問題
シャクヤク(芍薬)・ボタンピ(牡丹皮)・サンシシ(山梔子)の基原と作用に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウです。
「サンシシ(山梔子)はアカネ科植物クチナシの果実を基原とし、長期服用によって腸間膜静脈硬化症を引き起こすことがある」という記述は正しいです。
主な誤りを確認しましょう。アはシャクヤクの薬用部位(根)・作用は正しいものの、科名を「キンポウゲ科」としている点が現行の植物分類(ボタン科 Paeoniaceae)と異なり、正確とは言えません。イのボタンピはバラ科ではなくボタン科(旧分類ではキンポウゲ科に含めた)のボタンの根皮が基原です。エのシャクヤクとボタンピはいずれもキンポウゲ科ではなくボタン科で、薬用部位も根と根皮で異なる別の生薬です。オのサンシシは、手引きでは抗炎症作用を期待して用いられる生薬です。これらに対し、ウ(サンシシ=アカネ科クチナシの果実・腸間膜静脈硬化症の警告)は完全に正しく、正答はウです。
暗記ポイント: 「サンシシ→アカネ科・クチナシ・果実・腸間膜静脈硬化症の警告」。
抗炎症・収斂生薬の基原・成分・作用まとめ:
| 生薬名 | 基原植物(科名) | 薬用部位 | 主な有効成分 | 主作用 |
|---|---|---|---|---|
| シャクヤク(芍薬) | ボタン科(旧キンポウゲ科)シャクヤク(Paeonia lactiflora) | 根 | パエオニフロリン(ペオニフロリン)等 | 鎮痛鎮痙・鎮静(内臓の痛みにも用いられる) |
| ボタンピ(牡丹皮) | ボタン科(旧キンポウゲ科)ボタン(Paeonia suffruticosa) | 根皮(根の皮) | パエオノール・パエオニフロリン等 | シャクヤクと同様な鎮痛鎮痙・鎮静作用を期待して配合 |
| サンシシ(山梔子) | アカネ科クチナシ(Gardenia jasminoides) | 果実 | ゲニポシド(イリドイド配糖体)・クロシン(カロテノイド) | 抗炎症(外皮用薬では抗炎症・血行促進等を期待) |
各選択肢の解説:
- ア(誤): シャクヤクの薬用部位(根)・鎮痙・鎮痛作用、芍薬甘草湯でのこむらがえり緩和の記述は正しいものの、科名を「キンポウゲ科」としている点が誤りです。シャクヤク(Paeonia lactiflora)は現行の植物分類でボタン科(Paeoniaceae)に分類されます(かつてはキンポウゲ科に含めていたが独立した科として扱われる)。本問は「正しいもの」を選ぶ設問であり、科名が不正確なアは正答になりません。
- イ(誤): ボタンピ(牡丹皮)の基原はバラ科ではなくボタン科(旧キンポウゲ科)植物ボタン(Paeonia suffruticosa)の根皮です。手引きでは、シャクヤクと同様な鎮痛鎮痙・鎮静作用を期待して配合される場合があるとされますが、科名が誤りです。
- ウ(正・正答): サンシシ(山梔子)の基原はアカネ科植物クチナシ(Gardenia jasminoides)の果実です。腸間膜静脈硬化症(腸間膜静脈の線維性肥厚・石灰化によって起こる虚血性消化管疾患)は、山梔子(サンシシ)を服用していた症例が多く報告されており、漢方薬の長期服用歴を認めた症例報告もあります。手引きでも、加味逍遙散、辛夷清肺湯、黄連解毒湯、清上防風湯で、まれに重篤な副作用として腸間膜静脈硬化症が知られているとされています。
- エ(誤): 手引きでは、シャクヤクは「ボタン科のシャクヤクの根」、ボタンピは「ボタン科のボタンの根皮」を基原とする生薬です。キンポウゲ科ではなく、薬用部位も根と根皮で異なる別の生薬です。手引きはボタンピについて「同様な作用を期待して」配合される場合があるとするだけで、「同量・同目的で相互に代替可能」とする記載はありません。
- オ(誤): 手引きでは「サンシシはアカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬で、抗炎症作用を期待して用いられる」とされ、外皮用薬でも抗炎症、血行促進等の作用を期待して配合される場合があります。「医薬品としての作用を期待して配合されることはない」は誤りです。
