プラセボ効果(偽薬効果)とは、医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じることです。厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月一部改訂)第1章の記述を、原文を引用しながら整理し、登録販売者試験での押さえ方を説明します。
目次
結論:プラセボ効果(偽薬効果)とは、医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じることです(厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」令和8年4月一部改訂、第1章 Ⅱ 5)、13ページ)。暗示効果、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)が関与すると考えられていて、望ましい変化(効果)も不都合な変化(副作用)もあります。不確実なので、それを目的として医薬品を使うべきではない、と手引きは書いています。登録販売者試験は、この手引きから出題されます。
プラセボ効果という言葉は、病院や薬の話題で耳にします。この記事は、その意味を調べている人に向けて、登録販売者試験の出題の根拠になっている手引きの文章を、原文を引用して説明します。医薬品の効果についての一般的な定義であり、特定の症状や、特定の薬を使うかどうかの助言ではありません。症状や薬について迷うときは、医師・薬剤師に相談してください。
手引きの版:登録販売者試験問題の作成に関する手引きの最新版は「令和8年4月」です(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)。実施要領は、手引きを必要に応じて原則として年1回改訂するものとし、都道府県知事が試験の施行を公告した後に改訂された部分は出題しないとしています。最終確認日:2026-10-09。出典:厚生労働省 登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)、手引き本文(行番号つきPDF)、登録販売者試験実施要領。
プラセボ効果の定義:手引き第1章 Ⅱ 5)
手引きは、第1章のⅡ「医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」の中の小見出し「5)プラセボ効果」で、次のように書いています(手引き13ページ)。
「医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じることをプラセボ効果(偽薬効果)という。」
ここで「薬理作用」とは、同じ第1章Ⅱ 1)の(a)で、「医薬品の有効成分である薬物が生体の生理機能に影響を与えること」と説明されています(手引き5ページ)。つまり、プラセボ効果は、有効成分の薬理作用以外が原因で起こる作用、という整理です。
| 用語 | 手引きの言い方 | ポイント |
|---|---|---|
| プラセボ効果 | 「医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じること」 | 薬理作用によらない作用 |
| 偽薬効果 | 「プラセボ効果(偽薬効果)」と、かっこ書きで併記 | プラセボ効果の別の呼び方 |
| 薬理作用 | 「医薬品の有効成分である薬物が生体の生理機能に影響を与えること」(第1章Ⅱ 1)(a)) | プラセボ効果と区別する側の言葉 |
出典:手引き(令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅱ 1)(a)・5)。
手引きの第1章の目次は、Ⅱの中に6つの小見出し(副作用、不適正な使用と副作用、他の医薬品や食品との相互作用・飲み合わせ、小児・高齢者等への配慮、プラセボ効果、医薬品の品質)を置いています。プラセボ効果は、その5番目です。手引き(令和8年4月一部改訂)には、第1章13ページの5)以外に、「プラセボ」「偽薬」の記載がありません(目次を除く、2026-10-09 時点)。
関与すると考えられている3つの要因
手引きは、プラセボ効果が生じる背景を、次のように書いています(手引き13ページ)。
「プラセボ効果は、医薬品を使用したこと自体による楽観的な結果への期待(暗示効果)や、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)等が関与して生じると考えられている。」
文末が「考えられている」であることに注意します。原因を断定した文章ではありません。
| 要因(手引きの言葉) | 手引きの文脈での位置づけ |
