行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 商法・会社法 問66|累積投票・役員選任の特則

問題

行政書士 | 商法・会社法

取締役の選任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

取締役の選任・解任・累積投票が問われています。イが正しい。取締役の解任は原則として普通決議で可能であり、正当な理由なく解任した場合は会社が損害賠償責任を負います(339条2項)。ただし、正当な理由がある解任(例:不正行為・職務怠慢)では損害賠償は不要です。アは誤りで、定款に一括選任の排除を定めている場合もあり得ます。エは誤りで、累積投票は定款で廃除することができます(342条1項)。ウは誤りで、累積投票の請求は株主総会の日の5日前までにしなければならず(342条2項)、2週間前ではありません。オは誤りで、1株につき選任する取締役の数と同数の議決権を有するため(342条3項)、100個×2人=最大200個であり、300個ではありません。

取締役選任の決議(341条):取締役の選任は普通決議が原則(341条:定足数は議決権の過半数・定款で3分の1まで緩和可・出席議決権の過半数で選任)。一括選任か個別選任かは原則として株主総会の判断(ただし、定款に定めがある場合や、累積投票請求がある場合は342条3項・4項の方法(投票の最多数を得た者から順次選任)による)。アの「定款の定めを問わず株主総会の判断で決定できる」は誤り(定款の定めが優先)。累積投票(342条):342条1項「株式会社は、2人以上の取締役の選任について、累積投票による選任を請求することができる旨を定款に定めることができる」とは規定していない実際は、定款で累積投票を「廃除する」ことができる(342条1項:「定款に別段の定めがあるときを除き」)。つまり,会社法は累積投票を原則として株主が請求できるものとし,定款による廃除を許容しています。エの「廃除できない」は誤りです。累積投票の議決権数(342条3項):株主は1株につき選任する取締役の数と同数の議決権を持ち、1人のみに又は2人以上に投票できます(100個×2人=200個であり、300個とするオは誤り)。請求の期限(342条2項):累積投票の請求は株主総会の日の5日前までにしなければなりません(2週間前とするウは誤り)。解任と損害賠償(339条):339条1項(解任は普通決議)・339条2項(正当な理由なき解任→損害賠償):イ正しい。

【理論的背景:累積投票の意義と少数株主の利益保護】

累積投票(cumulative voting)は少数株主が自己の支持する取締役候補を選任する機会を確保するための制度です。通常の多数決選任では「議決権51%以上を保有する多数株主が全取締役を選任できる」ため、少数株主(49%以下)は取締役選任に全く影響を与えられません。累積投票では「保有議決権×選任人数」の議決権が付与されるため、少数株主も特定の候補者に票を集中させることで当選させる可能性が高まります。例えば、選任人数3人・総議決権1000個(多数派700・少数派300)の場合、通常選任では少数派候補は当選不可ですが、累積投票では少数派は900票を1人に集中できるため当選の可能性があります。ただし日本の実務では多くの会社が定款で累積投票を廃除しているため(342条1項)、制度として認知されていても利用頻度は低いのが実状です。

【条文構造:341条・342条・339条の関係】

会社法341条(取締役の選任の決議):「役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない」(普通決議の特別版:定足数の緩和下限が設定された特則)。会社法342条1項(累積投票):「株主(中略)は、定款に別段の定めがあるときを除き、株式会社に対し、第三項から第五項までに規定するところにより取締役を選任すべきことを請求することができる」(定款で廃除可)。342条2項(請求期限):「株主総会の日の五日前までにしなければならない」。342条3項(累積投票の議決権数):「株式一株(中略)につき、当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる」。342条4項:「投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする」。会社法339条(解任・損害賠償):339条1項(解任は341条の決議→普通決議)・339条2項「前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」。

【試験での位置づけ:行政書士試験における取締役選任・解任・累積投票の頻出論点】

行政書士試験での取締役選任・解任・累積投票の典型的な問われ方は①選任・解任は普通決議(ただし定足数の特則がある:341条)、②正当な理由なき解任による損害賠償(339条2項)、③累積投票の廃除(定款で廃除可:342条1項)、④累積投票の議決権計算(保有数×選任人数)の4点が典型です。エの「累積投票は定款で廃除不可(誤り:廃除可)」とイの「正当な理由なき解任→損害賠償(正しい)」が典型的な対比問題です。なお累積投票の利用は現実的に少ないですが、試験上は342条の仕組みとして確実に押さえる必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り(不正確)。一括選任か個別選任かは、定款に定めがある場合はそれに従う。累積投票請求があれば342条の方法による(342条3項・4項:累積投票では投票の最多数を得た者から順次選任)。「定款の定めを問わず株主総会の判断で決定できる」という絶対的な記述は誤り。
  • エ: 誤り。342条1項は「定款に別段の定めがある場合を除き(定款で廃除可)」と明記。多くの実務会社が定款で累積投票を廃除している。「廃除することはできない」は342条1項に反する誤り。
  • ウ: 誤り。累積投票の請求は342条1項により定款に別段の定めがない限り持株数の要件なく請求できるが、342条2項により「株主総会の日の五日前までに」しなければならない。「2週間前まで」とする点が誤り。
  • イ: 正しい。339条1項(解任は普通決議:341条の決議)・2項(正当な理由なき解任→会社の損害賠償責任)の正確な内容。損害賠償の内容は「解任によって生じた損害」であり、残任期間の報酬相当額が典型。
  • オ: 誤り。342条3項により1株につき選任する取締役の数と同数の議決権を有するため、議決権100個・選任2人なら最大200個(100個×2人)であり、300個ではない。1人のみに集中して投票することも、2人以上に分けて投票することもできる。

【根拠条文】

会社法 第339条第1項・第2項(取締役の解任・普通決議・正当な理由なき解任の損害賠償)

会社法 第341条(取締役選任の普通決議要件・定足数特則)

会社法 第342条第1項〜第4項(累積投票・定款廃除可・請求期限5日前・議決権計算・最多数順の選任)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第339条(取締役の解任・損害賠償)、会社法第342条(累積投票・定款廃除可)、会社法第341条(取締役選任の普通決議要件) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。