共同親権(離婚後の親権)に関する民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)を、民法の条文で整理します。施行日(令和8年4月1日)、親権者の定め方(819条)、親権の共同行使と単独行使(824条の2)、施行前に離婚していた場合の附則を確認し、行政書士試験の基準日との関係も書きます。
目次
結論:「共同親権」は、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)で、離婚後の親権の定め方が変わったことを指して使われる呼び名です。この法律は令和8年4月1日に施行されました(法務省公表)。改正後の民法819条1項は、協議上の離婚のとき、その協議で父母の双方又は一方を親権者と定めます(改正前は「その一方」)。824条の2は、親権は父母が共同して行うことを原則とし、単独で行える場合を書いています。「共同親権」という語は民法の条文には書かれていません(e-Gov、2026-10-21 時点)。
この記事は、e-Govの民法(令和8年4月1日時点の内容と、2026-10-21 時点の現行の内容。この記事で使った条は、両方で同じ文でした)と、法務省が公表している改正法の特設ページ・法律本文をもとに、条文の言葉を整理したものです。個別の家族の事情への当てはめや、手続の進め方の助言はしません。個別の事情についての相談先の案内として、裁判所の家事事件のページがあります。
共同親権という言葉と、改正法の施行日
法務省の特設ページは、この改正を「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)」として載せ、「この法律は、令和8年4月1日に施行されます(令和7年10月31日閣議決定)」と書いています。法律本文の附則1条は、「公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」としており、その政令で定める日が、閣議決定された令和8年4月1日です。なお、附則1条にはただし書があり、附則16条から18条まで及び19条1項の規定は、公布の日から施行されています。本文で引く附則18条(周知)は、このただし書の対象です。
民法等の一部を改正する法律の施行日:令和8年4月1日(令和6年法律第33号。施行期日を定める政令は令和7年10月31日に閣議決定)。最終確認日:2026-10-21。出典:法務省 改正法の特設ページ・法務省 施行期日の閣議決定の資料。
令和8年4月1日以後の民法の条文を見ると、親権に関する規定は次の位置にあります。
| 条文 | 書かれていること |
|---|---|
| 818条2項 | 父母の婚姻中は、その双方を親権者とする |
| 819条 | 離婚・認知の場合の親権者(協議・裁判所の判断・変更) |
| 824条の2 | 親権の行使方法(共同行使と単独行使) |
| 824条の3 | 子の監護をすべき者(監護者)の権利義務 |
| 817条の12 | 親の責務(子の人格の尊重、互いに人格を尊重し協力する) |
| 766条の3 | 子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例 |
親権者の定め方:民法819条
改正で変わったのは、離婚のときに親権者をどう定めるかです。法律本文は、819条1項の「一方」を「双方又は一方」に、「定めなければならない」を「定める」に改めています。
| 項 | 改正前 | 令和8年4月1日以後の条文 |
|---|---|---|
| 1項(協議上の離婚) | 協議で、その一方を親権者と定めなければならない | 協議で、その双方又は一方を親権者と定める |
| 2項(裁判上の離婚) | 裁判所が、父母の一方を親権者と定める | 裁判所が、父母の双方又は一方を親権者と定める |
| 3項(子の出生前の離婚) | 親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる | 親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父母の双方又は父を親権者と定めることができる |
| 4項(父が認知した子) | 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う | 父が認知した子に対する親権は、母が行う。ただし、父母の協議で、父母の双方又は父を親権者と定めることができる |
改正前の欄は、法律本文の改め文から読み取った形です(当サイトの整理)。令和8年4月1日以後の欄は、e-Govの民法819条です。
協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができます(5項)。
裁判所が判断するとき(7項)
裁判所は、2項・5項・6項の裁判で、父母の双方を親権者と定めるか一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければなりません。この場合に、次のいずれかに該当するときその他の父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければなりません。
- 1号:父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき
- 2号:父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(暴力等)を受けるおそれの有無、協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき
「次のいずれかに該当するときその他の」と書かれているので、条文は1号・2号だけに限っていません。また、離婚の届出は、夫婦間に成年に達しない子がある場合には、親権者の定めがされていること、又は親権者の指定を求める家事審判・家事調停の申立てがされていることを認めた後でなければ、受理することができません(765条1項)。
親権者の変更(6項・8項)
6項は、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる、と書いています。8項は、父母の協議により定められた親権者を変更することが必要かを判断するときに、協議の経過、その後の事情の変更その他の事情を考慮するものとし、協議の経過では、暴力等の有無、家事事件手続法による調停の有無、裁判外紛争解決手続の利用の有無、協議の結果についての公正証書の作成の有無その他の事情をも勘案する、と書いています。
