第二種電工

スターデルタ始動とは?始動電流・始動トルクと使う電動機第二種電気工事士

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

スターデルタ始動は、三相誘導電動機の始動のとき、巻線をY結線にしてから△結線に切り替える方法です。全電圧始動(じか入れ)との違い、始動電流と始動トルクが約3分の1になる理由を2通りの検算つきで整理し、第二種電気工事士の学科で公表された13冊の問題での扱い(令和4年度上期(午前)〜令和8年度上期)を表で確認できます。

目次
  1. スターデルタ始動とは:全電圧始動との違い
  2. なぜ始動電流が小さくなるのか:Y結線の電圧と電流
  3. 試験での出方:公表された13冊の問題
  4. 組合せの問題と、始動電流の大きさの記述
  5. 条文・基準での扱い
  6. 間違えやすいポイント
  7. まとめ
結論:スターデルタ始動は、三相誘導電動機を始動するとき、巻線をY結線につないで始動電流を小さくし、回転が上がってから△結線に切り替える方法です。最初から全電圧を加える全電圧始動(じか入れ始動)と比べて、始動電流と始動トルクが小さくなります(標準的な理論では、どちらも約1/3)。第二種電気工事士の学科では、「全電圧始動と比べた特徴は、始動電流が小さくなる」(令和4年度上期(午後)問14・令和6年度上期 問14)、「必要に応じてスターデルタ始動を行う電動機は、一般用三相かご形誘導電動機」(令和5年度下期(午前)問14・令和7年度下期 問14)が出ています。

この記事は、「スターデルタ始動」という言葉を調べている方に向けて、まず意味と仕組みを説明し、そのあとで第二種電気工事士の学科の出方を、公表された問題で確かめます。実際の電動機の結線や制御盤の作業は、この記事では扱いません。設備の施工・保守は、設備の管理者や有資格者に確認してください。

試験センター非提携:本サイトは一般財団法人 電気技術者試験センターと一切関係ありません。試験の出題・資料は、出典を示して内容を紹介しています。製品名やメーカーは扱いません。
解釈の版:電気設備の技術基準の解釈(経済産業省のPDF)の最終改正は、令和7年11月20日付けです。条文の番号は改正で変わることがあります。最終確認日:2026-10-09。出典:電気設備の技術基準の解釈(経済産業省)。

スターデルタ始動とは:全電圧始動との違い

三相誘導電動機は、止まっている状態から回り始めるとき、定格運転のときより大きな電流が流れます。この始動のときの電流を始動電流といい、始動の方法によって大きさが変わります(当サイトの説明)。

項目全電圧始動(じか入れ始動)スターデルタ始動
始動のときの巻線のつなぎ方電源の全電圧が巻線に加わる(△結線で運転する電動機なら△結線)Y結線(スター結線)。巻線に加わる電圧は線間電圧の1/√3
運転のときの巻線のつなぎ方始動と同じ△結線(デルタ結線)に切り替える
始動電流大きい小さい(標準的な理論で、全電圧始動の約1/3)
始動トルク大きい小さい(標準的な理論で、全電圧始動の約1/3)
始動時の巻線電圧線間電圧線間電圧の約0.577倍(1/√3)
切り替えの操作不要Y結線から△結線への切り替えが必要

表の内容は、標準的な三相交流の理論に基づく当サイトの整理です。「約1/3」の導き方は次の節で、2通りの検算つきで示します。Y結線・△結線そのものの線間電圧と相電圧、線電流と相電流の関係は、第二種電気工事士の基礎理論の記事にまとめています。

スターデルタ始動を行うには、巻線の両端6本の端子がすべて外に出ている電動機が必要です(当サイトの説明)。始動の間はY結線、運転の間は△結線につなぎ替えるために、3つの接触器(電源を入り切りするもの、Y結線にするもの、△結線にするもの)と、切り替えの時間を決めるタイマを組み合わせるのが一般的な構成です(当サイトの説明)。接触器やサーマルリレー、電磁開閉器の役割は、サーマルリレー(熱動継電器)と電磁接触器の記事にあります。

なぜ始動電流が小さくなるのか:Y結線の電圧と電流

同じ電動機の1相分の巻線のインピーダンスをZ[Ω]、電源の線間電圧をV[V]とします。始動の瞬間は、Y結線でも△結線でも、1相分のインピーダンスは同じとみなします(標準的な近似)。

