5年度の問63は、500GバイトのHDD2台でこの2つの容量を比べる問題です。
QRAID5の使える容量はどう計算しますか?
1台の容量×(台数−1)です。パリティ(誤りを復元するための情報)の記録に1台分の容量を使うためです。1TバイトのHDD4台でRAID5を組むと、使える容量はおよそ3Tバイトです。令和6年度の問69は、この形の問題です。
QRAIDを組んでいれば、バックアップは不要ですか?
不要とは言えません。RAIDが備えるのはディスクの故障で、利用者が誤ってファイルを消した場合など、全ディスクに書き込まれた内容は元に戻せません(当サイトの説明)。バックアップとは目的が違います。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月28日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

