問題
化学物質による労働災害防止のための労働安全衛生規則等の改正(令和4年公布。化学物質の自律的な管理)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
誤りはアです。改正で化学物質の自律的な管理が導入されましたが、特化則・有機則等の特別規則は廃止されていません。化学物質管理の水準が一定以上であると所轄都道府県労働局長が認定した事業場に限り、特別規則の個別規制の適用を除外できる仕組みがあるだけで、その場合も健康診断・保護具・清掃などの規定は除外されません。
エ(事業場ごと・業種規模要件なし)・イ(保護具着用管理責任者)・ウ(14日以内に選任)・オ(リスクアセスメント結果の記録保存)はいずれも正しい内容です。
主な規定の整理:
| 事項 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 化学物質管理者 | リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場ごとに選任(業種・規模要件なし) | 安衛則第12条の5第1項 |
| 選任期限 | 選任すべき事由が発生した日から14日以内 | 安衛則第12条の5第3項 |
| 保護具着用管理責任者 | 化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づく措置として保護具を使用させるときに選任 | 安衛則第12条の6 |
| リスクアセスメント結果の記録 | 次のリスクアセスメントまで(3年以内に行ったときは3年間)保存・労働者に周知 | 安衛則第34条の2の8 |
| 特別規則 | 存続。所轄都道府県労働局長の認定を受けた事業場に限り個別規制の適用除外(健康診断・保護具・清掃などは除外されない) | 厚生労働省パンフレット |
各選択肢の正誤と根拠:
- エ(正): 安衛則第12条の5第1項は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う「事業場ごとに、化学物質管理者を選任」するよう定めています。厚生労働省のパンフレットも、選任が必要な事業場を「業種・規模要件なし」としています。
- イ(正): 安衛則第12条の6第1項は、保護具着用管理責任者に「保護具の適正な選択」「労働者の保護具の適正な使用」「保護具の保守管理」に関することを管理させるよう定めています。
- ウ(正): 安衛則第12条の5第3項第1号は「化学物質管理者を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任すること」と定めています。保護具着用管理責任者も同じく14日以内です(第12条の6第2項第1号)。
- ア(誤): 特別規則は廃止されていません。認定を受けた事業場に限って個別規制の適用除外の仕組みがあるだけです。
- オ(正): 安衛則第34条の2の8第1項のとおりです。記録する事項は、リスクアセスメント対象物の名称、業務の内容、リスクアセスメントの結果、講ずる措置の内容です。
【理論的背景】
厚生労働省は、化学物質による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号、令和4年5月31日公布)等を定めました。施行は公布日で、一部は令和5年4月1日又は令和6年4月1日です。中心となるのは、リスクアセスメント対象物について事業者がリスクアセスメントを行い、その結果に基づいてばく露を低減する「自律的な管理」です。安衛則第577条の2第1項は、リスクアセスメントの結果等に基づき、代替物の使用、発散源を密閉する設備・局所排気装置・全体換気装置の設置及び稼働、作業の方法の改善、有効な呼吸用保護具の使用等により、ばく露される程度を最小限度にするよう求めています。同条第2項は、厚生労働大臣が定める物について、屋内作業場でのばく露を厚生労働大臣が定める濃度の基準以下とするよう求めています。
特別規則との関係:
特化則・有機則等の特別規則は存続しています。厚生労働省のパンフレットによれば、化学物質管理の水準が一定以上であると所轄都道府県労働局長が認定した事業場は、その認定に関する特別規則について個別規制の適用を除外し、自律的な管理に委ねることができます。ただし健康診断、保護具、清掃などに関する規定は、認定を受けた場合でも適用除外となりません。特別規則自体も改正されており、例えば有機則第28条の3の2は、第三管理区分に区分された場所の措置の一つとして、保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者から保護具着用管理責任者を選任することを定めています。
【実務・条文構造】
化学物質管理者(安衛則第12条の5):
