問題
地方自治法に定める地方公共団体の長と議会の関係(再議・不信任議決・解散)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
エが正しい記述です。地方自治法178条に基づく長と議会の関係を整理します。①議会が不信任の議決を行う(要件:議員総数の3分の2以上出席・出席議員の4分の3以上の同意)→②長は10日以内に議会を解散することができる→③解散しなかった場合または解散後の選挙を経て再構成された議会が再度不信任議決を行った場合(この場合は出席議員の過半数の同意で足りる)→④長は失職する。エの記述(10日以内の解散権・再度の不信任議決で失職)はこの手続きを正確に説明しています。ウは「過半数出席・3分の2以上の同意」としていますが、不信任議決の要件は「議員総数の3分の2以上の出席・出席議員の4分の3以上の同意」であり、数字が誤りです。オは「自由解散権」を認めていますが、長には自由解散権はなく、解散できるのは不信任議決があった場合のみです。
長と議会の関係における主要規定を整理します。再議(ア・イの関連): 長が議会の議決に異議がある場合、理由を示して再議に付することができます(地自法176条1項)。これを「一般的拒否権(一般再議)」といいます。再議は議決が違法な場合に限られず、議決に異議があれば付することができるため、「違法であると認めるときに限り」とするアは誤りです。再議に付された議決と同じ議決がされたときは、その議決は確定します(同条2項)が、条例の制定改廃・予算に関する再議決には出席議員の3分の2以上の同意が必要です(同条3項)。予算の再議決が「出席議員の過半数」で確定するとするイは誤りです。不信任議決と解散権(ウ・エ・オの関連): 不信任議決の要件は「議員総数の3分の2以上の出席・出席議員の4分の3以上の同意」です(地自法178条3項)。ウは「過半数出席・3分の2以上同意」としており数字が誤りです。長の解散権は「10日以内」(地自法178条1項・エ正しい)。解散後の選挙で構成された議会が再度不信任議決をした場合は「出席議員の過半数の同意」で足り(再議決の要件緩和)、長は失職します(地自法178条2項・3項・エ正しい)。長の自由解散権(オ誤り): 長には一般的な自由解散権はありません。解散できるのは不信任議決があった場合のみ(地自法178条)。これは国会の解散権(内閣の69条解散・7条解散が認められている)と異なる地方自治法の特徴です。
【理論的背景】
地方自治法における長と議会の関係は、「二元代表制」(長と議会の双方が住民によって直接選挙される)を採用しています。これは国会・内閣の「議院内閣制(内閣は議会の信任に基づく)」と根本的に異なります。二元代表制では、長と議会の両方が住民から直接の民主的正当性を得るため、長は議会の不信任にも対抗できる解散権を持ちます。一方、長に自由解散権を認めると議会を恣意的に解散できてしまうため、解散権は「不信任議決があった場合に限る(178条)」に限定されています(オが誤りとなる理由)。長が解散権を行使して選挙で再構成された議会が再度不信任議決を行った場合、それは住民の意思が「長より議会の立場を支持する」と判断されたとみなし、長は失職します(民主的正当性の再確認)。
【実務・条文構造】
長・議会の関係の主要条文を体系的に整理します。①長の一般的拒否権・任意的再議(176条1項〜3項): 長の不服による再議。再議に付された議決と同じ議決がされればその議決は確定し、条例の制定改廃・予算に関する議決は出席議員の3分の2以上の同意が必要。②権限超過・違法議決等の義務的再議(176条4項〜8項): 議決・選挙が権限を超え又は法令・会議規則に違反すると認めるとき、長は再議に付し又は再選挙させなければならず、なお違反するときは総務大臣・知事への審査申立て・出訴ができる。③義務費等の削除減額への義務的再議(177条): 義務費・非常災害費等を議会が削除・減額した場合の再議。④不信任議決と長の解散権(178条): 不信任議決の要件(議員総数の3分の2以上出席・出席議員の4分の3以上同意)→10日以内に長が解散可→解散後の議会再構成→再度の不信任議決(出席議員の過半数で足りる)→長失職。⑤専決処分(179条): 議会が議決すべき事項を議決しない場合等に長が専決処分できる。再議の「3分の2以上」と不信任議決の「4分の3以上」という数字の区別が試験の核心です。
【試験での位置づけ】
長と議会の関係は行政書士試験の頻出論点です。特に「不信任議決の要件(3分の2出席・4分の3同意)」「10日以内の解散権」「再度の不信任で長失職」「長に自由解散権なし(不信任解散のみ)」の4点が毎年問われます。再議の「条例・予算は出席議員の3分の2以上の同意で同じ議決→確定」も頻出です。国の議院内閣制(内閣の解散権・69条解散・7条解散)と地方の二元代表制(不信任解散のみ)の対比も意識してください。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 176条1項は「議会の議決について異議があるとき」に再議を認めており(一般的拒否権)、違法な場合に限られません。なお議決が権限を超え又は法令・会議規則に違反すると認めるときの再議(176条4項)は「再議に付し…なければならない」義務的再議で、一般的拒否権とは別規定です。
- イ(誤): 再議に付された議決と同じ議決がされればその議決は確定します(176条2項)が、予算に関する再議決には出席議員の3分の2以上の同意が必要です(同条3項)。「出席議員の過半数」で確定するとする点が誤りです。
- ウ(誤): 不信任議決の要件は「議員総数の3分の2以上の出席・出席議員の4分の3以上の同意」(地自法178条3項)。ウの「過半数出席・3分の2以上同意」は数字が誤りです。なお解散後の議会による再度の不信任議決は「出席議員の過半数」で足ります(同条3項後段)が、最初の不信任議決の要件と混同させる引っかけです。
- エ(正・正答): 不信任議決後の解散権(10日以内)と再度の不信任議決による長の失職という手続きを正確に一貫して説明しています。
- オ(誤): 長に自由解散権はありません。解散権は不信任議決があった場合(178条)のみ。国の内閣が持つ7条解散(任意解散)のような制度は地方自治法にはありません。
【根拠条文】
地方自治法 第176条(長の拒否権・一般的再議)、第178条(不信任議決と長の解散権・失職)
【補足】
「不信任議決=3分の2以上出席・4分の3以上同意」「解散権行使は10日以内」「再度の不信任(過半数)→長失職」「長に自由解散権なし(不信任解散のみ)」の4点セットを正確に暗記。再議の3分の2と不信任の4分の3の数字を混同しないこと。
- 地方自治法第178条・第176条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 地方自治法 第176条(再議)、第178条(不信任議決と長の解散・失職) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