|---|---|
| 医薬品を使用したこと自体による楽観的な結果への期待(暗示効果) | 「関与して生じると考えられている」要因のひとつ |
| 条件付けによる生体反応 | 同上 |
| 時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など) | 同上。「など」は、手引きが例として括弧内に付けた語 |
出典:手引き13ページ。
3つめの「自然緩解など」は、手引きでは括弧内の例示です。表の要因が3つで尽きるかどうかは、「等が関与して」という文末から、手引きは限定していません(当サイトの読み)。
望ましい変化と不都合な変化、客観的な変化もある
続く文章で、手引きは、プラセボ効果の性質を次のように書いています(手引き13ページ)。
「医薬品を使用したときにもたらされる反応や変化には、薬理作用によるもののほか、プラセボ効果によるものも含まれている。プラセボ効果によってもたらされる反応や変化にも、望ましいもの(効果)と不都合なもの(副作用)とがある。」
「プラセボ効果は、主観的な変化だけでなく、客観的に測定可能な変化として現れることもあるが、不確実であり、それを目的として医薬品が使用されるべきではない。購入者等が、適切な医薬品の選択、医療機関の受診機会を失うことのないよう、正確な情報が適切に伝えられることが重要である。」
整理すると、手引きの記述は次の4点です。
| 手引きの記述 | 読み方(当サイトの整理) |
|---|---|
| 医薬品を使用したときの反応や変化には、薬理作用によるもののほか、プラセボ効果によるものも含まれる | 薬を使ったあとの変化のすべてが、薬理作用とは限らない |
| 望ましいもの(効果)と不都合なもの(副作用)とがある | プラセボ効果は、よい変化だけではない |
| 主観的な変化だけでなく、客観的に測定可能な変化として現れることもある | 「主観的な変化に限られる」とはしていない |
| 不確実であり、それを目的として医薬品が使用されるべきではない | 効果として期待して使う理由にはならない |
販売の場面で、手引きが述べていること
手引きは、プラセボ効果の記述の最後に、「購入者等が、適切な医薬品の選択、医療機関の受診機会を失うことのないよう、正確な情報が適切に伝えられることが重要である」と書いています。
同じ第1章のⅢ「適切な医薬品選択と受診勧奨」には、症状が重いときや、使っても改善しないときの記述があります(手引き14〜15ページ)。
- 症状が重いとき(例として、高熱や激しい腹痛がある場合、患部が広範囲である場合等)に、一般用医薬品を使用することは、一般用医薬品の役割にかんがみて、適切な対処とはいえない
- 体調不良や軽度の症状等について一般用医薬品を使用して対処した場合であっても、一定期間若しくは一定回数使用しても症状の改善がみられない又は悪化したときには、医療機関を受診して医師の診療を受ける必要がある
プラセボ効果の記述と、この受診勧奨の記述は、別の小見出しの文章です。この記事は、2つを結びつけて「プラセボ効果があるから受診が遅れる」と述べるものではありません。手引きの文章は、プラセボ効果の項の末尾で、適切な選択と受診機会を失わないための情報提供の重要性を述べています。
試験での扱い:どこから出るか
登録販売者試験は、試験実施要領の「出題範囲」で、別途通知する「試験問題作成の手引き」から出題するものとされています(実施要領 2(4))。試験項目の1つめ「医薬品に共通する特性と基本的な知識」は、出題数20・配分時間40分です(実施要領 3(1))。プラセボ効果は、この第1章に入ります。
実施要領は、出題の方法を「真偽式や多肢選択式等の方法など正誤が客観的に判別できる方法」としています(2(1))。手引きの文章と合うか食い違うかを見分ける練習として、次の表を用意しました。手引きの記述と食い違う(又は合う)言い換えの例です(当サイトの作例で、都道府県が公表した試験問題の文ではありません)。
| 言い換えの例(当サイトの作例) | 手引きの記述との関係 |
|---|---|
| プラセボ効果は、薬理作用によって生じる | 食い違う。手引きは「薬理作用によらない作用」と書く |
| プラセボ効果による変化は、主観的な変化に限られる | 食い違う。「客観的に測定可能な変化として現れることもある」と書く |
| プラセボ効果には、不都合な変化はない | 食い違う。「望ましいもの(効果)と不都合なもの(副作用)とがある」と書く |
| プラセボ効果が期待できるので、それを目的として医薬品を使用してよい | 食い違う。「それを目的として医薬品が使用されるべきではない」と書く |