【腸間膜静脈硬化症とサンシシ含有処方の詳細】
腸間膜静脈硬化症は、腸間膜静脈の線維性肥厚・石灰化によって起こる虚血性消化管疾患です。1993年に、虚血性消化管疾患として独立した疾患であることが明らかとされました。
手引きで「まれに重篤な副作用として腸間膜静脈硬化症」が挙げられている漢方処方製剤:
- 加味逍遙散(肝機能障害、腸間膜静脈硬化症)
- 辛夷清肺湯(肝機能障害、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症)
- 黄連解毒湯(肝機能障害、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症)
- 清上防風湯(肝機能障害、偽アルドステロン症、腸間膜静脈硬化症)
検査で見られる所見:
- CT: 腸管壁肥厚に加えて、腸管壁内外の静脈の線状、あるいは樹枝状石灰化
- 大腸内視鏡: 粘膜が青銅色に変化し、半月ひだ肥厚、時には潰瘍を伴う
発症の仕組み(考えられているもの):
山梔子に含まれるゲニポシドは、回盲部、特に盲腸で腸内細菌のβ-グルコシダーゼにより加水分解されてゲニピンとなり、これがアミノ酸やタンパク質などと反応すると青色を呈します。これが大腸の着色、および腸間膜静脈の線維化・石灰化を起こすと考えられています。
登録販売者の対応:
上記の漢方処方製剤を販売する際は、まれに重篤な副作用として腸間膜静脈硬化症が知られていることを把握し、情報提供に活かします。
【シャクヤクと芍薬甘草湯】
手引きでは、シャクヤクはボタン科のシャクヤクの根を基原とする生薬で、鎮痛鎮痙作用、鎮静作用を示し、内臓の痛みにも用いられるとされています。
芍薬甘草湯は、体力に関わらず使用でき、筋肉の急激な痙攣を伴う痛みのあるもののこむらがえり、筋肉の痙攣、腹痛、腰痛に適すとされます(アの記述の後半はこれに沿っています)。ただし、症状があるときのみの服用にとどめ、連用は避けます。
芍薬甘草湯の注意点:
- 構成生薬としてカンゾウを含むため、カンゾウ含有医薬品に共通する留意点(偽アルドステロン症等)が当てはまる
- 「芍薬甘草湯 + 他のカンゾウ含有製品」の重複服用は、グリチルリチン酸の総摂取量を増やす
【3つの生薬が手引きのどこに登場するか】
| 生薬 | 基原(手引き) | 登場する薬効群 | 期待される作用 |
|---|---|---|---|
| シャクヤク | ボタン科のシャクヤクの根 | 解熱鎮痛薬(Ⅰ-2) | 鎮痛鎮痙作用、鎮静作用。内臓の痛みにも用いられる |
| ボタンピ | ボタン科のボタンの根皮 | 解熱鎮痛薬(Ⅰ-2) | シャクヤクと同様な作用 |
| サンシシ | アカネ科のクチナシの果実(皮膚に用いる薬の項では「ときには湯通し又は蒸したもの」も含む) | 歯痛薬(ⅩⅠ)、皮膚に用いる薬(Ⅹ) | 抗炎症作用/抗炎症、血行促進等の作用 |
科名の引っかけは頻出です。シャクヤクとボタンピはどちらも「ボタン科」で、キンポウゲ科(ア・エ)やバラ科(イ)ではありません。部位は「シャクヤク=根」「ボタンピ=根皮」と、同じボタン科でも使う部分が違う点まで押さえると、エのような「同じ生薬として扱える」という記述を見抜けます。サンシシは「アカネ科・クチナシ・果実」で、歯痛薬と皮膚に用いる薬の両方に抗炎症を期待して登場します(オの誤り)。
【ボタンピの位置づけ】
手引きでは、ボタンピ(ボタン科のボタンの根皮を基原とする生薬)は、シャクヤクと同様な鎮痛鎮痙・鎮静作用を期待して配合される場合があるとされています。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-2-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」(解熱鎮痛薬・シャクヤク/ボタンピ)、ⅩⅠ-1-1)(サンシシ)、ⅩⅣ-1-2)(黄連解毒湯・清上防風湯の腸間膜静脈硬化症)、Ⅵ(婦人薬・加味逍遙散)、Ⅶ(内服アレルギー用薬・辛夷清肺湯)、Ⅰ-2(解熱鎮痛薬・芍薬甘草湯)、Ⅹ(皮膚に用いる薬・サンシシ) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