  • △結線(全電圧始動):巻線に加わる電圧はV。巻線を流れる電流(相電流)はV÷Z。線電流はその√3倍で、√3×V÷Z
  • Y結線(スターデルタ始動の始動時):巻線に加わる電圧はV÷√3。巻線を流れる電流は線電流と同じで、V÷(√3×Z)

2つの線電流の比は、Y結線÷△結線=[V÷(√3×Z)]÷[√3×V÷Z]=1÷(√3×√3)=1/3です。始動トルクは巻線に加わる電圧の2乗に比例するので、(1/√3)の2乗=1/3になります(標準的な理論)。

当サイトの計算(作例。線間電圧200V、△結線の全電圧始動で線電流が24A流れる電動機とする):

  • Y結線の巻線電圧:200÷√3≒200÷1.732≒115.5V(検算:115.5×1.732≒200.0V)
  • Y結線の始動時の線電流:24÷3=8A(検算:△結線の全電圧始動の線電流24Aは、相電流24÷1.732≒13.9Aの√3倍。Y結線の線電流は、巻線電圧が1/√3になるので相電流も1/√3の約8.0A。24÷3=8.0Aと一致する)
  • 始動トルクの比:(115.5÷200)の2乗≒0.577×0.577≒0.333(検算:1÷3≒0.333)

この作例の数値は当サイトが作ったもので、公表された試験問題の数値ではありません。実際の電動機の始動電流は、機種や負荷で変わります。

試験での出方:公表された13冊の問題

電気技術者試験センターが公表した第二種電気工事士の学科試験問題のうち、令和4年度上期(午前)〜令和8年度上期の13冊(令和4年度上期・下期と令和5年度上期・下期は午前・午後の各2冊、令和6年度上期以降の5回は各回1冊)の問題文と選択肢の文章を、空白・改行を除いた全文で調べました。配線図の図面は文字として取り出せないため、13冊とも描画して目で確かめ、「スターデルタ」の表記はありませんでした(写真で示す選択肢は対象外)。「スターデルタ」の語が出るのは、次の6冊・7か所です(当サイトの整理)。

回問問いの型スターデルタの位置づけ正答
令和4年度上期(午後)問14全電圧始動と比較した、スターデルタ始動の特徴で、正しいもの主題。正答は選択肢ロ「始動電流が小さくなる。」ロ
令和5年度上期(午前)問15組み合わせて使用する機器で、組合せが明らかに誤っているもの選択肢ニ「スターデルタ始動装置と一般用低圧三相かご形誘導電動機」は正しい組合せ(誤りはイ)イ
令和5年度下期(午前)問14「必要に応じ,スターデルタ始動を行う電動機は。」主題。正答は選択肢イ「一般用三相かご形誘導電動機」イ
令和6年度上期問14全電圧始動と比較した、スターデルタ始動の特徴で、正しいもの主題。正答は選択肢ロ「始動電流が小さくなる。」ロ
令和6年度上期問15組み合わせて使用する機器で、組合せが明らかに誤っているもの選択肢ニ「スターデルタ始動装置と一般用低圧三相かご形誘導電動機」は正しい組合せ(誤りはイ)イ
令和7年度上期問15組み合わせて使用する機器で、組合せとして明らかに誤っているもの選択肢ニ「スターデルタ始動装置と一般用低圧三相かご形誘導電動機」は正しい組合せ(誤りはハ)ハ
令和7年度下期問14「必要に応じ,スターデルタ始動を行う電動機は。」主題。正答は選択肢イ「一般用三相かご形誘導電動機」イ

出典:センター公表の学科問題。令和4年度上期(午後)、令和5年度上期(午前)、令和5年度下期(午前)、令和6年度上期、令和7年度上期、令和7年度下期と、各回の解答(令和5年度下期(午前)は解答の画像)。

この13冊のうち、問題文に「スターデルタ」の語がないのは、令和4年度上期(午前)、令和4年度下期(午前・午後)、令和5年度上期(午後)、令和5年度下期(午後)、令和6年度下期、令和8年度上期の7冊です。

