衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働生理 問33|感覚器・騒音性難聴の機序と特徴

問題

衛生管理者 | 労働生理

騒音性難聴(雑音性難聴)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはウです。騒音性難聴は感音性難聴で、大きな騒音に繰り返し曝されると、最終的に内耳の蝸牛にあるコルチ器の有毛細胞が失われます。

各誤りの要点: ア→耳小骨など中耳の病変で起こるのは伝音難聴で、騒音性難聴は内耳の障害による感音難聴です。イ→最初に障害されるのは低音域ではなく4kHz(4,000Hz)です。エ→騒音性難聴では8kHzの方が4kHzより軽度のことがあり、最初に現れるのは4kHzです。オ→騒音性難聴の大半は、約85dBを超える騒音に長期間さらされて徐々に進行するものです。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 伝音難聴は外耳道・鼓膜・中耳の病変から生じ、内耳への音の伝導が妨げられるものです。騒音性難聴は内耳の障害による感音難聴であり、耳小骨の損傷が主な原因ではありません(爆風による損傷では鼓膜や耳小骨が破壊されることがありますが、これは別の病態です)。
  • イ(誤): 騒音性難聴は、典型的には初めに4kHzで発症し、音響曝露が続くにつれて次第に低周波および高周波に波及します。低音域から始まるのは誤りです。
  • ウ(正): 騒音は感音難聴を引き起こします。大きい騒音に繰り返し曝されると、最終的にはコルチ器の有毛細胞が失われます。難聴が確認できるようになる前でも、騒音曝露は聴覚ニューロンと有毛細胞をつなぐシナプスの損傷につながりうるとされています。
  • エ(誤): 感音難聴の他の大部分の原因とは異なり、騒音性難聴は8kHzの方が4kHzよりも軽度である場合があります。最初に現れるのは4kHzです。なお、騒音健康診断の定期健診で行う選別聴力検査は1,000Hzと4,000Hzです。
  • オ(誤): 単回の極端な騒音(近くでの銃撃や爆発)で起こる難聴は音響外傷と呼ばれ、通常は一時的です。騒音性難聴は、85dBを超える騒音への慢性的な曝露により徐々に進行します。

【理論的背景】

難聴は、伝音性・感音性・その両方(混合難聴)に分類されます。伝音難聴は外耳道・鼓膜・中耳の病変から二次的に発生し、内耳への音の効果的な伝導が妨げられるものです。感音難聴は、内耳(内耳性)または聴神経(後迷路性)の病変によって生じます。騒音性難聴は感音難聴に属します。

騒音による難聴の2つの型:

1. 音響外傷: 単回の極端な騒音(近くでの銃撃や爆発など)への曝露で起こる。耳鳴を伴うことがあり、通常は一時的(爆風で鼓膜や耳小骨が破壊された場合を除く)

2. 騒音性難聴: 85dBを超える騒音への慢性的な曝露で徐々に進行する。大きい騒音に繰り返し曝されると、最終的にはコルチ器の有毛細胞が失われる

周波数の特徴:

  • 典型的には初めに4kHzで発症し、曝露が続くにつれて次第に低周波・高周波へ波及する
  • 感音難聴の他の大部分の原因と異なり、8kHzの方が4kHzより軽度のことがある
  • 難聴が確認できる前でも、聴覚ニューロンと有毛細胞をつなぐシナプスの損傷(hidden hearing loss)が起こりうる

【実務・条文構造】

騒音障害防止のためのガイドライン(令和5年4月20日 基発0420第2号で改訂。平成4年10月1日付け基発第546号の旧ガイドラインは廃止)の主な内容:

項目内容
作業環境測定等価騒音レベルの測定を6月以内ごとに1回、定期に行う
評価A測定平均値・B測定の値で第Ⅰ〜第Ⅲ管理区分に区分(いずれも85dB未満なら第Ⅰ、90dB以上を含めば第Ⅲ)
第Ⅱ管理区分標識による明示、作業環境の改善に努める、必要に応じ聴覚保護具を使用させる
第Ⅲ管理区分標識による明示、作業環境の改善、聴覚保護具を使用させた上で使用状況を管理者に確認させ、見やすい場所に掲示
雇入れ時等の健康診断オージオメータによる250・500・1,000・2,000・4,000・6,000・8,000Hzの聴力の検査など
定期健康診断6月以内ごとに1回。1,000Hz(30dB)と4,000Hz(25dB・30dB)の選別聴力検査など
記録健康診断の結果は記録して5年間保存し、定期健康診断の結果は所轄労働基準監督署長に報告

作業時間の目安: 作業環境の改善措置を講じても第Ⅰ管理区分とならない場合などは、等価騒音レベル85dBで1日8時間、90dBで2時間30分などの許容基準を参考に、騒音作業に従事する時間の短縮を検討します。

【試験での位置づけ】

騒音性難聴の問題では「感音性難聴(内耳・コルチ器の有毛細胞)」「最初に障害されるのは4kHz(4,000Hz)」「85dBを超える騒音への長期間の曝露で徐々に進行する」が基本の3点です。イの「低音域から障害」・エの「8,000Hzが最初」はどちらも周波数を誤らせる引っかけです。アの「耳小骨損傷」は中耳の病変による伝音難聴との混同です。オは、単回の極端な騒音による音響外傷と、長期間の曝露による騒音性難聴を取り違えています。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 伝音難聴の原因には、耳垢・異物・外耳炎による外耳道の閉塞などがあります。耳あかの蓄積は治療可能な難聴の最も一般的な原因です。
  • イ: 騒音性難聴は4kHzから始まり、曝露が続くと低周波・高周波の両方へ広がります。騒音障害防止のためのガイドラインの定期健康診断では、1,000Hzと4,000Hzの選別聴力検査を行います。
  • エ: 加齢に伴う難聴(老人性難聴)では、低周波の音よりも高周波の音を聞き取る能力が制限されます。騒音性難聴では8kHzが4kHzより軽度のことがあり、この点が他の大部分の感音難聴と異なります。
  • オ: 騒音性難聴になりやすさには若干の個人差がありますが、十分に大きい騒音に十分な時間曝されれば、ほぼ全ての人がいくらかの聴力を損ないます。音響外傷による難聴は通常1日以内に消失しますが、内耳のわずかな損傷が後年の加齢に伴う難聴を促進することがあります。

【根拠】MSDマニュアル プロフェッショナル版「難聴」、MSDマニュアル家庭版「難聴」、騒音障害防止のためのガイドライン(令和5年4月20日 基発0420第2号 別添・別紙1)。

【補足】騒音性難聴は感音性難聴で、大きい騒音に繰り返し曝されるとコルチ器の有毛細胞が失われる。最初に障害されるのは4kHz。85dBを超える騒音への慢性的な曝露で徐々に進行する。低音域から障害・8,000Hzが最初・単回の騒音でのみ起こる、はすべて誤り。

この問題の根拠根拠: MSDマニュアル プロフェッショナル版「難聴」、MSDマニュアル家庭版「難聴」、騒音障害防止のためのガイドライン(令和5年4月20日 基発0420第2号 別添・別紙1)。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: MSDマニュアル プロフェッショナル版「難聴」、MSDマニュアル家庭版「難聴」、騒音障害防止のためのガイドライン(令和5年4月20日 基発0420第2号 別添・別紙1)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

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  • 頻出度A

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