問題
ケイヒ(桂皮)・ショウキョウ(生姜)・ハッカ(薄荷)の基原および作用に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
「ケイヒは食品としても使われるため医薬品としての作用はほとんど期待できない」という記述が誤りです。食品として使われることと、医薬品としての薬理作用があることは矛盾しません。ケイヒ(シナモン)は食品としても使用されますが、手引きでは、香りによる健胃作用を期待して健胃薬に、発汗を促して解熱を助ける作用を期待して解熱鎮痛薬に配合される生薬として扱われています。
暗記ポイント: 「ケイヒ→クスノキ科・樹皮・シナモン」「ショウキョウ→ショウガ科・根茎・生姜」「ハッカ→シソ科・地上部・メントール」の3セットを確実に覚えましょう。
芳香性健胃生薬の基原・成分・作用まとめ:
| 生薬名 | 基原植物(科名) | 薬用部位 | 主な有効成分 | 主作用 |
|---|---|---|---|---|
| ケイヒ(桂皮) | クスノキ科 Cinnamomum cassia | 樹皮又は周皮の一部を除いた樹皮 | シンナムアルデヒド等 | 香りによる健胃・発汗を促して解熱を助ける |
| ショウキョウ(生姜) | ショウガ科ショウガ(Zingiber officinale) | 根茎 | ジンゲロール・ショウガオール等 | 香りによる健胃・発汗を促して解熱を助ける |
| ハッカ(薄荷) | シソ科ハッカ(Mentha arvensis var. piperascens)等 | 地上部(茎・葉) | メントール・メントン・メントフラン等 | 冷感・鎮痛・健胃・抗菌・口臭除去 |
各選択肢の解説:
- ア(正): ケイヒ(桂皮)の基原はクスノキ科の Cinnamomum cassia の樹皮又は周皮の一部を除いた樹皮です。手引きでは、香りによる健胃作用を期待して健胃薬に、発汗を促して解熱を助ける作用を期待して解熱鎮痛薬に配合されるとされています。
- イ(正): ショウキョウ(生姜)はショウガ科のショウガの根茎が基原で、手引きでは芳香性健胃生薬(香りによる健胃作用を期待して用いられる生薬)の一つに挙げられています。なお日本薬局方では、単に乾燥させた根茎をショウキョウ(生姜)、蒸してから乾燥させたものをカンキョウ(乾姜)と区別しています。
- ウ(正): ハッカ(薄荷)はシソ科植物ハッカ(Mentha arvensis var. piperascens)等の地上部が基原です。主成分メントールが TRPM8(冷感受容体)を活性化して冷感・清涼感を生じさせます。内服では健胃・口腔内の爽快感、外用では鎮痒・鎮痛(counterirritation 効果)に用いられます。
- エ(誤・正答): 食品として使われていることと医薬品としての作用が期待されることは別の話です。手引きでは、ケイヒは香りによる健胃作用、発汗を促して解熱を助ける作用を期待して医薬品に配合されるとされています。「食品として使われるから作用はほとんど期待できない」という論理は誤りです。
- オ(正): 手引きでは、解熱鎮痛薬に「発汗を促して解熱を助ける作用を期待してショウキョウ、ケイヒ等が、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されている場合がある」とされています。かぜ薬でも、ショウキョウ、ケイヒ等が他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されている場合があります。
【ショウキョウ(生姜)とカンキョウ(乾姜)の成分変化と作用の違い】
同じショウガの根茎でも、日本薬局方では加工法で生薬名が分かれます:
| 加工法 | 日本薬局方での生薬名 |
|---|---|
| 単に乾燥させた根茎 | ショウキョウ(生姜) |
| 蒸してから乾燥させたもの | カンキョウ(乾姜) |
「乾燥させたもの=カンキョウ」と覚えるのは誤りで、乾燥させただけのものは日本薬局方の「ショウキョウ」です。新鮮なショウガ(鮮姜)と区別するために「乾生姜」と呼ぶこともありますが、これは日本薬局方の「生姜」と同じものです。手引きで扱われるのはショウキョウ(ショウガ科のショウガの根茎)で、芳香性健胃生薬として、また解熱鎮痛薬・かぜ薬で発汗を促して解熱を助ける成分として登場します。
【ケイヒ(桂皮)の薬理とシンナムアルデヒドの作用機序】
手引きでのケイヒ(桂皮)の位置づけ:
1. 健胃: 健胃成分は、味覚や嗅覚を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促すことにより、弱った胃の働きを高めることを目的として配合されます。ケイヒは「香りによる健胃作用」を期待して用いられます。
2. 発汗・解熱: 解熱鎮痛薬やかぜ薬では、発汗を促して解熱を助ける作用を期待して、ショウキョウ、ケイヒ等が他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されている場合があります。
健胃成分として配合された製品を、散剤をオブラートで包む等、味や香りを遮蔽する方法で服用すると効果が期待できず、そのような服用の仕方は適当でないとされています。香りそのものが作用の入口であるため、「食品にも使われる香辛料だから効かない」のではなく、「香りを遮ると効かない」と理解するのが正確です。
【ハッカ(薄荷)のメントールと冷感受容体 TRPM8 の薬理】
メントール(menthol)はミントの辛味成分で、身体を実際に冷やすことなく「冷たさ」を感じさせます。この機序:
1. メントールが TRPM8(Transient Receptor Potential Melastatin 8)チャネルを活性化
2. TRPM8 は通常 25℃以下の冷刺激で開口するイオンチャネル(Ca²⁺/Na⁺流入)
3. メントールは常温でも TRPM8 を開口させるため、冷感なしに「冷感シグナル」を発生
4. 脊髄・脳への冷感情報伝達 → 清涼感・鎮痛(Gate control theory: 冷感シグナルが痛みシグナルを抑制)
外用薬(かゆみ止め・鎮痛薬・うがい薬・目薬)にも多用される理由はこの清涼感・鎮痛効果です。手引きでは、口腔咽喉薬・うがい薬に、芳香による清涼感等を目的としてハッカ(シソ科のハッカの地上部を基原とする生薬)等から得られた精油成分が配合されている場合があるとされています。
【芳香性健胃薬が配合される複合処方の理解】
一般用医薬品の胃腸薬(健胃薬)には複数の生薬成分が配合されることが多く、各成分の役割を理解することが重要です:
| 成分の種類 | 代表生薬 | 役割 |
|---|---|---|
| 苦味健胃 | センブリ・ゲンチアナ・オウレン・オウバク | 苦みによる反射的胃液分泌促進 |
| 芳香性健胃 | ケイヒ・ショウキョウ・チンピ・ウイキョウ | 香りによる反射的な唾液・胃液分泌促進 |
| 制酸 | 炭酸水素ナトリウム・沈降炭酸カルシウム | 胃酸中和 |
| 消化酵素 | ジアスターゼ・リパーゼ等 | 食物の分解補助 |
| 粘膜保護 | アズレン・スクラルファート | 胃粘膜保護・炎症軽減 |
苦味健胃生薬も芳香性健胃生薬も、味覚や嗅覚を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促す点は共通です。そのため、どちらもオブラートで包む等、味や香りを遮蔽する服用の仕方は適当でないとされます。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅲ-1-2)「代表的な配合成分等、主な副作用、相互作用、受診勧奨」(胃の薬)、Ⅰ-2-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」(解熱鎮痛薬)、Ⅰ-1-2)「主な配合成分等」(かぜ薬)、Ⅱ-2-1)(口腔咽喉薬) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