スターデルタ始動の特徴を問う2問(令和4年度上期(午後)問14・令和6年度上期 問14)は、同じ形の問題です。全電圧始動と比べて、正しいものを選びます。選択肢には、始動電流、始動トルク、始動時間、始動時の巻線に加わる電圧が並び、センターの正答は「始動電流が小さくなる。」の1つです。残りの3つ(始動時間が短くなる、始動トルクが大きくなる、始動時の巻線に加わる電圧が大きくなる)は、正答ではありませんでした。前の節のとおり、始動トルクも巻線の電圧も、スターデルタ始動では全電圧始動より小さくなります(当サイトの説明)。

「必要に応じ、スターデルタ始動を行う電動機は」を問う2問(令和5年度下期(午前)問14・令和7年度下期 問14)は、同じ選択肢の問題です。選択肢には、一般用三相かご形誘導電動機、三相巻線形誘導電動機、直流分巻電動機、単相誘導電動機が並び、正答は一般用三相かご形誘導電動機です。

組合せの問題と、始動電流の大きさの記述

「スターデルタ始動装置と一般用低圧三相かご形誘導電動機」は、「組み合わせて使用する機器」を問う問15で、3回とも正しい組合せの側に入っています(令和5年度上期(午前)・令和6年度上期・令和7年度上期)。ほかの選択肢には、ネオン変圧器と高圧水銀灯・メタルハライドランプ、光電式自動点滅器と庭園灯、零相変流器と漏電警報器の組合せがあります。問15は、機器の名前と相手の組合せを覚えているかを見る問題です(当サイトの整理)。

全電圧始動の始動電流の大きさは、一般用低圧三相かご形誘導電動機に関する記述の問題で、選択肢として出ています。

回問選択肢の記述(センターの問題文)正答の扱い
令和5年度上期(午後)問14選択肢ロ「全電圧始動(じか入れ)での始動電流は全負荷電流の2倍程度である。」誤っている記述を選ぶ問で、正答はロ。この記述は誤りとされた
令和8年度上期問14選択肢ロ「全電圧始動(じか入れ)での始動電流は全負荷電流の4~8倍程度である。」誤っている記述を選ぶ問で、正答はハ。この記述は誤りとされなかった

出典:令和5年度上期(午後)、令和8年度上期と各回の解答。

この2問は、いずれも一般用低圧三相かご形誘導電動機の記述の中で、全電圧始動の始動電流の大きさを問う選択肢を含んでいます(令和5年度上期(午後)の「2倍程度」は誤りの記述)。このほか、同じ2問の選択肢には、「3本の結線のうちいずれか2本を入れ替えると逆回転する」があります。回転の向きは、検相器の記事で説明しています。周波数と極数から回転速度を求める計算も、同じ記事にあります。

当サイトの整理:始動電流の大きさは「定格運転のときの電流の数倍」と覚えると、スターデルタ始動で「小さくなる」という方向がつかめます。具体的な倍率は、公表された問題の選択肢に出た範囲では、上の表のとおりです。

条文・基準での扱い

電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正の版・経済産業省のPDF)、電気設備に関する技術基準を定める省令、電気工事士法施行規則には、「スターデルタ」の語の記載がありません(2026-10-09 時点。経済産業省・e-Gov)。電動機について、解釈には次の定めがあります。

条内容本記事での扱い
解釈第153条屋内に施設する電動機には、焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し、または警報する装置を設ける(ただし書あり)過負荷保護の話で、始動方法とは別の論点。サーマルリレーの記事を参照

