問題
次の文は,測量の誤差について述べたものである。 ア 〜 ウ に入る語句及び数値の組合せとして最も適当なものはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 測定値に含まれる誤差のうち,ア は測量機器の特性や大気状態の影響などの原因から発生し,観測方法の工夫などが可能なものは対策することができる。一方,イ は,発生要因が明らかでないことから防ぐことができない。 このように測定値には誤差が含まれるため,真の値を求めることは不可能である。 しかし,ある長さや角度の測定値の一群が イ だけを含むと考えられる場合,理論的に最も確からしいと考えられる値を求めることは可能であり,こうして求めた値を最確値という。 トータルステーションを用いて,ある2地点間の距離を同じ条件で10回観測し,表3の結果を得た。ア が取り除かれているとすれば,2地点間の距離の最確値は ウ となる。 【表3】 | 順番 | 観測で得られた値(m) | |------|----------------------| | 1回目 | 50.251 | | 2回目 | 50.252 | | 3回目 | 50.255 | | 4回目 | 50.252 | | 5回目 | 50.255 | | 6回目 | 50.252 | | 7回目 | 50.255 | | 8回目 | 50.251 | | 9回目 | 50.252 | | 10回目 | 50.255 |
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
測量誤差の種類と最確値計算の問題です。正答は2(ア: 系統誤差,イ: 偶然誤差,ウ: 50.253 m)。
誤差には2種類あります。「系統誤差」は器械の偏差や大気の影響など原因が特定できる誤差で,対策(補正)が可能です。「偶然誤差」は原因不明で偶発的に生じる誤差で,防ぐことができません。よってア=系統誤差,イ=偶然誤差です。
最確値は,偶然誤差のみを含む観測値群の算術平均で求めます。
10回の合計を計算します:50.251+50.252+50.255+50.252+50.255+50.252+50.255+50.251+50.252+50.255 = 502.530 m
最確値 = 502.530 ÷ 10 = 50.253 m
よってウ=50.253 m,正答は選択肢2です。
測量誤差の分類と最確値計算の問題です。正答は2。
誤差の分類
- 系統誤差(定誤差):原因が明らかで方向性がある誤差。例:気温による標尺の膨張・収縮,視差,レンズの歪み。対策(温度補正・器械誤差消去)が可能。設問の「ア」に該当。
- 偶然誤差(不定誤差):原因不明,±方向にランダムに発生。正規分布に従う。多数回観測の平均で影響を軽減できる。設問の「イ」に該当。
最確値の計算
偶然誤差のみを含む観測値の最確値=算術平均(等精度観測の場合)
10観測値の合計:
50.251 × 2 = 100.502
50.252 × 4 = 201.008
50.255 × 4 = 201.020
合計 = 100.502 + 201.008 + 201.020 = 502.530 m
最確値 = 502.530 ÷ 10 = 50.2530 m ≒ 50.253 m
選択肢の検討
選択肢1(50.252 m)・選択肢3(50.254 m)はいずれも計算値と異なります。選択肢4・5はア・イが逆なので誤りです。正答は選択肢2。
測量誤差論と最確値推定の深層解析です。正答は2。
誤差の3分類と系統誤差の実例
厳密には誤差は「錯誤(過誤)」「系統誤差」「偶然誤差」の3種に分類されます。錯誤は観測者のミス(読み間違い等)で,外れ値検定(グラブス検定等)で除去します。系統誤差の具体例:TSの測距では大気の屈折(気圧・気温による光速変化)が生じ,気象補正式 K = 281.8 - (79.661 × P/T)(P: 気圧hPa, T: 絶対温度K)で補正します。光波測距では位相差測定に基づくため,反射プリズム定数誤差も系統誤差の一種です。
最確値と精度評価(測量士レベル)
等精度n回観測の算術平均m̄の標準偏差σm̄は:
σm̄ = σ/√n(σ: 1回観測の標準偏差)
本問の観測値(n=10)の残差 νᵢ = xᵢ - m̄:
ν = -0.002, -0.001, +0.002, -0.001, +0.002, -0.001, +0.002, -0.002, -0.001, +0.002
Σνᵢ² = 4×(0.002)² + 4×(0.001)² = 4×0.000004 + 4×0.000001 = 0.000020
1回観測の標準偏差 σ = √(Σνᵢ²/(n-1)) = √(0.000020/9) = √0.00000222 ≒ 0.00149 m ≒ 1.5 mm
最確値の標準偏差 σm̄ = 1.5/√10 ≒ 0.47 mm
これは公共測量の3級基準点測量の精度要件を十分に満たす精度です。
不等精度観測と加重平均(測量士接続)
複数の路線から得た観測値を統合する場合は,精度(重さ)に応じた加重平均を用います。重さ p は観測距離 S(km)に反比例(p ∝ 1/S)。この加重最小二乗法が測量士試験の核心となり,網平均計算(三角網・多角網の同時解法)へ発展します。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和7年度 測量士補試験 問3(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

