行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 民法 問17|占有権・占有の態様

問題

行政書士 | 民法

占有に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

エが誤りです。有益費の償還(民196条2項)は善意占有者に限らず、悪意占有者も請求できます(価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い支出額または増価額)。悪意占有者に対しては、裁判所が回復者の請求により償還に相当の期限を許与できるにとどまります。アは正しく(民186条1項・占有の態様の推定)、イは正しく(民189条・190条・善意占有者は果実取得・悪意占有者は果実返還)、ウは正しく(民196条1項・必要費は善意・悪意問わず償還請求可)、オは正しく(民197条〜201条・占有の訴えは3種類)です。

エが誤りです。民法196条2項本文は「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる」と規定しています。主語は単に「占有者」であり、善意・悪意を問いません。善意占有者に限られるという記述は誤りです。なお、同項ただし書は「悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる」と定めますが、これは悪意占有者に対する支払時期の特則であり、悪意占有者の請求権そのものを否定するものではありません。

ア:正しい。民法186条1項は「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する」と規定しています。占有の態様(自主占有・善意・平穏・公然)はすべて推定されます。

イ:正しい。民法189条(善意占有者の果実取得権)・190条(悪意占有者等の果実返還義務)の対比として、善意占有者は果実を取得できるが、悪意占有者は取得した果実を返還しなければなりません。

ウ:正しい。必要費(物の保存のための費用)は善意・悪意を問わず回復者から償還させることができます(民196条1項本文)。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は占有者の負担となります(同項ただし書)。

オ:正しい。占有訴権は①占有回収の訴え(民200条・占有の侵奪に対する返還請求)、②占有保持の訴え(民198条・占有の妨害に対する妨害停止・損害賠償請求)、③占有保全の訴え(民199条・妨害の危険に対する予防・担保請求)の3種類です。

【理論的背景】

占有権は、物に対する事実上の支配状態(占有)を法律が保護する権利です。真の権利者でない者でも、占有という事実状態を持つことで一定の法的保護(占有訴権・果実の取得・費用償還等)が与えられます。これは取引安全の観点と、現実の物的秩序の維持という二つの目的から設けられています。

占有の法的保護は、占有者が善意か悪意か(占有している権利がないことを知っているか)によって差異があります。特に果実収取権(善意占有者のみ)と費用償還(必要費=善意悪意問わず・有益費=善意悪意問わずだが悪意占有者には期限許与の特則あり)の区別が試験の核心です。

【条文構造】

占有者と回復者の関係(民189条〜196条):

[果実]

  • 善意占有者(民189条1項):果実を取得できる
  • 悪意占有者(民190条):果実を返還(または価格償還)

[費用]

  • 必要費(民196条1項):善意・悪意問わず償還請求可。ただし占有者が果実を取得したときは通常の必要費は占有者負担
  • 有益費(民196条2項):善意・悪意問わず償還請求可。ただし
    • 価格の増加が現存する場合に限る
    • 回復者の選択(支出額 or 増価額)による
    • 悪意占有者に対しては、裁判所が回復者の請求により相当の期限を許与できる(民196条2項ただし書)

占有訴権(民197条〜202条):

  • 占有保持の訴え(民198条):現在の妨害の停止・損害賠償
  • 占有保全の訴え(民199条):妨害の危険に対する予防・担保
  • 占有回収の訴え(民200条):侵奪に対する物の返還

【試験での位置づけ】

行政書士試験の占有論点は、①善意・悪意占有者の果実取得の差異、②必要費・有益費の償還ルール、③占有訴権の3種類の区別が頻出です。特に「有益費は善意占有者のみ」という誤りが典型的な引っかけとして出題されます(正しくは善意・悪意問わず)。また「占有訴権は本権訴訟と分離している」という特徴(本権(所有権等)の有無は占有訴権に影響しない)も出題されます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 民186条の推定は「取得時効(民162条)」の文脈でも重要。自主占有(所有の意思をもった占有)が推定されるため、相手方が他主占有(賃借等)であることを立証しなければ取得時効の主観要件を争えない。
  • イ: 善意占有者の果実取得権(民189条)は、たとえ後に悪意となっても悪意となる前の果実については取得済みとして処理。悪意占有者は「収取した果実」と「過失により収取しなかった果実の代価」を返還する義務を負う(民190条)。
  • ウ: 必要費の償還(民196条1項本文)は、物の保存のための支出であり、回復者が本来すべき支出であるため、善悪を問わず認められる。典型例:建物の雨漏り修繕費。ただし果実を取得した占有者は通常の必要費を自ら負担する(同項ただし書)。
  • エ: 正答(誤りの選択肢)。有益費(民196条2項)は善意・悪意問わず償還請求可。ただし書の期限許与は、悪意占有者に対して回復者の支払時期を猶予する特則であって、悪意占有者の請求権を否定するものではない。典型例:庭の整備・設備の追加等。
  • オ: 占有の訴えは「本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない」(民202条1項)とされ、本権訴訟と独立して機能する。「他人のために占有をする者」(賃借人等)も占有の訴えを提起できる(民197条後段)。ただし占有訴権の訴えの本案において、本権の訴えに基づいて裁判することは許されない(民202条2項)。

【根拠条文】

民法 第186条(占有の態様等の推定)、第189条(善意の占有者による果実の取得等)、第190条(悪意の占有者による果実の返還等)、第196条(占有者による費用の償還請求)、第197条〜第202条(占有の訴え)

【補足】

有益費の償還(民196条2項)は善意・悪意問わず認められる。「有益費は善意占有者のみ」が典型的な誤りパターン。悪意占有者に対する「期限許与」特則(196条2項ただし書)は支払時期の猶予であって、悪意占有者の権利否定ではない。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第186条(占有の態様等の推定)、第189条〜第191条(占有者と回復者の関係)、第197条〜第202条(占有の訴え) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。