測量士補

測量士補 多角測量 問11出典: 令和6年度 問5

問題

測量士補 | 多角測量 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-19

公共測量における 3 級基準点測量において,トータルステーションを用いて既知点から新点 A,新点 B の鉛直角を観測し,表 5 の結果を得た。新点 A,新点 B の高低角及び高度定数の較差の組合せとして最も適当なものはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 【表 5】 | 望遠鏡 | 視準点(測点) | 視準点(測標) | 鉛直角観測値 | |--------|--------------|--------------|------------| | r | A | 目標板 | 65°41′50″ | | l | A | 目標板 | 294°18′10″ | | l | B | 目標板 | 312°33′30″ | | r | B | 目標板 | 47°26′40″ | r:望遠鏡正方向での観測  目標板  l:望遠鏡反方向での観測

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答え合わせ

正解は 3
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

トータルステーションの正反観測から高低角と高度定数を求める問題です。正答は 3「+24°18′10″,+42°33′25″,較差10″」です。

高低角の求め方

鉛直角(天頂距離)から高低角(水平面からの仰俯角)を求めます。

  • 正方向(r)観測の鉛直角が 90° 未満 → 仰角(+)
  • 反方向(l)観測の鉛直角が 270° 超 → 仰角(+)

新点A:

  • 正(r): 65°41′50″ → 高低角 = 90° − 65°41′50″ = +24°18′10″
  • 反(l): 294°18′10″ → 高低角 = 294°18′10″ − 270° = +24°18′10″
  • 平均高低角 = +24°18′10″

新点B:

  • 反(l): 312°33′30″ → 高低角 = 312°33′30″ − 270° = +42°33′30″
  • 正(r): 47°26′40″ → 高低角 = 90° − 47°26′40″ = +42°33′20″
  • 平均高低角 = +42°33′25″

高度定数の較差

高度定数 = 正方向鉛直角 + 反方向鉛直角 − 360°(÷2しない値を管理値とする)

  • 点A: 65°41′50″ + 294°18′10″ − 360° = 0″
  • 点B: 47°26′40″ + 312°33′30″ − 360° = 10″
  • 較差 = |0″ − 10″| = 10″

【正反鉛直角観測から高低角・高度定数を求める計算手順】

高低角の計算原理

トータルステーションの鉛直角は天頂方向を 0°とする天頂距離(Z)で表す。高低角(α)との関係:

  • 仰角(上向き): Z < 90° のとき α = 90° − Z(正の値)
  • 俯角(下向き): Z > 90° かつ Z < 180° のとき α = 90° − Z(負の値)
  • 反方向(l)の鉛直角 Z_l は正方向 Z_r に対し:Z_l = 360° − Z_r(理論値)

新点 A の計算

Step1: 正方向鉛直角 Z_r = 65°41′50″(< 90° → 仰角)

Step2: 正方向高低角 α_r = 90° − 65°41′50″ = 24°18′10″(+仰角)

Step3: 反方向鉛直角 Z_l = 294°18′10″(> 270° → 仰角)

Step4: 反方向高低角 α_l = 294°18′10″ − 270° = 24°18′10″(+仰角)

Step5: 平均高低角 = (24°18′10″ + 24°18′10″) / 2 = +24°18′10″

Step6: 高度定数(器械誤差指標)

= Z_r + Z_l − 360° = 65°41′50″ + 294°18′10″ − 360° = 0″

新点 B の計算

Step1: 反方向鉛直角 Z_l = 312°33′30″(> 270° → 仰角)

Step2: 反方向高低角 α_l = 312°33′30″ − 270° = 42°33′30″(+仰角)

Step3: 正方向鉛直角 Z_r = 47°26′40″(< 90° → 仰角)

Step4: 正方向高低角 α_r = 90° − 47°26′40″ = 42°33′20″(+仰角)

Step5: 平均高低角 = (42°33′30″ + 42°33′20″) / 2 = +42°33′25″

Step6: 高度定数

= Z_r + Z_l − 360° = 47°26′40″ + 312°33′30″ − 360° = 10″

高度定数の較差

= |点A高度定数 − 点B高度定数| = |0″ − 10″| = 10″

→ 正答:A = +24°18′10″,B = +42°33′25″,較差 = 10″(選択肢 3)

【許容較差の確認(公共測量作業規程準則)】

3 級基準点測量における高度定数の較差の許容範囲:60″以内。

本問の較差 10″は許容範囲内。

【鉛直角観測の誤差理論と高度定数の意義】

高度定数(コリメーション誤差・指標誤差)の物理的意味

トータルステーション(TS)の鉛直角には「鉛直軸誤差」「指標誤差(水準軸誤差)」「コリメーション誤差」が含まれる。高度定数 i は:

i = (Z_r + Z_l − 360°) / 2(÷2した値を i とする定義もある)

または管理値として「Z_r + Z_l − 360°」(÷2しない)を用いる場合がある。

本問の公共測量作業規程準則に基づく取り扱い:較差 = |i_A − i_B| の計算では i を「Z_r + Z_l − 360°」(÷2しない)と定義した場合,较差 = |0″ − 10″| = 10″ となり選択肢3と一致する。

正反観測の消去誤差

正反観測(正位・反位各1回)で消去される誤差:

  • 水平軸傾斜誤差(チルティング軸誤差): 正と反で符号逆転 → 平均で消去
  • 視準軸誤差(コリメーション誤差): 正と反で符号逆転 → 平均で消去
  • 鉛直軸誤差(チルト誤差): 正反では消去されない(残留誤差)

消去されない誤差に対しては,整準(気泡水準管または電子水準センサーで鉛直軸を鉛直方向に合わせる)による事前補正が重要。

高度定数の変動と精度管理

高度定数が視準点ごとに異なる(A = 0″,B = 10″)原因:

① TS 器械の鉛直角ゼロ点の温度依存性変化(外気温変化による膨張収縮)

② 整準の不完全性(傾斜センサーの分解能限界)

③ 観測中の振動・地盤沈下(ソフトグラウンド上の三脚)

公共測量作業規程準則(平成20年国土地理院告示第73号)による許容値:

  • 1 級基準点測量:高度定数の較差 ≤ 60″
  • 2 級基準点測量:高度定数の較差 ≤ 60″
  • 3 級基準点測量:高度定数の較差 ≤ 60″(本問: 10″ → 合格)
  • 4 級基準点測量:高度定数の較差 ≤ 90″

GNSS 観測との統合(上位資格・実務への接続)

現代の基準点測量では,GNSS(VRS-RTK・静止測量)と TS 観測を組み合わせるハイブリッド方式が普及。TS の高低角から標高差(Δh = D × tanα,D: 水平距離)を計算し,GNSS の楕円体高差と突合することで誤差の検証が可能。測量士試験では,大気屈折補正(気差: k ≒ 0.14)・地球曲率補正(球差: D²/2R)を加えた精密な標高差計算が出題される。

この問題の根拠出典: 令和6年度 測量士補試験 問5(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和6年度 測量士補試験 問5(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。