- 管理させる技術的事項: ①ラベル表示・SDS等による通知 ②リスクアセスメントの実施 ③第577条の2第1項・第2項の措置等の内容と実施 ④リスクアセスメント対象物を原因とする労働災害が発生した場合の対応 ⑤リスクアセスメントの結果の記録の作成・保存・周知 ⑥第577条の2第11項の記録の作成・保存・周知 ⑦①〜④の管理に当たっての労働者への必要な教育
- 譲渡・提供だけを行う事業場でも、表示等と教育管理のために選任します(第2項)
- 選任は事由発生から14日以内。リスクアセスメント対象物を製造している事業場では、厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習を修了した者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者から選任します(第3項)
- 選任したら必要な権限を与え(第4項)、氏名を見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知します(第5項)
保護具着用管理責任者(安衛則第12条の6):
- 管理させる事項: 保護具の適正な選択、労働者の保護具の適正な使用、保護具の保守管理
- 選任は事由発生から14日以内
リスクアセスメント結果等の記録(安衛則第34条の2の8):
- 記録事項: 対象物の名称、業務の内容、リスクアセスメントの結果、講ずる措置の内容
- 保存: 次にリスクアセスメントを行うまでの期間(3年以内に行ったときは3年間)
- 対象の業務に従事する労働者に周知
対象物の追加:
厚生労働省のパンフレットは、国によるGHS分類で危険性・有害性が確認された全ての物質を順次追加するとし、発がん性・生殖細胞変異原性・生殖毒性・急性毒性のカテゴリーで区分1に分類された234物質がラベル表示等の義務対象に追加されたとしています。
【試験での位置づけ】
この改正では「化学物質管理者は事業場ごと・業種規模要件なし・14日以内に選任」「保護具着用管理責任者は保護具を使用させるときに選任」「リスクアセスメント結果の記録保存」「特別規則は存続し、認定事業場に限り個別規制の適用除外」が問われます。アのように「特別規則が廃止された」とする記述は誤りです。
【各選択肢の発展補足】
- エ: 厚生労働省のパンフレットは、個別の作業現場ごとではなく工場・店社・営業所等の事業場ごとに選任し、一般消費者の生活の用に供される製品のみを取り扱う事業場は対象外としています。
- イ: 保護具着用管理責任者の選任期限も、事由発生から14日以内です(安衛則第12条の6第2項第1号)。
- ウ: 化学物質管理者を選任したときは、その氏名を事業場の見やすい箇所に掲示すること等により関係労働者に周知させます(安衛則第12条の5第5項)。
- ア: 認定による適用除外の場合でも、健康診断・保護具・清掃などの規定は適用除外となりません。
- オ: 記録した事項は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に周知させなければなりません(安衛則第34条の2の8第1項)。
【根拠】労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)、労働安全衛生規則第12条の5・第12条の6・第34条の2の8・第577条の2、有機溶剤中毒予防規則第28条の3の2、厚生労働省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について」・同パンフレット(001083280.pdf)。
【補足】ア(誤): 特別規則は廃止されていない(認定事業場に限り個別規制の適用除外。健康診断・保護具・清掃などは除外されない)。エ(正): 事業場ごとに化学物質管理者(業種・規模要件なし)。イ(正): 保護具着用管理責任者。ウ(正): 14日以内に選任。オ(正): リスクアセスメント結果の記録保存。
- 労働安全衛生規則第12条の5・第12条の6・第34条の2・第577条の2e-Govで原文を読む
- 特定化学物質障害予防規則e-Govで原文を読む
- 有機溶剤中毒予防規則第28条の3e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号、令和4年5月31日公布。施行は公布日、一部令和5年4月1日又は令和6年4月1日)。労働安全衛生規則第12条の5・第12条の6・第34条の2の8。厚生労働省の化学物質規制のパンフレット(https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001083280.pdf):特別規則は存続し、化学物質管理の水準が一定以上であると所轄都道府県労働局長が認定した事業場に限り、その認定に関する特別規則の個別規制の適用を除外できる(健康診断・保護具・清掃などの規定は除外されない)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

