問題
情報機器作業による健康障害の予防と厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
キーボード:1〜5で選択
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
誤りはアです。前半の作業時間(一連続作業1時間以内・作業休止10分〜15分)は正しいですが、ガイドラインは健康診断結果に基づく事後措置として「視距離に対して視力矯正が不適切な者には、支障なく情報機器作業ができるように、必要な保健指導を行うこと」と定めています。ディスプレイについても、おおむね40cm以上の視距離で見やすいよう必要に応じて適切な眼鏡で矯正するとしています。
エ(自覚症状の調査項目)・イ(携帯用情報機器の普及を踏まえたもの)・ウ(照度・グレア防止・ディスプレイの高さ)・オ(体操・小休止)はいずれも正しい内容です。
情報機器作業ガイドラインの主な内容:
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| 一日の作業時間 | 過度に長時間にわたり行われることのないように指導 |
| 一連続作業時間・作業休止時間 | 一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間、一連続作業時間内に1回〜2回程度の小休止 |
| 照明 | 書類上及びキーボード上の照度は300ルクス以上。グレア防止用照明器具の使用等でグレアを防止 |
| ディスプレイ | おおむね40cm以上の視距離。必要に応じて適切な眼鏡で矯正。画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下 |
| 健康診断の事後措置 | 視距離に対して視力矯正が不適切な者に必要な保健指導 |
| 職場体操等 | 就業の前後又は就業中に体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動等 |
各選択肢の正誤と根拠:
- エ(正): 配置前・定期の健康診断の自覚症状の有無の調査は「眼疲労を主とする視器に関する症状」「上肢、頸肩腕部及び腰背部を主とする筋骨格系の症状」「ストレスに関する症状」です。
- イ(正): ガイドラインは「VDT機器のみならずタブレット、スマートフォン等の携帯用情報機器を含めた情報機器が急速に普及し、これらを使用して情報機器作業を行う労働者の作業形態はより多様化している」状況を踏まえたものとしています。
- ウ(正): 照度は「300ルクス以上とし、作業しやすい照度とすること」、グレアについては「間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること」とされ、ディスプレイは「その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい」とされています。
- ア(誤): 健康診断結果に基づく事後措置として「視距離に対して視力矯正が不適切な者には…必要な保健指導を行うこと」が定められています。
- オ(正): 職場体操等の項と、作業時間の項(一連続作業時間内に1回〜2回程度の小休止)のとおりです。
【理論的背景】
情報機器作業ガイドラインは、平成14年の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(基発第0405001号)に代わるものとして、令和元年7月12日(基発0712第3号)に示されました(令和3年12月1日 基発1201第7号で一部改正)。VDTガイドラインの基本的な考え方は変えず、タブレット、スマートフォン等の携帯用情報機器を含めた情報機器の普及と作業形態の多様化を踏まえて、作業の実態に応じた労働衛生管理を行うよう求めています。
作業区分の考え方:
事業者は、別紙「情報機器作業の作業区分」を参考に、産業医等の専門家の意見を聴きつつ、衛生委員会等で個々の情報機器作業を区分します。「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があると考えられるもの(全ての者が健診対象)」と「上記以外のもの(自覚症状を訴える者のみ健診対象)」に分け、作業内容及び作業時間に応じた管理を行います。対策は一律・網羅的に行うのではなく、健康影響が作業時間と拘束性に強く依存することを踏まえ、「作業管理」に掲げた対策を優先的に行うこととされています。
【実務・条文構造】
作業環境管理(照明及び採光):
- 室内はできる限り明暗の対照が著しくなく、まぶしさを生じさせないようにする
- ディスプレイを用いる場合の書類上及びキーボード上の照度は300ルクス以上とし、作業しやすい照度とする(上限の数値は示されていない)
- ディスプレイ画面に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設ける
- 間接照明等のグレア防止用照明器具を用いる等、グレアを防止する
作業管理:
- 一日の作業時間: 過度に長時間にわたり行われることのないように指導
- 一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間、一連続作業時間内に1回〜2回程度の小休止
- ディスプレイ: おおむね40cm以上の視距離を確保し、この距離で見やすいよう必要に応じて適切な眼鏡で矯正。画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下。文字高さはおおむね3mm以上が望ましい
健康管理:
- 健康診断の項目: 業務歴・既往歴の調査、自覚症状の有無の調査(視器・筋骨格系・ストレス)、眼科学的検査(遠見視力・近見視力など)、筋骨格系に関する検査(上肢の運動機能、圧痛点等)
- 事後措置: 愁訴の主因を明らかにして保健指導・専門医への受診指導等を行い、作業方法・作業環境等を改善。視距離に対して視力矯正が不適切な者には必要な保健指導。作業の継続が適当でない者や作業時間の短縮を要する者には、産業医等の意見を踏まえ適切な措置
- 健康相談: メンタルヘルス、健康上の不安、慢性疲労、ストレス等による症状、自己管理の方法等について健康相談の機会を設けるよう努める
- 職場体操等: 就業の前後又は就業中に、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動等
【試験での位置づけ】
情報機器作業では「一連続作業時間1時間以内・作業休止10分〜15分・小休止1〜2回」「書類上・キーボード上の照度300ルクス以上」「視距離おおむね40cm以上」「画面の上端は眼の高さとほぼ同じかやや下」「視力矯正が不適切な者への保健指導」「作業区分(拘束性の有無)で健診対象が変わる」が問われます。アのように、規定のある事項を「定められていない」とする記述に注意します。
【各選択肢の発展補足】
- エ: 作業区分で「上記以外のもの」に当たる作業は、自覚症状を訴える者のみが健診対象です。
- イ: ガイドラインは事務所で行われる情報機器作業を対象とし、事務所以外の場所で行われる情報機器作業等についても、できる限りこのガイドラインに準じて労働衛生管理を行うよう求めています。
- ウ: ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面の明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすることとされています。
- ア: ディスプレイの項でも、おおむね40cm以上の視距離で見やすいよう、必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこととされています。
- オ: 一日の作業時間についても、過度に長時間にわたり行われることのないように指導することとされています。
【根拠】厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号、一部改正 令和3年12月1日 基発1201第7号)。
【補足】ア(誤): 視距離に対して視力矯正が不適切な者には必要な保健指導を行うと定められている。エ(正): 自覚症状の調査(視器・筋骨格系・ストレス)。イ(正): 携帯用情報機器の普及を踏まえたもの。ウ(正): 照度300ルクス以上・グレア防止・画面上端は眼の高さとほぼ同じかやや下。オ(正): 体操・ストレッチ等と小休止。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号、一部改正 令和3年12月1日 基発1201第7号)。7(1)ハ(ロ)「情報機器作業の視距離に対して視力矯正が不適切な者には、支障なく情報機器作業ができるように、必要な保健指導を行うこと」、5(2)ロ(イ)「おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見やすいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと」。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