スターデルタ始動は、試験では、法令の条文ではなく「電動機の始動方法の知識」として出ています。

間違えやすいポイント

  • スターデルタ始動は、始動電流を小さくする方法です。 全電圧始動と比べた特徴は、「始動電流が小さくなる」が正答でした(令和4年度上期(午後)問14・令和6年度上期 問14)。
  • 始動トルクは、大きくなるのではなく小さくなります。 巻線に加わる電圧が1/√3になり、トルクは電圧の2乗に比例するためです(標準的な理論)。始動トルクが大きくなる、という選択肢は正答ではありませんでした。
  • 始動のときの巻線電圧は、大きくなるのではなく小さくなります。 Y結線では線間電圧の1/√3です。
  • スターデルタ始動を行う電動機は、一般用三相かご形誘導電動機です。 令和5年度下期(午前)問14・令和7年度下期 問14の正答です。
  • 「スターデルタ」と「Y-△変換」は、別の話です。 電験三種の理論で扱うY-△変換(スターデルタ変換)は、抵抗やインピーダンスの結線を置き換える計算で、電動機の始動方法ではありません。電工二種のスターデルタ始動は、電動機の巻線をつなぎ替える始動方法です(当サイトの整理)。
  • 全電圧始動の始動電流の倍率は、公表問題では「2倍程度」が誤り、「4~8倍程度」が誤りとされませんでした。 倍率の数字は、問題の選択肢に出たものを確かめて覚えます。
  • 回転の向きと回転速度は、始動方法とは別の論点です。 相順で向きが、同期速度の式で速度が決まります。

まとめ

  • スターデルタ始動は、三相誘導電動機の巻線を、始動のときはY結線、運転のときは△結線につなぐ始動方法。全電圧始動(じか入れ始動)より、始動電流が小さくなる。
  • Y結線にすると、巻線に加わる電圧は線間電圧の1/√3。標準的な理論では、線電流(始動電流)と始動トルクが、どちらも△結線の全電圧始動の約1/3になる。
  • 学科では、公表された13冊(令和4年度上期(午前)〜令和8年度上期)のうち6冊・7か所に「スターデルタ」の語がある。特徴を問う問が2問(令和4年度上期(午後)問14・令和6年度上期 問14。正答は「始動電流が小さくなる。」)、使う電動機を問う問が2問(令和5年度下期(午前)問14・令和7年度下期 問14。正答は一般用三相かご形誘導電動機)、組合せの選択肢が3問(各問15)。
  • 電気設備の技術基準の解釈・省令・電気工事士法施行規則に「スターデルタ」の語の記載はない(2026-10-09 時点)。電動機の過負荷保護(解釈第153条)は別の論点。

よくある質問

Qスターデルタ始動とは何ですか?

三相誘導電動機の始動方法の1つです。始動のときだけ、電動機の巻線をY結線(スター結線)につないで巻線に加わる電圧を下げ、回転が上がってから△結線(デルタ結線)に切り替えて、通常の運転に移ります(当サイトの説明)。最初から電源の全電圧を加える方法は、全電圧始動(じか入れ始動)と呼ばれます。

Qスターデルタ始動で、始動電流が小さくなるのはなぜですか?

△結線のとき巻線に加わる電圧は線間電圧そのものですが、Y結線のときは線間電圧の1/√3(約0.577倍)になります。同じ電動機で、始動の瞬間の巻線のインピーダンスが同じとみなすと、線電流は△結線の全電圧始動の約1/3になります(標準的な理論で、当サイトの説明です)。始動トルクは電圧の2乗に比例するので、これも約1/3になります。学科の問題は、全電圧始動と比べた特徴として「始動電流が小さくなる。」を正答にしています(令和4年度上期(午後)問14・令和6年度上期 問14)。

Qスターデルタ始動は、第二種電気工事士の学科でどのように出ていますか?

電気技術者試験センターが公表した学科試験問題13冊(令和4年度上期(午前)〜令和8年度上期)のうち、問題文に「スターデルタ」の語があるのは6冊・7か所です。スターデルタ始動そのものを問う問は4問(令和4年度上期(午後)問14、令和5年度下期(午前)問14、令和6年度上期 問14、令和7年度下期 問14)、「スターデルタ始動装置と一般用低圧三相かご形誘導電動機」が選択肢の1つとして出る組合せの問が3問(令和5年度上期(午前)・令和6年度上期・令和7年度上期の各問15)です。13冊の配線図の図面も描画して確かめ、「スターデルタ」の表記はありませんでした(写真で示す選択肢は、語の検索の対象外です)。

Q電気設備の技術基準の解釈に、スターデルタ始動の定めはありますか?

電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正の版)、電気設備に関する技術基準を定める省令、電気工事士法施行規則には、「スターデルタ」の語の記載がありません(2026-10-09 時点、経済産業省・e-Gov)。電動機については、解釈第153条が過負荷保護装置の施設を定めています。その内容は、サーマルリレーと電磁接触器の記事にまとめています。

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