親権の共同行使と単独行使:民法824条の2
824条の2は、親権の行使の仕方を定めます。
| 項 | 条文の内容 |
|---|---|
| 1項本文 | 親権は、父母が共同して行う |
| 1項ただし書 | 次のときは、その一方が行う。1号 その一方のみが親権者であるとき。2号 他の一方が親権を行うことができないとき。3号 子の利益のため急迫の事情があるとき |
| 2項 | 父母は、その双方が親権者であるときであっても、1項本文の規定にかかわらず、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独ですることができる |
| 3項 | 特定の事項に係る親権の行使(1項ただし書又は2項により一方が単独で行えるものを除く)について、父母間に協議が調わない場合で、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、父又は母の請求により、その事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができる |
ここで押さえたいのは、条文の構造です。原則は共同行使で、例外が1項ただし書の3つと2項の日常の行為、そして3項の家庭裁判所の定めです。「急迫の事情」(1項3号)と「監護及び教育に関する日常の行為」(2項)の意味は、条文には書かれていません。改正法の附則18条は、新民法819条各項の親権者の定め方、824条の2第1項3号の急迫の事情の意義、同条2項の監護及び教育に関する日常の行為の意義その他の規定の趣旨・内容について、政府が国民に周知を図るものとする、としています。
824条の3は、766条の規定により定められた子の監護をすべき者は、820条から823条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有し、その場合に子の監護及び教育、居所の指定及び変更並びに営業の許可、その許可の取消し及びその制限を単独ですることができる、と書いています。
親の責務と、子の監護に要する費用
817条の12は、父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともにその子の年齢及び発達の程度に配慮してその子を養育しなければならず、かつ、その子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない(1項)、父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならない(2項)、と書いています。
766条の3は、父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合に、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものが、他の一方に対し、離婚の日から一定の日のいずれか早い日までの間、毎月末に、費用の分担として法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求できる、という内容です。ただし、支払う側(他の一方)が、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと、又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができます(1項ただし書)。一定の日は、1号 父母がその協議により分担の定めをした日、2号 分担についての審判が確定した日、3号 子が成年に達した日、の3つです。家庭裁判所は、この債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができます(3項)。金額の算定方法は法務省令に委ねられており、法務省の特設ページは、関係する省令(令和7年法務省令第56号)が令和7年12月12日に制定・公布されたと載せています。
施行前に離婚していた場合:附則の整理
改正法の附則は、施行日(令和8年4月1日)の前後で、何が適用されるかを定めています。主なものを表にします(当サイトの整理)。
| 附則 | 内容 |
|---|---|
| 2条 | 新民法の規定は、附則に特別の定めがある場合を除き、法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前の民法の規定により生じた効力を妨げない |
| 3条2項 | 新民法766条の3の規定は、施行日前に離婚し、婚姻が取り消され、又は認知した場合については、適用しない |
| 4条 | 施行日前に離婚し、又は婚姻が取り消された場合の財産分与の請求期間の制限は、なお従前の例による |
| 5条 | 離婚の訴えに係る一定の事件(施行日前に控訴審の口頭弁論が終結したもの、又は第一審判決に対して上告権を留保して控訴しない旨の合意をしたもの)の離婚事由は、なお従前の例による |
| 6条 | 施行日前に旧民法819条6項によりされた親権者の変更の請求(施行日前に審判が確定したものを除く)は、施行日以後は、新民法819条6項によりされた親権者の変更の請求とみなす |
附則2条は、「原則は新法を過去の事項にも適用する」「ただし、旧法で生じた効力は妨げない」という二段の書き方です。そのうえで、個別の例外(3条2項・4条・5条)が置かれています。「施行日前に離婚している場合は一律に旧法」という読み方ではないので、条文の順に読む必要があります。
親権者の変更については、法務省の施行期日の資料が附則6条を取り上げ、施行日前にされた親権者変更の申立てについて、家庭裁判所が判断をする時期が施行日後となる場合には、単独親権から共同親権への変更が可能と書いています。
法務省の特設ページには、関係府省庁等連絡会議が作成したQ&A形式の解説資料(民法編)も載っています。個別の事案が新法・旧法のどちらになるかは、この記事では判断しません。
行政書士試験との関係:基準日は令和8年4月1日
