問題
公共測量により,水準点Aから水準点Bまでの間で1級水準測量を実施し,表12に示す結果を得た。標尺補正を行った後の水準点A,B間の高低差は幾らか。最も近いものを次の 1 〜 5 の中から選べ。 ただし,観測に使用した標尺の標尺改正数は20℃において−6.2 μm/m,膨張係数は+0.6 × 10⁻⁶ /℃とする。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 【表12】 | 路線方向 | 観測距離 | 観測高低差 | 気温 | |---------|---------|------------|-----| | A → B | 1.80 km | +20.0000 m | 22℃ |
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
標尺補正の計算問題です。正答は2(+19.9999 m)。
標尺補正は,標尺の製造誤差と温度変化による長さの変化を観測値に加える補正です。
標尺改正数による補正
標尺改正数 = −6.2 μm/m(20℃基準)は,標尺1mあたり−6.2マイクロメートルの誤差があることを意味します。
気温22℃での補正量:標尺改正数 + 温度補正
温度差 = 22 − 20 = 2℃
温度補正 = +0.6 × 10⁻⁶ × 2 = +1.2 μm/m
総合補正率 = −6.2 + 1.2 = −5.0 μm/m = −5.0 × 10⁻⁶ m/m
観測高低差 20.0000 m に対する補正量:
20.0000 × (−5.0 × 10⁻⁶) = −0.0001 m
補正後の高低差 = 20.0000 − 0.0001 = 19.9999 m
正答は選択肢2(+19.9999 m)です。
標尺補正の詳細計算手順です。正答は2(+19.9999 m)。
標尺補正の計算式
補正後高低差 = 観測高低差 × (1 + K)
K = (標尺改正数) + (膨張係数) × (観測気温 − 基準気温)
各値の代入
- 標尺改正数 = −6.2 μm/m = −6.2 × 10⁻⁶ m/m
- 膨張係数 = +0.6 × 10⁻⁶ /℃
- 観測気温 = 22℃,基準気温 = 20℃,温度差 Δt = 2℃
温度による補正量 = 0.6 × 10⁻⁶ × 2 = 1.2 × 10⁻⁶ m/m
K = −6.2 × 10⁻⁶ + 1.2 × 10⁻⁶ = −5.0 × 10⁻⁶ m/m
補正量の計算
観測高低差 = 20.0000 m
補正量 = 20.0000 × (−5.0 × 10⁻⁶) = −0.00010 m = −0.1 mm
補正後の高低差
= 20.0000 + (−0.0001) = +19.9999 m
選択肢の比較:
- 1(19.9996 m):補正量 −0.4 mm(誤)
- 2(19.9999 m):補正量 −0.1 mm(正答)
- 3(20.0000 m):補正なし(誤)
- 4(20.0001 m):補正量 +0.1 mm(符号逆)
- 5(20.0003 m):補正量 +0.3 mm(誤)
標尺補正の技術的背景と精密水準測量への接続です。正答は2。
標尺補正の物理的意味
水準測量の標尺(インバール標尺・ガラス繊維複合標尺等)は熱膨張係数が小さいものが使われますが,製造時の寸法誤差(標尺改正数)と気温変化による長さ変化は避けられません。
標尺改正数(Correction of Scale)は,精密な比較検定(標尺検定)により求めます。−6.2 μm/m は基準20℃での1mあたりの誤差(実際は10 m毎の累積誤差として測定)。この誤差が観測高低差(= 積み上げた標尺読定値の差)にそのまま乗算されます。
精密計算での留意点
本問では観測距離 1.80 km を与えていますが,標尺補正の計算には観測距離でなく観測高低差の絶対値(20.0000 m)を用います。観測高低差は標尺の正面(目盛面)を視準して積み上げた合計値であり,標尺の伸縮は測定された高低差に直接乗算されます。
標尺補正の精度への影響
1級水準測量の精度要件:閉合差 ≤ 2.5mm √S(S: 観測距離km)
S = 1.80 km → 許容閉合差 ≤ 2.5√1.80 ≒ 3.35 mm
補正量 −0.1 mm は許容閉合差 3.35 mm に対して小さい値ですが,長距離路線での積み上がりでは無視できない誤差源となります。例えば S = 100 km の路線では補正量が −0.5 mm(K = −5 μm/m)× 1000 m/km × 100 km = −0.5 m と極めて大きくなるため,長距離幹線水準測量では必須の補正です。インバール標尺の膨張係数(約1.2 × 10⁻⁶ /℃)は普通鋼(12 × 10⁻⁶ /℃)の約1/10であり,精密水準測量ではインバール標尺の使用が義務付けられています。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和7年度 測量士補試験 問12(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

