問題
公共測量において GNSS 測量機を用いた基準点測量を行い,基線解析により基準点 A から基準点 B 及び基準点 C から基準点 B までの基線ベクトルを得た。 表9は,地心直交座標系(令和7年国土交通省告示第518号)における X 軸,Y 軸,Z 軸方向について,それぞれの基線ベクトル成分(ΔX,ΔY,ΔZ)を示したものである。基準点 A から基準点 C までの斜距離は幾らか。最も近いものを次の 1 〜 5 の中から選べ。 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 表9 | 区間 | ΔX | ΔY | ΔZ | |---|---|---|---| | A → B | +300.000 m | +100.000 m | −100.000 m | | C → B | +200.000 m | +300.000 m | +400.000 m |
答え合わせ
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自信の3択
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解説
GNSS測量の基線ベクトルから斜距離を計算する問題です。正答は「3(547.723 m)」です。
まず,A→Cの基線ベクトルを求めます。
A→B のベクトル:(+300, +100, −100)
C→B のベクトル:(+200, +300, +400)
A→C = A→B のベクトル − C→B のベクトル
(A→CはA→Bを使い,CからBを引けばCからAの逆が得られます)
B→C = −(C→B) = (−200, −300, −400)
A→C = A→B + B→C = (300, 100, −100) + (−200, −300, −400)
= (+100, −200, −500)
斜距離 = √(100² + 200² + 500²)
= √(10000 + 40000 + 250000)
= √300000
= 100√30
≒ 100 × 5.4772
= 547.72 m ≒ 547.723 m
【GNSS基線ベクトルの合成と斜距離計算の手順】
Step 1:A→C のベクトル成分を求める
与えられた基線ベクトル:
- A → B:(ΔX, ΔY, ΔZ) = (+300, +100, −100)
- C → B:(ΔX, ΔY, ΔZ) = (+200, +300, +400)
B → C = −(C → B) = (−200, −300, −400)
A → C = (A → B) + (B → C)
= (300 + (−200), 100 + (−300), −100 + (−400))
= (+100, −200, −500)
Step 2:斜距離の計算
斜距離 D(A→C) = √(ΔX² + ΔY² + ΔZ²)
= √(100² + (−200)² + (−500)²)
= √(10,000 + 40,000 + 250,000)
= √300,000
= √(10,000 × 30)
= 100√30
√30 の計算(関数表の平方根欄参照):
√30 = √(3 × 10) = √3 × √10
√3 = 1.73205,√10 = 3.16228
√30 = 1.73205 × 3.16228 = 5.47723
D = 100 × 5.47723 = 547.723 m
選択肢の確認:
選択肢2(447.214 m = 100√20):ΔZ = −400と誤算した場合。
選択肢3(547.723 m):正答。
選択肢5(707.107 m = 500√2):ΔX・ΔYのみで計算した場合の誤り。
【地心直交座標系と基線ベクトル合成の深層:GNSS測量実務への接続】
地心直交座標系(ECEF座標系)の定義:
令和7年国土交通省告示第518号に定められた地心直交座標系(Earth-Centered Earth-Fixed, ECEF)は,地球重心を原点とし,X軸は赤道面と本初子午線の交点方向,Z軸は地球北極方向,Y軸は右手系で定義されます。この座標系はGPS衛星の軌道計算・信号処理に使用されるWGS84座標系と実質的に同じです(差は1 cm以内)。
基線ベクトルの物理的意味:
GNSS基線解析で得られる (ΔX, ΔY, ΔZ) は,2点間の地心直交座標の差分であり,「斜距離」はこの三次元ベクトルの絶対値(ユークリッド距離)です。実際の地表面に沿った距離(地表距離)や楕円体面上の距離(基準面上距離)とは異なります。
ベクトル合成における符号の注意点:
本問の核心は「C→B の方向が与えられているため,A→C の計算には方向を反転させる必要がある」点です。
A→C = A→B + B→C = A→B − (C→B)
この向き管理ミスが最も多い計算ミスです。試験時は基線ベクトルの方向(「始点→終点」)を矢印で図示することが有効です。
√300,000 の因数分解と計算効率化:
√300,000 = √(3 × 100,000) = √(3 × 10⁵) = 10²√(3 × 10) = 100√30
関数表の「平方根」列から:√30 は直接掲載されていない場合,√3 × √10 に分解して求めます。
√3 = 1.73205(√3 は暗記推奨)
√10 = 3.16228(√10 は関数表または10 = 3.16228² の暗記)
実務でのGNSS斜距離の活用:
GNSS基線解析では斜距離(三次元距離)から楕円体面上距離への変換が必要です。
楕円体面上距離 S = D × R / (R + h_mean)
ここで R は平均曲率半径(約6,371,000 m),h_mean は両端点の平均楕円体高。この補正は長距離基線(数十〜数百 km)では数十 cm に達するため,高精度測量では必須です。
測量士試験では,この地心直交座標→楕円体面距離→平面直角座標への一連の変換計算が複合問題として出題されます。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和8年度 測量士補試験 問9(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