| 暗示効果や自然緩解などが関与して生じると考えられている | 手引きの記述と合う(「関与して生じると考えられている」) |
合格ナビには、第1章の問題があります(合格ナビが作成した問題で、本試験の問題ではありません)。第1章の問題で、手引きの記述を確かめられます。第1章の他の見出しを含む、手引きの読み方とノートの作り方は、勉強ノートの記事にまとめています。
間違えやすいポイント
- プラセボ効果は、「薬理作用によらない作用」です。 有効成分の作用に基づく反応を指す言葉ではありません。
- 「偽薬効果」は、プラセボ効果の別の呼び方です。 手引きは、かっこ書きで併記しています。
- 「関与して生じると考えられている」を、「必ず〜で生じる」に読み替えません。 手引きは、原因を断定していません。
- よい変化だけではなく、不都合な変化(副作用)もあります。
- 主観的な変化に限られません。 客観的に測定可能な変化として現れることもあると、手引きは書いています。ただし、不確実で、それを目的として医薬品を使うべきではない、という結論も同じ文章にあります。
- 手引きは、必要に応じて原則として年1回改訂するものとされています(実施要領 2(4))。 受験する年度の手引きは、厚生労働省のページと、受験する都道府県の受験案内で確認します。
まとめ
- プラセボ効果(偽薬効果):医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じること(手引き第1章 Ⅱ 5)、13ページ)
- 暗示効果、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)等が関与して生じると「考えられている」
- 望ましい変化(効果)と不都合な変化(副作用)の両方がある。客観的に測定可能な変化として現れることもあるが、不確実で、それを目的として医薬品を使うべきではない
- 購入者等が適切な医薬品の選択と医療機関の受診の機会を失わないよう、正確な情報を適切に伝えることが重要、と手引きは述べている
- 試験は手引きから出題され、第1章は20問。受験年度の手引きは、厚生労働省と受験する都道府県の案内で確認する
- 個別の症状や薬の使い方は、医師・薬剤師に相談する
よくある質問
Qプラセボ効果とは、簡単にいうと何ですか?
厚生労働省の「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月一部改訂)第1章には、「医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じることをプラセボ効果(偽薬効果)という」と書かれています。薬の成分が体の機能に働きかける作用(薬理作用)によらずに、薬を使ったあとに起こる反応や変化のことです。
Qプラセボ効果は、気のせい(思い込み)のことですか?
手引きは、「気のせい」とはしていません。プラセボ効果には、医薬品を使用したこと自体による楽観的な結果への期待(暗示効果)、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)が関与して生じると考えられている、と書かれています。さらに、主観的な変化だけでなく、客観的に測定可能な変化として現れることもある、とされています。
Qプラセボ効果には、よい変化だけがありますか?
いいえ。手引きは、プラセボ効果によってもたらされる反応や変化にも、望ましいもの(効果)と不都合なもの(副作用)とがある、としています。
Qプラセボ効果を期待して、薬を使ってもよいのですか?
手引きは、プラセボ効果は不確実であり、それを目的として医薬品が使用されるべきではない、としています。購入者等が適切な医薬品の選択や医療機関の受診の機会を失わないよう、正確な情報が適切に伝えられることが重要だとも書かれています。個別の症状や薬の使い方は、医師・薬剤師に相談してください(この記事は、個別の症状への助言ではありません)。
Qプラセボ効果は、登録販売者試験のどこで学びますか?
手引きの第1章「医薬品に共通する特性と基本的な知識」のⅡ「医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」の5)にあります(手引き13ページ)。試験は、手引きから出題するものとされています(登録販売者試験実施要領 2(4))。第1章の出題数は20問です(同要領 3(1))。受験する年度の手引きと出題の範囲は、受験する都道府県の受験案内で確認してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月9日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

