測量士補

測量士補 水準測量 問7出典: 令和5年度 問12

問題

測量士補 | 水準測量 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-19

図12は,水準測量における観測の状況を示したものである。標尺の長さは3 mであり,図12のように標尺がレベル側に傾いた状態で測定した結果,読定値が1.500 mであった。標尺の上端が鉛直に立てた場合と比較してレベル側に水平方向で0.210 mずれていたとすると,標尺の傾きによる誤差は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 【図参照】問題の概要: レベル(左)と標尺(右)の配置。標尺が鉛直から傾いており,上端がレベル方向(左)に0.210 m水平にずれている状態。

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は 1
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

標尺が傾いたときの読定誤差を求める計算問題(令和5年度 問12)。正答は(1)「4 mm」です。

【考え方】

標尺が傾くと,水平な視準線と標尺の交点(読定値)は,鉛直に立てたときの交点よりも低くなります。その差が「傾きによる誤差」です。

【計算手順】

傾き角θを求めます:

標尺の長さ L = 3 m,上端の水平ずれ d = 0.210 m

sinθ = d/L = 0.210/3 = 0.070

cosθ = √(1 − sin²θ) = √(1 − 0.0049) = √0.9951 ≈ 0.9975

傾いた標尺での読定値 r = 1.500 m に対し,真の鉛直高さは:

真値 = r × cosθ = 1.500 × 0.9975 ≈ 1.4963 m

誤差 = 読定値 − 真値 = 1.500 − 1.4963 = 0.0037 m ≈ 4 mm

傾きによって読定値が4 mm大きく(過大に)読まれたことになります。

【標尺傾斜誤差の計算詳解】(令和5年度 問12)

【問題設定の整理】

  • 標尺長さ:L = 3.000 m
  • 観測された読定値(傾いた状態):r = 1.500 m
  • 上端の水平ずれ:d = 0.210 m
  • 求めるもの:傾きによる読定誤差 Δr

【傾き角の計算】

標尺が鉛直に立てた場合と比べて上端が水平方向に0.210 mずれた場合:

sinθ = 0.210 / 3.000 = 0.0700

cosθ = √(1 − 0.0700²) = √(1 − 0.00490) = √0.99510

巻末関数表を参照:sin θ = 0.0700 ≈ sin4°01′

cos(4°01′) ≈ 0.9975

【誤差の計算】

水平な視準線に対し,傾いた標尺の目盛りが示す真の鉛直高さは,読定値にcosθを乗じた値:

真の鉛直読定値 = r × cosθ = 1.500 × 0.9975 = 1.49625 m

誤差 Δr = r(読定値)− r × cosθ = r(1 − cosθ)

= 1.500 × (1 − 0.9975)

= 1.500 × 0.0025

= 0.00375 m ≈ 4 mm(正答(1))

【別解:近似式による計算】

cosθ ≈ 1 − θ²/2(θが小さい場合の近似)

θ ≈ sinθ = 0.0700 rad

Δr ≈ r × θ²/2 = 1.500 × 0.0700²/2 = 1.500 × 0.00245 = 0.00368 m ≈ 4 mm

【誤答パターン】

  • 選択肢(4)20 mm:d × r/L = 0.210 × 1.500/3 = 0.105…等,誤った比例計算
  • 選択肢(2)10 mm:sin差を使った誤計算
  • 正解へのキー:r(1−cosθ)の公式を確実に使えること

【標尺傾斜誤差の幾何学的証明と水準測量精度への影響】(令和5年度 問12)

【厳密な幾何学的証明】

鉛直に立てた標尺の高さをhとし,標尺が角θだけ傾いた場合を考える。

標尺が傾いた状態での「読定値r」は,標尺の目盛に沿った長さ(斜辺方向)で測定される。水平視準線がこの傾いた標尺に交わる点をP,標尺の下端をO,水平視準線が鉛直標尺(仮想)と交わる点をQとする。

三角形の幾何学:

  • OPの標尺に沿った長さ = r(読定値)
  • Pの鉛直高さ(地面からの高さ) = r × cosθ
  • 鉛直な標尺での同じ鉛直高さrの読定値 = r(変わらない)

傾いた標尺での真の鉛直高さ = r × cosθ

誤差(読定値 − 真値) = r − r×cosθ = r(1−cosθ)

本問:1.500 × (1 − cos4°01′) = 1.500 × (1 − 0.99755) = 1.500 × 0.00245 ≈ 0.00368 m ≈ 4 mm

【誤差の一般化:傾き量dと標尺長Lの関係】

sinθ = d/L → cosθ = √(1 − d²/L²) ≈ 1 − d²/(2L²)(d<<L)

Δr ≈ r × d²/(2L²) = r × (0.210)²/(2 × 3²) = 1.500 × 0.0441/18 ≈ 0.00368 m = 3.7 mm ≈ 4 mm

この近似式から,傾き誤差は「水平ずれdの2乗に比例し,標尺長Lの2乗に反比例する」ことがわかる。したがって,傾きが小さい場合(d/L < 0.1程度)は誤差は小さく,傾きが大きいほど急速に誤差が増大する。

【標尺傾斜誤差の最小化と観測実務】

最小読定値の採用:標尺を振ったとき,最小値を採用する方法(「振り法」)。標尺を前後に傾けると読定値は必ず増加するため,最小値が鉛直時に最も近い値。

d/L比と誤差の数値例:

| 上端ずれ d (cm) | sinθ | cosθ | 誤差(r=1.5mの場合) |

|---|---|---|---|

| 5 cm | 0.0167 | 0.99986 | 0.2 mm |

| 10 cm | 0.0333 | 0.99944 | 0.8 mm |

| 21 cm(本問) | 0.0700 | 0.9975 | 3.7 mm |

| 30 cm | 0.1000 | 0.99499 | 7.5 mm |

1級水準測量の精度(0.5 mm/km)を確保するには,標尺の傾きを実質的にゼロに近づける必要があり,円形水準器を用いた整準が義務付けられている理由がここにある。

【測量士試験への接続】

測量士試験では,標尺傾斜誤差の公式Δr=r(1−cosθ)の導出,誤差伝播(複数測站の累積)の計算,水準路線全体への影響評価(km当たりの誤差)が問われる。また,電子レベル(バーコード標尺)では,読み取りが光学的であるため傾き誤差の挙動が異なる点も出題される。

この問題の根拠出典: 令和5年度 測量士補試験 問12(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和5年度 測量士補試験 問12(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。