行政書士試験研究センターの令和8年度の試験案内は、試験日を令和8年11月8日(日)の午後1時から午後4時までとし、「行政書士の業務に関し必要な法令等」の科目について、憲法、行政法、民法、商法及び基礎法学の中から出題し、法令については「令和8年4月1日現在施行されている法令」に関して出題する、と書いています(試験案内)。
令和8年度行政書士試験の日と法令の基準日:試験日は令和8年11月8日(日)午後1時〜午後4時。法令科目は令和8年4月1日現在施行されている法令に関して出題。最終確認日:2026-10-21。出典:行政書士試験研究センター 試験案内。
改正法の施行日も令和8年4月1日です。つまり、この基準日に施行されている民法として、改正後の親権の規定(818条・819条・824条の2・824条の3・817条の12・766条の3など)が範囲に入ります。問われ方や、どの条文が出るかは、センターは公表していません。この記事は、条文の言葉を正確に読むための整理です。
学習のとき、押さえておく言葉を表にします(当サイトの整理)。
| 言葉 | 条文上の位置 |
|---|---|
| 双方又は一方 | 819条1項・2項(親権者の定め) |
| 共同して行う | 824条の2第1項本文 |
| 単独で行う場合 | 824条の2第1項ただし書の3つ、2項の日常の行為、3項の家庭裁判所の定め |
| 暴力等 | 819条7項2号の定義(身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動) |
| 監護者 | 766条で定める「子の監護をすべき者」。権利義務は824条の3 |
まとめ
- 「共同親権」は、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)による離婚後の親権の定め方の変更を指す呼び名で、民法の条文には書かれていない。法務省は、施行日を令和8年4月1日と公表している
- 819条1項・2項は、離婚のとき父母の「双方又は一方」を親権者と定める。家庭裁判所・裁判所の判断では、7項が子の利益のための考慮事項と、一方を親権者と定めなければならない場合を書いている
- 824条の2は、親権は父母が共同して行うのが原則で、例外は1項ただし書の3つ、2項の日常の行為、3項の家庭裁判所の定め。「急迫の事情」「日常の行為」の意義は条文に書かれておらず、附則18条が周知の対象としている
- 施行前の事項については、附則2条が原則と例外を、3条2項・4条・5条・6条が個別の扱いを書いている
- 令和8年度の行政書士試験は、令和8年4月1日現在施行されている法令が基準。条文は必ずe-Govの民法で確かめる
本サイトは一般財団法人 行政書士試験研究センターとは関係ありません。掲載している問題は、過去の出題論点をもとに合格ナビが作成した論点別問題で、公式の試験問題ではありません。条文は、必ず e-Gov 法令検索の最新の内容で確認してください。この記事は一般的な制度の説明であり、個別の家族の事情についての法的助言ではありません。
参照した一次ソース
- e-Gov法令検索 民法(765条・766条の3・817条の12・818条・819条・824条の2・824条の3)
- 法務省 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について(令和8年4月1日施行・省令の制定)
- 法務省 民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)の法律本文(附則1条〜6条・16条〜19条)
- 法務省 施行期日の閣議決定の資料
- 行政書士試験研究センター 令和8年度試験案内
よくある質問
Q「共同親権」という言葉は、民法の条文に書かれていますか?
民法の条文には「共同親権」という語の記載がありません(e-Gov、令和8年4月1日時点の民法と2026-10-21 時点の現行の民法の両方。2026-10-21 確認)。条文の言葉は、離婚のときに父母の「双方又は一方」を親権者と定める(819条1項・2項)、親権は父母が共同して行う(824条の2第1項本文)、です。
Q令和8年4月1日以後に離婚すると、必ず父母の双方が親権者になるのですか?
いいえ。819条1項は、協議上の離婚のときは、その協議で父母の「双方又は一方」を親権者と定める、と書いています。協議が調わないときなどは、家庭裁判所が審判をすることができます(5項)。裁判上の離婚では、裁判所が双方又は一方を定めます(2項)。裁判所が判断するときは、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならず、7項1号・2号に当たるときその他父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、一方を親権者と定めなければなりません。個別の事案への当てはめは、この記事ではしません。
Q「急迫の事情」や「日常の行為」は、条文で定義されていますか?
824条の2の条文には、「急迫の事情」(1項3号)と「監護及び教育に関する日常の行為」(2項)の定義の記載がありません(2026-10-21 時点)。改正法の附則18条は、この2つの意義を含め、改正後の規定の趣旨及び内容について、政府が国民に周知を図るものとする、と書いています。具体的な内容は、法務省の公表資料で確かめてください。
Q令和8年度の行政書士試験の民法は、改正後の親権の規定が基準になりますか?
試験案内(一般財団法人 行政書士試験研究センター)は、令和8年度の試験日を令和8年11月8日(日)とし、法令科目は「令和8年4月1日現在施行されている法令」に関して出題する、と書いています。改正法の施行日も令和8年4月1日なので、この日に施行されている民法が基準です。何がどの形で出題されるかは、公表されていません。
Q親権者を決めたあとで、変更することはできますか?
819条6項は、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる、と書いています。父母の協議で定めた親権者の変更が必要かどうかを判断するときの考慮事項は、8項に書かれています。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月21日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

